こんにちは。ANGEL VIBES です。お話を、「版下」主流の時代から、デジタル「入稿データ」主流の今日に戻し、今回は、デジタル時代における印刷物やグッズを作成する際の印刷のプロセスについてお話します。
前回は「版下」を用いた印刷のお話をしましたが、デジタル時代の今日においても、印刷物を作成する手順は、「版下」主流だった時代のそれと共通項があります。
印刷物を作る際は、今日もかつての時代も、印刷業者や工場に入稿を行い印刷をするというプロセスを経ます。そうした作業の流れは、今も昔もそう変わりません。
それをふまえつつ、今回はDTPが主流の今日の、デジタルの「入稿データ」を用いた印刷物作成のプロセスについて解説します。
 

私がデスクトップ型の他に使用しているMacBook。パソコンはデジタルの作業には必要不可欠。

 

「DTP」とは?

「DTP」とは、desktop publishingの略です。「デジタル大辞泉」の解説では、「パソコンなどを用いて、原稿の入力から編集・レイアウト・印刷などの出版のための作業を行うこと。」とあります。他の辞典でも似たり寄ったりの解説で、デザインを生業とする私から見ても、だいたいそんなところだと思います。今や慣習的に、パソコンを用いてレイアウト〜データを入稿〜工場で印刷の版を作る〜印刷をする、といった、印刷物を作る際の一連の作業の手法をまとめて「DTP」と呼んでしまっています。「出版のための作業」というと、印象からして、紙媒体の印刷物のことを思い浮かべがちですが、実際には、布に印刷して商品を製造する際であっても、パソコンを用いてレイアウトデータを作成する手法ならば、「DTP」と呼んでしまっていると思います。「DTP」を紙媒体に限定するとなると、今となっては何とも違和感があります。その辺は、「DTP」が始まった1980年代の感覚での「電子出版」的なイメージからは、広がりを見せているかもしれませんね。

 

「DTP」時代の印刷

印刷物を作る際の作業の流れは、今日のようなDTP主流の時代もそれ以前の時代も、おおまかにはそう違いはありません。「入稿データの基本(1)」でもお話したとおりですが、ちょっと復習しますね。

・クライアントと打ち合わせ

・デザインカンプ作成

・デザイン提出

・デザイン修正

・デザインOK

・入稿データ作成

・印刷会社・工場へデータ入稿

・印刷物やグッズが完成、クライアントへの配送

今も昔も、おおまかにはそんな流れです。ただ、「DTP」主流の今日では、昔「版下作成」であった部分が、「入稿データ作成」となっているということです(もちろん今日においても、版下を必要とする媒体もあるので、「版下作成」をプロセスに含む場合もあります)。「DTP」時代の印刷に関連し、かつての時代と他に違う点があるとすれば、工場にデータ入稿した後の作業における「製版」や印刷のために工場で導入している機材でしょう。

 

製版と印刷、その機材

「製版」ですが、これは、工場で印刷のための版を作る過程を指します。「入稿データの基本(2)」でも触れましたが、オフセット印刷でCMYKに色分解した版を作る「分版」も、「製版」に含まれます。
印刷技術のデジタル化が進むに伴って、そういった「製版」のための機材もまた技術に合わせた更新がされていったということです。
また、そういった印刷技術の発展に伴い、印刷のバリエーションも増え広がりを見せました。現在では、版を作ることなく入稿データからダイレクトに印刷を行う、「オンデマンド印刷」も登場しています。そういった新しい印刷技術のために、新しい印刷機材が登場しているという面もあります。
印刷技術は日進月歩の分野です。印刷の風景は、版下が主流だった時代と比べてもそうですが、これからも変わり続けて行くでしょう。

 

「校正刷り」、出す、出さない?

布物や立体的なグッズも含めてですが、印刷物を作る際、印刷業者や工場へデータ入稿をした後、「色校正」などの「校正刷り」を出す場合もあります。
「校正刷り」とは、確認用の試し刷りの印刷物ですが(布物については、単に「サンプル」と呼んだりしている場合もあります。)、特に「色校正」とは、商品に使用する本番の素材の紙や布に印刷した試し刷りで、厳密な色の確認ができます。
プロが行うデザインの実務では、印刷会社や工場を利用して印刷を行う場合は、たいがいこの「色校正」を出します。
オンデマンドなどで、印刷の感じを確認することも可能ですが、紙や布の種類が本番のそれと異なると、印刷の発色や色の調子もまた厳密には異なってしまいます。なんだかイメージと違う、などということを防ぐため、本番と同一条件の試し刷りをしてみようという面もあるのです。
ただ、そこまで厳密な色の確認を必要としない場合もあるでしょうし、「色校正」を出せば、それだけ料金が上乗せされます。実は私も自分自身の名刺は、「色校正」なしで納品という形をとっています。「色校正」を出さないという選択も全くないということではありません。
「校正刷り」、出す、出さない? という問題ですが、「場合に応じて」ということで充分だと思います。多くのネットプリントでは、「校正刷り」なしがデフォルトで「校正刷り」ありがオプションとなっていますしね。「出さない」という選択も、間違ってはいないのです。

 

まとめ

  • 「DTP」とは、パソコンなどを用いて、原稿の入力から編集・レイアウト・印刷などの出版のための作業を行うこと。
  • 印刷物を作る際の作業の流れは、今日のようなDTP主流の時代もそれ以前の時代も、さほど違いはない。
  • 「校正刷り」、出す、出さない? は、場合に応じて決めましょう。

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
前回「入稿データ」は「版下データ」とも呼ばれることもあるとお話しました。最近ではほとんど見かけなくなった元々の意味での「版下」ですが、版下は現在のDTP(デスクトップパブリッシング)における入稿データのルーツです。それに、未だに時々、版下で入稿しなければならない仕事もあったりします。知っておいて損は無いと思うので、今日は「版下」の解説をします。

 

「入稿データ」とは? 「版下」とは?

