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こんにちは。ANGEL VIBESです。
前回も、フォントデザインの作業動画を公開していることをお知らせしましたが、その進捗状況です。

Glyphsでの作業がひととおり完了し、フォントデータを書き出してついに完成しました。
Adobe Illustratorを使用しベクターデータを作りGlyphsでフォントデータ化する方法の場合、Glyphsを起動してからの作業より、イラレを使っている時間の方が長いかもしれませんね。今回は特に、手書き感を出そうとしたためか、イラレの作業で試行錯誤が続き、ちょっと時間がかかりましたね。

今回の完成編はこんな感じです。

この、フォントデザインの作業動画のシリーズは、14回で完結しました。

フォントが完成しましたので、今後はあらためてそれぞれのフェイズについて詳細に解説をする予定です。

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。
フォントを作るには下絵やアイデアスケッチは必要です。中には、頭の中に明確なイメージを描くことができて、下絵ナシでデザイン作業を始めてしまうベテランの方、下絵ナシの方が作業がしやすいという方もおられます。
とはいえ、慣れないうちは無理をしない方が良いでしょう。とりあえず、下絵を作成しスキャニング→Adobe Illustratorでトレースをしていく手法で、デザインするのがベターだと思います。
このサイトでは、Adobe IllustratorでトレースしたベクターデータをAI形式で保存し、フォント作成ソフトに取り込んで(それはGlyphsでもFontographerでも)、フォントデータを作る方法を説明してきました。デザインを決めて下絵を作成する方法も説明しましたが、下絵の様式は一つではありません。今回は、ちょっと悩みどころかもしれない、フォントの下絵についてのお話です。

 

フォントのデザインイメージと下絵

フォントの下絵の作り方は、「フォントの作り方(3)」「フォントの作り方(15)」で説明しました。
しかし、もしかすると、下絵を作成する段階で戸惑いが生じてしまってる方もおられるかもしれませんね。どのような手法で下絵を作るのかというのは悩みどころではあります。私の場合ですが、下描きした下絵とデザインしたいイメージとに乖離がある感じがして、どうにもしっくり来ない時があり、ちょっと悩んだことがあります。

 

フォントのイメージの様式に合わせた下描きの手法

いろいろ考え試行錯誤しましたが、フォントのイメージの方向性に合わせて下描きの手法を変えた方が良いようです。私の場合ではありますが、その方がイメージとに乖離が少なくなりました。
フォントの元になる文字を作成し、一式の様式となるタイプフェイス(書体)にするためには、文字の共通パーツとなるエレメントを組み合わせていくことになります。スタンダードなフォントの多くは、そのようなタイプフェイスによるデザインです。
一方で、エレメントの組み合わせに頼らない、手書き感を活かした「書き文字」というフォントのジャンルもあります。現在では「書き文字」ばかりを集めたフォントの書籍があったりするぐらいで、こちらも現在流通するフォントとしてはかなり種類があると言えそうです。上のエレメントを組み合わせてデザインするタイプフェイスが緻密であれば、こちらはストロークによる「味」を生かしていて直感的であると言えるでしょう。なお、「書き文字」についての歴史は古く古代に遡ることができますが、そのお話は、またの機会にしますね。

現在流通しているフォントのイメージの方向性を大別すると、
1. エレメントの組み合わせでデザインされた「緻密タイプ」
2. 手書き感を活かした書き文字等の「直感的タイプ」
この2つのタイプがあります。これら2つの様式に合わせ、下描きの手法を変えた方がイメージ通りになる場合もあるようです。

 

「緻密タイプ」は下描き用紙を使う

以前に紹介してますが、「緻密タイプ」は、碁盤の目がある下描き用紙に鉛筆等で描いて下絵を作成→それをスキャンしてトレースする、この手法でだいたいはカバーできるかと思います。
ちなみに、その際に用いる下描き用紙はこちら。DLして自由にお使いいただけます(なお、この下描き用紙をそのまま販売することは禁止します。念のため。)。

下描き用紙はこんな方眼紙です。

こんな感じで下描きをしていました。

 

「直感的タイプ」は下描き用紙を使わない

手書き感を生かした「直感的タイプ」のフォントですが、碁盤の目がある下描き用紙に鉛筆等で下描きをしてしまうと、どうにも整いすぎるというか、手書きの勢いや「味」が失われる場合があります。そんな場合は、下描き用紙を使う必要ありません。もっとラフに描くなど、落描き的に好きな紙に描いた文字を、そのままスキャンしてAdobe IllustratorのAIドキュメントにレイアウトしてトレースしていただいた方が、描いた線が生き生きしたタイプフェイスに仕上がります。

こちらは、ネタ帳に描いたラフ画をそのまま下絵にしています(私がデザインしたフォント「マカロ」の下絵です)。



こちらは、画用紙に描いたペン画を下絵にしています(私がデザインしたフォント「ほおずき」の下絵です)。

 

私の場合ですが…

私の場合、という前提はありますが、下描きの手法を変えることでイメージしたフォントにより近づけることができる、ということは言えそうです。
もし、下描きのことで悩んでる方がおられましたら、一度試してみても損はないと思いますよ!

 

まとめ

  • フォントのデザインの様式に合わせて下描きの手法を変えるとイメージに近くなる(個人差アリとは思います)
  • エレメントの組み合わせでデザインする「緻密タイプ」は下描き用紙を使う
  • 書き文字等の手書き感を活かした「直感的タイプ」は下描き用紙を使わない

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
フォント関連のWebサイトや書籍で、よく目にする用語ってありませんか?
そうした用語についてちょっと知っておくと、フォントを購入する時はもちろんのこと、フォントデザインの作業の時にも戸惑わないと思いますよ。
知ってると便利なフォント関連用語の中から、今日は、「バイト」という用語についてお話します。
 

「バイト」とは?