今やDTP主流の時代ですが、パソコンでデジタルデータを作成して入稿を行う以前には、違う手法によってそれを行っていました。その手法こそ、「版下」を用いるという手法でした。その名残でしょうか、今でも、「入稿データ」を「版下データ」と呼ぶことがあります。
「入稿データ」は図案や文字や写真等のグラフィックがレイアウトされたデジタルデータです。こうしたデジタルデータは、Adobeなどのグラフィックソフトを用いて作成されます。通常、入稿データとなれば、トンボをつけ、必要な部分には塗り足しをすることとなります。このような入稿データが、印刷に用いる版の元となります。入稿を承った印刷会社では、入稿データを元に、例えばカラーのオフセット印刷であれば、CMYK(C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=黒)の4色の4つの版が作られます。なおこの過程は、元のデータを4色分解するので、分版と呼ばれています。単色刷りの印刷であっても、カラーのオフセット印刷の場合と同様に、印刷に用いるための版が作られます。単色刷りの印刷ならば、版は1版となります。
このように、印刷を行う際には、印刷に用いるための版が作成されるわけですが、上に説明してきたように、版は「入稿データ」すなわちデジタルデータを元にするのが今日の主流です。しかし以前は、紙にレイアウトされたグラフィック(そして、そのグラフィックに対し赤字によって記述する指定)を版の元にするのが主流でした。こうした版の元が「版下」です。

 

「版下」は台紙にグラフィックをレイアウトしたもの

「版下」は、専用のレイアウト用紙を台紙にして、図案や文字や写真等のグラフィックを切り貼りし、作成します。文字部分には文字をレイアウトして出力した印画紙を貼り付け、写真部分には、元の写真をコピー機で印刷しアタリ画像を貼り付けます。この写真部分の元の写真は、ポジフィルムや印画紙出力した紙焼きで入稿し、版下とは別に分解してもらいます。そして後に、印刷の版のアタリ部分に合体するような流れです。

 

版下にも変遷があった

版下は、1990年代にはまだまだ現役でした。あっという間にほとんど見かけることがなくなってしまいましたが、私も作成した経験があります。
私が版下をしばしば作成していた頃は、パソコンを用いたデザインが始まっており、完全にDTPになる移行期でもありました。この頃の版下は? というと、パソコンでレイアウトしたトンボ付きのデジタルデータを印画紙出力し、版下のレイアウト用紙に貼り付け、作成していました。文字部分は、写植を貼り付けることもありました。写真部分等、別に分解してもらう箇所は、デジタルデータ上でアタリであることを示す細いケイ線を「アタリケイ」として描いておき、印画紙出力した後、そこに、コピーしたアタリ画像を貼り付けておくという。。。今考えると、面倒でしたね。
ともかく、印画紙出力の過程以降は現在のDTPの手順とずいぶん異なりますが、元々のレイアウトをパソコンでデジタルデータとして作成する点は、現在と変わらない状態でした。
では、こうしたDTPの移行期以前の版下は? といえば、パソコンがない時代になりますが、もちろんパソコンを用いることはありませんでした。文字の部分は写植を貼り付けたり、企業ロゴ等は、紙焼き機で印画紙に焼き付けて、別に分解してもらうようにしたり・・・。ケイ線は、烏口という道具や、ロットリングを使って描いたりしていました。

ダーマト

上の写真は版下作成の際に欠かせなかった、通称「ダーマト」。デスクの引出しにまだ入ってます。ロットリングは、どこかに行ってしまいました。

 

現在の版下仕事

最近でも、版下を作成する仕事があるかといえば、実際に時々あったりもします。
私は去年、選挙公報の仕事があり、昔ながらのアナログ版下を作成しました(選挙公報とは、議員さんの選挙の時に配られる候補者がズラリと載ったアレです)。こうした広報は、未だに版下なのですよね。このように、アナログの版下入稿が脈々と生きているジャンルも未だにあるわけです。
しかし、版下にするデジタルデータの印画紙出力ができる業者さんは、近年ではとても少なくなってしまいました。1990年代には、デザイン関連企業が多いエリアならば、「出力屋さん」などといった専門業者さんがすぐに見つけられる程度にはあったものですが、やはり時代の波でしょうかね。とはいえ、そういった専門業者さんが完全に無くなってしまっても困りものです。
去年、私が選挙公報の仕事をした際には、それまでデジタルデータの印画紙出力に利用していた業者さんがこのサービスを廃止してしまい、実際に困ってしまいました。でも、探してみると業者さんが見つかりました。それは「堀内カラー」さんです。写真の紙焼き等を行っている老舗の業者さんですが、版下にするデータの印画紙出力も問題なく奇麗に仕上げてくださりました。また版下を作成する仕事が来たなら、「堀内カラー」さんに出力をお願いしたいですね(※このサービスができるかどうかは、店舗にもよるかもしれないので、もしこのサービスを利用したい場合はお電話などでお確かめくださいませ)。

「堀内カラー」さんのWebサイト。お問い合わせ先の記載もありますので、必要があればこちら(http://www.horiuchi-color.co.jp)にどうぞ。

堀内カラーWebサイト

 

まとめ

  • 「入稿データ」とは印刷に使用する版の元で、図案や文字や写真等のグラフィックがレイアウトされたデジタルデータ
  • 「版下」とは印刷に使用する版の元で、台紙に各グラフィックを貼付けて作成したもの
  • 現在でもアナログ版下入稿が必須のジャンルがある
  • 「堀内カラー」さんでは、今でもデジタルデータを印画紙出力してくれる

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回の解説で、特色を用いることで表現の幅が広がることは解っていただけたと思います。
では、そもそも「特色」とは何か? どんな役割を担っているのか? デザインの実務の視点から、もうちょっと説明をしておこうかと思います。

 

「特色」とは?

「特色」とは、単色1つ1つに色番号が割り当てられている印刷用の単色インキ(インキ=インク。古い人間なのでインキと言ってしまいます。)で、体系化されたカラーシステムとなっています。色見本が作られていて、見本帳やカラーチップにまとめられています。
オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせでは再現できないけれど、特色でなら再現できるよ、なんていう色もあります。前回説明したように、彩度が保持されたエメラルドグリーンもそうです。
私は年賀状を毎年デザインしていますが、特色のお世話になっています。下の画像の「2018」「Happy New Year」には金色の特色を使いました。DIC - 620です。
画像では茶色っぽく見えていますが、実際にはキラキラしたインキです。このキラキラがあるとなしとでは、ずいぶん印象が変わります。
 

2018年の年賀状です

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特色の用途

特色の用途ですが、まずはインキとしての用途があります。印刷に用いられます。
オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせで再現できない部分を特色にしてみたりする他、特色とスミ(ブラック)の2版で印刷をするなどという例もあります。
他には、インキとして用いるというより、その体系化されたカラーシステムを利用して指標として役立てることもあります。実際のデザインワークにおいては、こちらの用途もかなり占めていると思います。
グッズを作る時の工場への指示書などにおいては、色指定があります。この部分の生地色は「Pantoneの○○番」などと指定します。「この指定色に近い色の生地にしてください」、あるいは、「この指定色に生地を染めてください」などというふうに。このように、印刷インキとして役立てる他、色の指標として参照してもらうために使う場合もあるのです。
特色は、デザインの現場で色についての情報伝達をする際の、共通コードとして成り立っているということです。今や、デザインワークに無くてはならない必要不可欠なツールです。

 

特色でよく知られているのは「DIC」と「Pantone」

じゃあ、特色は誰が編纂して管理しているのかなあ? という疑問を持つ方もおられるかもしれませんね。
特色の編纂・管理、それに続く製造・販売は、色システムやインキ製造に関わる企業などが行ってます。彼らが、色を体系化し番号を割り当て特色を編纂しています。
「特色」といっても種類がありますが、日本では「DIC」と「Pantone」がよく知られています。Adobeのデザインソフトでも、スウォッチにDICやPantoneを入れることができるようになっていますね。実際、デザインの実務上でもよく使うので大助かりです。
DICとPantoneはこのようにデザインソフトのシステムに組み込まれている一方、実際に手に取り参照することができる現物として、見本帳やカラーチップが市販されています。大き目の画材屋さんのデザイン用品コーナーでなら、DICやPantoneのカラーチップを見かけたことがある方もおられるかもしれませんね。

下のようなデザインツール、見かけませんか?

DICのカラーチップ。第15版。少々古いです。
Pantoneのカラーチップ

このように、見本帳やカラーチップの現物があるのには、理由があります。前回も触れしましたが、モニタと印刷物の色は基本的に異なるからです。モニタは現物の仮の姿に過ぎないということです。なので、デザインの実務においては、入稿の際は入稿データの他にカラーチップも一緒に印刷会社に渡す機会もあります。ただ、入稿といってもいわゆるネットプリントなどであれば、カラーチップを渡すという作業は省略されています。

 

DICは「DIC株式会社」のカラーシステム

日本国内でのデザインワークにおいては、DICは最も使われる特色の1つではないでしょうか? デザインのジャンルにもよりますが、国内生産ならば、特色にDICを使うことは多いです。
DICは「DIC株式会社」が管理するカラーシステムで、色見本にまとめられ、デザインの実務で活用されています。色見本は、ビビッドな色から淡い色まで揃っていて、グレイッシュトーン、また、日本の伝統色、フランスの伝統色、中国の伝統色、といったシリーズもあります。合わせて、2,000色以上からなります。
「DIC株式会社」は、元は「大日本インキ化学工業株式会社」という企業でした。活動歴が長いデザイナーなら、「大日本インキ」の方が馴染みがあるかもしれませんね。今は樹脂製品や化学マテリアルの製造も行うなど、幅広く事業を展開していますが、旧社名が示すように、印刷インキを製造・販売する企業としてスタートしています。かねてから、日本のクリエイティブ業界を支えてきた企業の1つです。
DICの色見本が販売開始となったのは、1968年ですが、田中一光さん、勝井三雄さんらが監修をされています。グラフィックデザインの業界では、言わずと知れた方々です。DICは、デザイナーの声をしっかり取り入れて開発されたということが解ります。

 

Pantoneは「Pantone社」が編纂した国際的な特色

日本国内ならDICですが、国外で印刷物やグッズを製造する時は、特色はPantoneが使われることがあります。企業のコーポレートカラーやブランドのカラー、キャラクターのカラーについてはPantoneの色指定がされていることもあります。例え国内での製造でも、デザインのジャンルによっては、DICばかりでなくPantoneの使用頻度も高くなりつつあります。
Pantoneはアメリカに本社がある「Pantone社」が編纂した特色で、DICと同様、体系化されたカラーシステムとなっています。こちらも、見本帳やカラーチップがあります。日本から中国に入稿する際にも使われるなど、国際的な特色としての一面もあります。
なお「Pantone社」は、今は「エックスライト社」の子会社になっています。

 

まとめ

・特色は色1つ1つに色番号が割り当てられている印刷用の単色インキのこと
・特色は体系化されたカラーシステムとなっている
・日本国内では特色の中でもDICとPantoneの使用頻度は多い

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBES です。10年以上前だと記憶していますが、私はティファニーのネックレスをプレゼントされたことがあります。ネックレスはエメラルドグリーンの箱に入ってやって来ました。「ティファニーブルー」とも呼ばれるこの爽やかな色が気に入って、ネックレスの収納ケースとして、今でも大事に使っています。
初音ミクのキャラクターのテーマカラーもエメラルドグリーンですね。髪や目、コスチュームに、取り入れられています。
私も好きな色ではありますが、この青緑系の色は、実はデザイナー泣かせの色でもあります。

 

CMYKでは再現が難しいエメラルドグリーン

エメラルドグリーンも含まれる、俗に「青緑」と呼ばれる系統の色は、オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせで再現しようとする時は注意が必要です。彩度がずいぶん低くなってしまうため、パソコンのモニタ画面で確認した色と比べてくすんだ印象になってしまい、刷り上がった印刷物のコレジャナイ感がハンパない、などという状況に陥りがちです。
そもそも以前にもお話していますが、エメラルドグリーンは、カラーモードをRGBからCMYKに変換しただけでも彩度が落ちてけっこう置き換わってしまうということでした。とにかく、CMYKで再現するのが難しい扱いづらい色と言えます。
(※RGBやCMYKのカラーモードのお話について忘れてしまっていたら、「色の基本(1)色の基本(2)」あたりを読み返して見てください。)

私物のティファニーのネックレスの箱。大事にしてます。

 

CMYKの再現が難しければ特色を使う

でも、写真に映っているティファニーのネックレスの箱の色は、彩度が保たれていてくすんだ印象はないよね?という感想をお持ちの方もおられるかと思います。確かにそうですね。これにはちょっとした理由が考えられます。
ティファニーの箱の印刷には、どうも特色が使われているようなのです(写真の箱は厳密には特色を印刷した紙が箱に貼つけられている)。CMYKの4版掛け合わせでは、あのような鮮やかなエメラルドグリーンを再現できない一方、特色になら、あのようなエメラルドグリーンはありますし。・・・ということから考えれば、ティファニーの箱はCMYKで印刷していないことは予想がつきます。目を凝らしても網点が見あたりません。これは十中八九、特色と考えられるでしょう。
ティファニーほどの伝統あるブランドなら、通常はブランディングの課程で色指定を行うものなので、コーポレートカラーとして特色の指定色があるはずですし。日本国外に本社があるブランドなので、Pantoneあたりの指定になっていそうですね。
もしくは、専任の印刷会社さんに「ティファニーブルー」を特色として作ってもらっているかもしれません。企業によっては、独自のコーポレートカラーを専任の印刷会社さんに作ってもらっている場合があります。私も、以前に、ある印刷工場の見学に行った際、そういった特色を見せていただいたことがあります。

 

デザイナー泣かせだが個性的なカラー

このように、オフセット印刷においては、鮮やかなエメラルドグリーンのようなCMYKの掛け合わせでは再現できない色がありますが、特色で補える時もあります。
そんな時は、いつも特色が使えれば良いのですが、どうしてもCMYKでエメラルドグリーンを再現しなければならない場合もあります。特色を入れればそれだけ版が増え、印刷代も上がることになります。印刷経費を抑えるため、出来る限りCMYKの4版のみを用いた印刷にしようという場合もあるわけです。そんな場合は、発色が良い紙を使用して印刷するという手段もありますので、いかにそれっぽい色に見えているかという部分で、試案を重ねていくしかありません。迷ったらコート紙です。安めで発色が良いです。
ともかく、エメラルドグリーンは扱うには技術も知識も必要な色です。それゆえに、ブランドカラー、キャラクターのテーマカラーとしては採用されにくい色かもしれません。しかし、だからこそ世の中にありふれた色となりにくく、他と差異化ができて個性が出ます。難しい色ですが美しいですし、チャレンジしてみる価値がある色です。

 

モニタで映える初音ミクのエメラルドグリーン

彩度が保たれた状態の、鮮やかなエメラルドグリーンは美しいですね。特にモニタでこそ個性的で印象に残ります。
モニタで見る時の初音ミクのエメラルドグリーンは、印刷で再現できないRGBモードの光の媒体にしかない色です。青緑系でああいった彩度が高い色は、印刷では再現できない、極めて電子的なカラーということも言えます。それをキャラクターのテーマカラーにしたのは、初音ミクを見る媒体についてモニタ等の光の媒体をメインに想定しているからかもしれません。
なんとも、今どきのボカロアイドルっぽい現象ですね。

 

初音ミクのエメラルドグリーン、特色なら?

試しに、RGBモードの初音ミクのエメラルドグリーンに、特色をあててみましたよ。色チップを見て確認しました。

ポンチ絵で失礼します。

初音ミク

この絵なら、「DIC42」もしくは「DIC2162」でしょうか?
ご参考まで。

 

まとめ

・ティファニーや初音ミクのエメラルドグリーンは、厳密にはCMYK4版の印刷では再現できない
・エメラルドグリーンは再現が難しい色だからこそ独特で、チャレンジしてみる価値あり
・初音ミクのエメラルドグリーンは、特色なら「DIC42」もしくは「DIC2162」ぐらいだろうか?

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBES です。イメージを伝えるための色彩計画は、デザインにとって最も重要な要素の1つです。これによって、イメージがより明確に伝わったりキャラクターがより引き立ったり、ということがあります。
企業やブランド等でも「コーポレートカラー」と言われる、企業を象徴するカラーがありますね。
アニメなどのキャラクターでも、キャラクターのテーマカラーが設定されている場合があります。また、ミュージシャンやアイドルなどの実在する人物が、人物像を表すテーマカラーを設定している場合もあります。
このように、あらゆるデザインにおいて色彩計画は基本です。今日は、そういった色彩計画のお話をしようと思います。

 

色彩計画によってイメージをわかりやすく伝える

何でもいいですが、ブランドやキャラクターを思い出してみましょう。
ブランドやキャラクターを頭に浮かべてみた時、色彩も一緒に浮かんでくることがありませんか? イメージは、それだけ色を伴っているということです。そうした理由で、実際のデザイン展開でも、個性を表す色を積極的にデザインに取り入れている例があります。

 

「エヴァンゲリオン」、レイの「静」・アスカの「動」

アニメなどのキャラクターには、個々のキャラクターのテーマカラーが設定されている場合があります。キャラの個性がイメージしやすいので、象徴する色を設定してしまうというわけです。「新世紀エヴァンゲリオン」もそういった例だったと言えるのではないでしょうか?
「新世紀エヴァンゲリオン」の中では、2人の少女の対比が作品を生き生きさせていたと思います。レイの「静」・アスカの「動」、2人のキャラクターの個性の対比です(シンジ君ごめんね、今日は話題にしないから)。
レイは水色の髪、アスカはオレンジの髪、2人の性格が表れていると思いませんか? レイはクールで、アスカは勝ち気でアグレッシブ。エヴァに乗る少年少女の内でも、特にこの2人の個性は互いを引き立てあってましたね。
レイの水色、アスカのオレンジ。まさに「静」と「動」の対比ですが、これがキャラクターのテーマカラーになっていた、というか、2人の個性がこの色に重なっていましたね。これが逆の色の設定だったら、それはそれで、腑に落ちない感じになっていたことでしょう。
こうしたテーマカラーの設定は、キャラクターグッズのデザインをする時にも役立ちます。なぜなら、キャラクターのテーマカラーを利用すれば、キャラの個性に添ったデザインが展開できるからです。
キャラクターグッズでは、レイは水色から青色の寒色系、アスカはオレンジから赤の暖色系を用いてデザインされました。こうした色を取り込むことにより、キャラクターの個性が表れたデザインの展開となっていましたね。ショップなど売り場では、色の対比がキャラそれぞれのグッズを引き立て合って「売り場映え」もしました。キャラのテーマカラーにより、アニメ作品そのものとしてももちろんですが、グッズでもキャラの個性が生き生きとして、秀逸なものとなっていったと思います。

 

hideさんのパッションピンク

色彩計画を効果的に使う例は、架空のキャラクターばかりではありません。その人物の個性を象徴するものとして、実在する人物にもテーマカラーが用いられる例があります。
ミュージシャン、アイドル、ひいては政治家、といった実在する人物が、自分のキャラクターカラーを設定し用いる手法は、現代のデザインにおいてはもはやポピュラーと言えそうです。そんな中、そういった色彩計画が圧巻なのは、元「X JAPAN」のhideさんのピンクをテーマカラーとしたカラーコーディネートでしょう。
ピンクをテーマカラーにして、これ以上スタイリッシュで印象に残る見せ方をした人はまだいないのではないでしょうか。

「Ja, Zoo」hideさんのアルバムCD。1998年発売。

hideさんのパッションピンクは、hideさんのアーティストとしてのパンキッシュで鮮烈なイメージを象徴していたように思います。「ピンク」というと甘くふんわりしたイメージにまとめがちですが、hideさんのカラーコーディネートは違っていました。あのパッションピンクにネオンカラーなどの彩度が高い色を合わせてきたり、そればかりかあえてダークトーンにあのピンクを刺してきたり(それでいて、「ピンク」に目が誘導されて、この人物を象徴するカラーは「ピンク」だ! となる。ピンクを使うタイミングや面積も絶妙だったということです)。
hideさんは「ピンク」という色のイメージすら変えてくれたのかもしれません。それは「スイート」なのではなく「辛さ」だと言わんばかりに。
それが、hideさんっぽいよね、というところだったと思います。他の人じゃなかなかこなせないのでしょう、あのカラーコーディネートは、hideさんが亡くなった以降もなかなか見かけませんね。そういった部分では、ブランディングで重要な要素である他との「差異化」がうまくできていた例なのだと思うし、hideさんらしい鮮烈さを伝えることに成功していたと思います。hideさんのピンクは、ファッションにもミュージックビデオにも的確に用いられていました。それで、あのピンクがあった上での名曲「ピンク スパイダー」ですよ。名曲がさらに心臓に刺さってこないわけがありません。
 

YouTube「hide with Spread Beaver - ピンク スパイダー」(hideofficialVEVO)

リアルタイムで知らない若い世代もそろそろ増えて来たかと思いますが、hideさんを一度は見てみてほしい!
つい、熱苦しくなってしまいました。。。今日はこのへんで。

 

まとめ

・色彩計画により、ある対象のイメージがより明確に伝わる
・企業だけでなく架空のキャラクターや実在するミュージシャンなどがテーマカラーを設定していることがある
・hideさんのミュージックビデオは一度見てみることをおススメする

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回は、DTPソフトやAdobeIllustratorで、リーフレットやポスターなどの紙媒体の入稿データを作る時、使用する配置画像について注意するポイントを解説しました。今日は、カラーモードや保存形式とそれ以外についても、もう少し詳しいお話をしたいと思います。

 

白黒写真はグレースケールで

前回も少し触れましたが、レイアウトに使用する写真が白黒写真(モノクロ写真)なら、カラーモードはグレースケールにしましょう。カラーモードの変更は、前回解説しましたね。グレースケールに変更する時も方法は同様です。AdobePhotoshopでデータを開き、メニューバー「イメージ」→「モード」から、カラーモードをグレースケールに変更します。
白黒写真のデータが、カラーモードCMYKになっていることもたまたまあったりしますので、レイアウトを始める前にチェックしておきましょう。
もともとが白黒写真であれば、カラーモードをCMYKからグレースケールに変えても、見た目に変わりはないでしょう。ただ、グレースケールの方がデータ量が軽く済みますので、白黒写真ならカラーモードはグレースケールにしておきましょう。

 

画像解像度の設定

入稿データを作成する際は、配置画像の解像度は適切な数値に設定しておきましょう。いくら優れたデザインが出来ても、配置画像の解像度が足りなければ、台無しになってしまいます。
では、「画像解像度」とは何でしょうか?
DTPに用いられる写真画像のデータは、画素の集合体です。Photoshopで写真画像をどんどん拡大していってみてください。四角い点が見えてきますね。これが画素であり、ピクセルとも呼ばれています。画像を構成するこうした画素の密度の尺度を「解像度」と言います。解像度は、1インチの中にどれだけのピクセルが収まっているのかを数値で示され、単位は「dpi」となります。この数値が高ければ鮮明でクオリティが高い画像となり、数字が低くければボケたクオリティが低い画像となります。
こうした画像解像度は適宜設定しておかなければ、デザインのクオリティにも影響します。
 

拡大するとピクセルが見えます

 

画像解像度は360dpiで

紙媒体なら、写真の配置画像は原寸で配置した時に360dpiとなるようにしましょう。360dpiとする理由は、カタログや雑誌の印刷物で使用される写真データの設定が、一般的には360dpi程度だからです。
「配置した時に」と言っているのは、Illustratorに配置した後に画像をそのドキュメント上で拡大すれば、それだけ画像は粗くなり、解像度が低くなります。なので、解像度を維持するなら、「配置した時」と同じ面積のままにしなければならないということです。(なお、デザインの実務上ではほぼ同じくらいの面積であれば良しとします。もちろん、ピッタリ同一の面積でもかまいません。)
写真のデータはこのように、通常360dpi にしますが、漫画の白黒データやイラストなど、細い線を再現しなければならないグレースケールやモノクロ2諧調の画像なら、1200dpi程度が奨励されている場合もあります。入稿の際は、印刷会社さんが奨励する設定と、入稿しようとしているデザインのタイプを念のため調べておきましょう。

 

レイアウトに使う写真の配置画像は見た目もチェックしましょう

レイアウトに使う写真の配置画像は、最初にカラーモードや解像度をチェックしなければならないというお話をしてきました。
写真画像はそれ以外にもチェックする箇所があるので、1枚ずつPhotoshopで開いて確認しなければなりません。おかしい箇所があれば、修正を行います。こうした修正作業を「レタッチ」と呼んでいたりもします。

・ゴミはついていないか
・色が寄っていないか(赤カブリ、青カブリ)
・メリハリ

こうした点をチェックします。
画面にゴミがついていれば、スタンプツールで消しましょう。レタッチの中でも、これが一番分かりやすい作業かも知れません。
それから、画面全体を眺めてみて意図せず赤っぽくなっていれば、それは、「赤カブリ」という現象です。色が赤いトーンに寄ってしまっているのです。色が変だなあ・・・という場合は、カラー調整しましょう。
また、メリハリがなければ少しコントラストを強くしましょう。
レタッチは奥が深く、判断が難しいかもしれません。こうした判断ができるようになるには、とにかく美しい写真を観るようにしてセンスを磨くしかありません。画廊や美術館で良い作品に触れるようにしてみてください。
それから、iPhoneなどの手軽なカメラ機能で遊んでみるのも良いと思います。今どき、インスタグラムなどを見ていても、撮影が皆さんお上手だなぁと思うこともあります。とにかく、写真の善し悪しの判断力は、観たり触ったりして身につくことなので、まずは楽しみながらやってみましょう。
 

画面全体が赤っぽいですね。赤カブリです。

 

色調整すると雰囲気が変わります。

 

まとめ

・白黒写真のカラーモードはグレースケールにする
・紙媒体の印刷なら、解像度は360dpi程度が一般的
・レタッチの判断力は、質の良い写真を観て身につけましょう

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。リーフレットやポスターなどの紙媒体の印刷物をDTPソフトで入稿データを作成する際、必ず気をつけなければならないことの一つに、「配置画像」の設定があります。今日は紙媒体のデザインで使われる「配置画像」のお話を中心にしたいと思います。

 

「配置画像」とは?

DTPでいう「配置画像」ですが「貼り込み画像」とも呼ばれます。リーフレット、ポスターといった紙媒体で、商品や風景などの写真を目にすることはありませんか? こうした媒体がDTPソフトでデザインされているなら、それらの写真は、DTPソフトのドキュメント上に読み込まれ配置されたデータです。これがDTPソフトで言う「配置画像」です。
AdobeIllustratorなどDTPのデザインに使われるソフトなら、写真等の画像データを外部から取り込み配置できる仕様となっています。配置された画像は、文字、罫線、図形などの要素と組み合わされ、画面が構成されます。DTPソフトでは、このようにしてレイアウトが行われます。

 

紙媒体の印刷物をデザインする際は、最初に「配置画像」をチェック

DTPソフトの中でも、AdobeIllustratorを例に考えてみましょう。まあ、よく使われるソフトなので。
リーフレットやポスターなどの紙媒体の印刷物をAdobeIllustratorを使って入稿データを作成する際、最初にしなければならないことがあります。
それはレイアウトに使用する「配置画像」のカラーモードと保存形式のチェックです。
レイアウトに使用する予定の画像は、「コマンド+I」で「情報を見る」にして最初にチェックしておきます。「情報を見る」にしたら「詳細情報」を開いてみてください。「色空間」の欄を見れば、カラーモードがRGBかCMYKかが分かります。
そして、保存形式はデータの拡張子を見れば解りますね? PSD以外でしたら、PSDにしておいてください。なお保存形式は、他にTIFFなどもあるのでそこは予め調べておきましょう。 とはいえ、CSになってからは、Adobe社がPhotoshopネイティブのPSDを保存形式として奨励しているので、今時の保存形式ならだいたいPSDです。
レイアウトに使用する画像がカラーで、画像を確認してみてカラーモードがRGBでしたら、AdobePhotoshopでデータを開き、メニューバー「イメージ」→「モード」から、カラーモードをCMYKに変更してしまってください。また、保存形式がPSD以外でしたら、普通に「保存」せず、「別名で保存」にします。「コマンド+シフト+S」で「別名で保存」になります。「別名で保存」にするとダイアログが開かれるので、「フォーマット」→「Photoshop」を選んでください。すると保存形式「PSD」で保存されます。
なお、使う画像が白黒(「モノクロ」と呼んでいる画像はだいたいコレ)なら、グレースケールでの保存となります(詳細は次回説明します)。
 

「情報を見る」→「詳細情報」で「色空間」を見てみましょう

 

「別名で保存」ダイアログで「フォーマット」をPSDに変えましょう

 

保存形式PSDとは?

先ほども言いましたが、保存形式PSDはPhotoshopネイティブの保存形式です。Illustratorの配置画像などにも使用でき、Adobe社が奨励する形式でもあります。
現在は、Illustratorの配置画像はPSDが主流であると言えるでしょう。しかしかつてはEPSが主流でした。EPSのデータは、現在でも使えなくはありませんが、PSDは何かと使いやすいですし(これはまた別の日に説明しますね)、とりあえずPSDが主流であると覚えておいていただければ問題ありません。
配置画像の保存形式は、技術の変化など時代を経てPSDに移り変わりました。新技術が生まれて今後も変化していく可能性はあるでしょう。

 

写真のデータはRGB・JPEG形式で保存されていることがある

DTPで使用する写真のデータは、実際のところ、RGB・JPEG形式で保存されていることがあります。そもそもデジタルカメラで撮影した写真は、カラーモードRGBとなってしまうし、保存形式はJPEGやTIFF等となる仕様なので、まあ不思議ではありません。
JPEG形式はデジタルデータの保存形式としては、EPS等の形式よりデータ量が軽く済みますし、カラーモードもCMYKよりはRGBの方が軽く済みます。データを保存しアーカイブとして残すなら、より軽いデータ量にしておく方が管理はしやすいということは言えるでしょう。
なので、レイアウトに使用する写真データがあらかじめCMYK・PSDで保存されているかと言えば必ずしもそうでもないので、レイアウトに使用する写真は、最初に保存形式やカラーモードをチェックしておいた方が良いということも言えるわけです。
そもそも写真データはいろいろなチェックを要します。メリハリはどうだろう? ゴミはついていないだろうか? などなどということがあります。

チェックポイントの話は次回に続きます。

 

レイアウトしたIllustratorのドキュメントはAI形式で保存

AdobeIllustratorに配置する画像は、PSD形式が主流だという話をしてきましたが、一方画像を配置された側のIllustratorのドキュメントは? という話です。AdobeIllustratorのドキュメントはAI形式で保存しましょう。これは、Illustratorネイティブの保存形式でAdobeの奨励となっています。

 

まとめ

・入稿データを作成する際は最初に「配置画像」のカラーモードと保存形式をチェック
・紙媒体なら「配置画像」のカラーモードはCMYKにする
・カラーの「配置画像」なら保存形式PSDにする
・AdobeIllustratorドキュメントは保存形式AIにする

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBES です。「CMYK」と「RGB」の話に関連して、インクの色と​モニタの色のことについても少しだけ解説しておきますね。
パソコンを使ってデザインすると、モニタで確認した色と実際に刷りあがった印刷物の色とが違っていた、なんていう経験はありませんか? 「CMYK」と「RGB」とでは再現できる色に違いがあるからです。

 

インクの色、光の色、知覚している内容の違い

人が色を知覚する時、目の視細胞が外界の光を受容し刺激を受けそれが電気信号となって脳に伝わっています。とても端的に言えば「見る」とはそのようなことです。人が「見る」その「外界の光」とは、ある範囲の波長の電磁波です。この「見る」ことが可能な電磁波は可視光線と呼ばれ、日常的には単に「光」と呼ばれていたりもします。
この辺りは高校生までの理科で習うことだと思うので、忘れてしまっていたら教科書を読み返してみましょう。

インクの色と​モニタの色の件に話を戻しますが、人が「見る」その「外界の光」は、インクの色とモニタの色とでは内容に違いがあります。
モニタの色はモニタを通し発する光をそのまま見ていることになりますが、印刷物に刷られたインクはそうではありません。インクの色として「見ている」と知覚しているのは、インクに吸収された可視光線の以外の、吸収されずに反射した可視光線です。例えば、インクがマゼンタの場合、可視光線のうちのマゼンタ以外の波長の光線をインクが吸収し、マゼンタの波長の光線のみを反射しています。また、インクが黒ならば、インクが可視光線を全部吸収し反射がないということです。
このように色の知覚いおいて、インクの色とモニタの色との間には、「反射した光」と「発する光そのもの」という差があります。そしてこの差ゆえに、両者で知覚させることができる色にも差があります。見た目に共通点・類似点がある色はありながら、それ以外の異質な色もあるわけです。

 

モニタの色にはインクで表せない彩度の色がある

モニタの色にはインクで表せない高い彩度の色があります。「彩度」とは色の鮮やかさの程度を示す尺度です。ショッキングピンクなど、「ネオンカラー」と呼ばれる色などは彩度の高い色の分類に入ります。一方、グレイッシュなトーンの色は彩度の低い色の分類に入ります。
なので、モニタで確認した色が印刷物にした時に彩度が変わり、「色が変わった」と感じることもあるのです。

とはいえグラフィックデザインのソフトでは、モニタでも印刷物の「CMYK」の色の調子を確認できるように、「CMYK」モードでのプレビューができるようになっています。プレビューのみならず、画像の「RGB」から「CMYK」へのカラーモードの変換も可能です。例えば、AdobePhotoshopを使えば、「RGB」モードの画像を「CMYK」モードに変換できます。こうした変換時に、色が少々くすんだりあるいは落ち着いた印象になった、という経験はありませんか? このような場合は、色彩が「RGB」から「CMYK」で再現できる色に置き換わり、彩度が変化しています。
ただ、光をそのまま発するモニタ画面を通し画像を見ている以上は、「CMYK」モードのプレビューにしたからといって、見た目の色が印刷物と同一になるわけではありません。見た目を近づけることはできても、完全に一致させることはできないのです。
したがって、印刷物のより厳密な色を完成品となる前段階で確認したければ、校正刷り(色校)に頼らざるを得ないということです。

 

エメラルドグリーン系の色はけっこう置き換わる

いわゆる「エメラルドグリーン」と呼ばれる系統の色は、「RGB」から「CMYK」に置き換えた時、けっこう見た目が変わります。
例えばAdobePhotoshopで、「RGB」モードのエメラルドグリーン「R=0、G=255、B=228」を、そのまま「CMYK」モードに置き換えてみてください。かなりくすんでしまいますね。「CMYK」モードに変換すると「C=56、M=0、Y=29、K=0」に置き換わるわけですが、「RGB」モード「R=0、G=255、B=228」の色は「CMYK」モードではその彩度を再現できません。
 

これが「R=0、G=255、B=228」

こうじゃ!! 「C=56、M=0、Y=29、K=0」

 
このような色もあるので、グラフィックデザインソフトを使う際は、デザインする対象の媒体が印刷物なのかモニタなのかを確認しておかなければなりません。そして、印刷物の媒体に仕上げるなら「CMYK」プレビューで、モニタで見る媒体に仕上げるなら「RGB」プレビューで、それぞれ作業を行うことで、配色のミスをより防ぐことが可能となります。

 

インクによっても再現性が異なる

何かのデザインをしたとして、多くは入稿前にプリンタでプリントアウトをして見た目の確認をしていると思います。ただ、プリンタの特性によっても、色によって再現性が低かったりということもあります。家庭用のインクジェットプリンタだと、デジカメの写真はかなりきれいにプリントアウトできる一方で、赤のベタ面がひどくくすんでしまう場合もあります。レーザープリンタでも、色によっては彩度が異なってしまうことがあります。モニタと印刷物の色とでは差がある上に、このようにプリンタによっても再現性の問題があります。
最終的にオフセット印刷で仕上げるなら、オフセット印刷の校正刷りを出すのが最も厳密に色を確認できる手段です。とはいえ、オフセット印刷の校正刷りを出すにもその分金銭的なコストもかかるわけで、出す回数に限りがあると思います。なので、「DICカラーチャート」など、オフセット印刷の色見本と見比べて色を確認する作業も併用しましょう。
「DICカラーチャート」は私も所有しています。「CMYK」のインクの掛け合わせで、各比率のマスが並べられています。いざという時には、やはり役に立ってます。
 

DICカラーチャート

 
(かなり古くなってしまいました。多少なりとも変色していると思うので、買い替えなければなりませんね・・・。)

 

まとめ

・インクの色とモニタの色は見た目が異なる部分もある
・エメラルドグリーンは「RGB」から「CMYK」に置き換えると、彩度がかなり変わる
・「DICカラーチャート」でオフセット印刷の色の確認ができる

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こんにちは。ANGEL VIBESです。デザイン作業をしていると、「CMYK」と「RGB」って見かけませんか? これはよく使われるカラーモードなのですが、Macでデザインソフトを扱うなら必ず触れることになります。カラーモードについては、とりあえず「CMYK」と「RGB」だけは覚えておきましょう。

 

インクなら「CMYK 」光なら「RGB」

Macを使ってデジタルでデザインをする時、カラーモードが設定されていたりあるいは設定しなければならなかったり、作業の過程で「CMYK」と「RGB」に触れる機会はあると思います。そして、「CMYK」と「RGB」のどちらかを選択し設定しなければならなくなることもしばしばあるでしょう。AdobeIllustratorでもAdobePhotoshopでもそうですね。
「CMYK」と「RGB」どちらを選択するかは、デザインを最終的にどういった媒体に落とし込むかによって決まります。インクによって印刷される媒体なら「CMYK」、雑誌やポスターは基本的にこちらです。光によって画像や映像が映し出される媒体なら「RGB」、パソコンの液晶モニタなどの媒体なら「RGB」となります。コンテンツとしてはWeb系が「RGB」です。
このように、インクなら「CMYK 」光なら「RGB」となるわけですが、このようなカラーモードの選択となる訳は、印刷媒体とモニタ系の媒体の色分解の違いによります。

 

色分解とは?

では色分解とは何でしょうか。それは大まかに言うと、あるカラー画像を色成分に分解することです。
カラー印刷は原色の掛け合わせによって像を再現するシステムです。実際の印刷のプロセスでは、画像は原色が何%ずつ掛け合わされているか、比率に置き換えられます。例えば、「C=○○%、M=○○%、Y=○○%、K=○○%」というように。このような色分解がされ、そして、その比率に応じた原色ごとの版が作られます。
ポスターや雑誌でも用いられるポピュラーな印刷方法「オフセット印刷」では、そのような原色の色版の掛け合わせによって画像の再現がされます。「オフセット印刷」での原色は、C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=黒(デザイン業界では「スミ」とも呼ばれる)、の4版です。入稿されたデータはCMYKの各原色に分解されて各版が作られ、その版を元に印刷が行われます。
一方、モニタで見ることを前提としたWebに用いる画像は、R=レッド、G=グリーン、B=ブルー、の原色による色分解となります。
このように、色分解の原色は、インクなら「CMYK」、光なら「RGB」となります。ではなぜ印刷媒体とモニタ媒体とで原色が異なるのでしょうか? それは、「CMYK」の色分解が「加色混合法」「減色混合法」を、「RGB」の色分解が「減色混合法」「加色混合法」を、それぞれ元にしていることによります。

 

「加色混合法」と「減色混合法」

「加色混合法」と「減色混合法」は色彩を再現する方法です。「加色混合法」と「減色混合法」とでは、それぞれの原色が異なっていて、「加色混合法」「減色混合法」の色の三原色は、シアン、マゼンタ、イエロー、「減色混合法」「加色混合法」の光の三原色は、レッド、グリーン、ブルーとなっています。
「加色混合法」「減色混合法」では、原色を掛け合わせるごとに暗い色になっていき、原色を同比率で掛け合わせると黒になります。一方、「減色混合法」「加色混合法」では、原色を掛け合わせるごとに明るい色になっていき、原色を同比率で掛け合わせると白になります。これが「加色混合法」と「減色混合法」の違いです。
 

加色混合法減色混合法の混色

 

減色混合法加色混合法の混色

 
上の図のように、「加色混合法」「減色混合法」では、原色を掛け合わせていくと黒になり、「減色混合法」「加色混合法」では、原色を掛け合わせていくと白になります。
現代では、色を再現する技術には、各媒体でこのような「加色混合法」と「減色混合法」の原理が取り入れられているわけです。

 

印刷の「黒」

C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエローを混色して黒い色が作れるのなら、「オフセット印刷」では黒=Kのインクは必要ないのでは? という疑問も出てくるかもしれませんね。
実際のところ、3つの版を高い比率で掛け合わせると、印刷物が乾きにくいという問題があります。それから版ズレへの対処も考えなければなりません。なので、黒の版があった方が印刷の行程がスムースだという面はあります。また、黒のインク1版を使う方が、シアン、マゼンタ、イエローの3版を使って黒を再現するよりも経済的であったりします。そんな諸問題があるので、「オフセット印刷」は、黒=Kインクも他の3色に加えて、1つの原色とするシステムとなっています。

 

まとめ

・デザインソフトではカラーモード「CMYK」「RGB」をよく使う
・色分解とは、あるカラー画像を色成分に分解すること
・「CMYK」の色分解は「加色混合法」「減色混合法」を元にしている
・「RGB」の色分解は「減色混合法」「加色混合法」を元にしている

ではまた!

※2018年6月15日修正:「加色混合法」と「減色混合法」をすべて逆さまに説明していたため修正いたしました。
正しくは、「CMYK」が「減色混合法」、「RGB」が「加色混合法」でした。大変失礼いたしました。