フォント関連のWebサイトや書籍で、「バイト」というワードはよく使用されていますよね。例えば、「1バイトフォント」「2バイトフォント」といった具合に。
「バイト」とは、元々コンピューター用語で情報量を示す単位の一つです。フォントの成り立ちによる情報量の違いで、「1バイトフォント」「2バイトフォント」と呼ばれていたりします。
 

「1バイトフォント」と「2バイトフォント」

欧文フォントと和文フォントでは、1フォント(=書体)が表すことができるグリフの総数に違いがあります。そのように、1フォントが持つことができる情報量の差異から区別して、一般的には、アルファベットを主体にした欧文フォントが「1バイトフォント」、漢字を含む和文フォントが「2バイトフォント」と呼ばれる場合があります。
コンピュータの情報は2進数を用いて表わされます。情報量1バイトで表すことが可能な2進法の組み合わせは256通りです。フォントの設計に置き換えると、1フォントが表すことができるグリフ数は、256個までということになります。「1バイトフォント」とは、このような、1バイトで256個までのグリフ数を表し得るフォントという意味になります。
欧文フォントは、アルファベット、約物、数字を合わせたグリフ数であっても、256個あれば充分に対応できます。それに対し和文フォントは、漢字、仮名文字を合わせただけでも、256個ではとうてい対応できません。なので、256個以上のグリフ数を表すためには、2バイトフォントとして作成せざるを得ないというわけですね。
 

かな文字の1バイトフォントは?

ひらがなやカタカナだけの和文フォントには、1バイトフォントがあります。漢字を含まない仮名文字フォントならば、たとえ約物や数字をあわせたとしても、1フォントが持つことが可能なグリフ数である256個に至らないので、1バイトフォントとして設計することが可能です。1バイト形式の仮名文字の和文フォントなら、皆さんもよく目にしているのではないでしょうか。
PCのキーボードのキー1つ1つには、ひらがなの表記もあります。これはかな入力の時に役立てられますが、1バイト仮名文字では、このテンキーのひらがなを頼りに設計されているフォントも多いと思います。1バイトの欧文フォントは半角英字で入力・表示しますが、1バイトの仮名文字フォントはこのしくみを利用して設計されている例もあります。
例えば、小文字の「a」はひらがなの「ち」になっているので、小文字の「a」のグリフにひらがなやカタカナの「ち(チ)」を割り当て、続いて小文字「s」には「と(ト)」、小文字「z」には「つ(ツ)」といった具合に割り当てていけば、キーボードに半角英字で入力すると、「a」は「ち(チ)」、「s」は「と(ト)」、「z」には「つ(ツ)」を表示することができるわけです。

 

Macのキーボード。仮名文字も記されていますね

 

このように欧文のグリフに仮名文字を割り当てれば、1バイトでも仮名文字全体をカバーしたフォントを作ることが可能です。
実際このような設計で、1バイトの仮名文字フォントが広く普及したようです。現在入手できるフリーフォントや、「フォントパビリオン」のような初期のフォント集にも見られる設計ですね。おかげで、現在はいろいろな仮名文字を楽しめるようになっていますが、先人の知恵の賜物でもありますね。

 

フォント集「フォントパビリオン」

 

まとめ

  • 「バイト」とは、コンピューター用語で情報量を示す単位の一つ
  • 「1バイトフォント」とは1バイトで256個までのグリフ数を表し得るフォント
  • 通常、欧文フォントが「1バイトフォント」で、漢字を含む和文フォントが「2バイトフォント」

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回は、Glyphs Miniのメトリクス関連情報の設定の途中まで解説しましたね。今日はその続きです。「キャップハイト」「xハイト」の設定をしてみましょう。
 

「キャップハイト」「xハイト」の設定の前に

混乱している方がいるかもしれないので、「キャップハイト」「xハイト(=「エックスハイト」、Glyphs Miniでの表記は「xハイト」)」の設定の前に、ちょっとメトリクスのお話を復習しておきますね。

フォントの作り方(13)〜メトリクスの話〜」で触れてますが、従来の「欧文書体設計のためのライン」において言う「アセンダー」と、フォント作成ソフトで言う「アセンダー」は、意味が異なります。これはGlyphs Miniにおいても例外ではありません。
厳密には「ディセンダー」についても同じことが言えます。従来の「欧文書体設計のためのライン」において言う「ディセンダー」と、Glyphs Miniにおいて言う「ディセンダー」は、それぞれ指している意味が厳密には異なります。
復習しますね。フォント作成ソフトを利用した現在のフォントデザインの潮流では、一つ一つのグリフが、emスクエアよりも一回り小さくデザインされている例を多く見かけます。そういった事情もあり、Glyphs Miniにおいて「ディセンダー」と言う時に、従来の意味とは厳密にはズレが生じてきているようです。
従来の「欧文書体設計のためのライン」においては、「ベースライン」から「ディセンダーライン」までの部分を「ディセンダー」と呼んでいました。ところが、Glyphs Miniでは「ベースライン」から「ディセンダーライン」までを指して「ディセンダー」とするのではなく、「ベースライン」からemスクエアの下端までを指して「ディセンダー」としてしています。Glyphs Miniを使用してデザインする際、emスクエアよりも一回り小さくグリフをデザインする現在の潮流に従うならば、「ディセンダーライン」の一周り外側までを含んで「ディセンダー」と呼ぶことになってしまっています。従来の「欧文書体設計のためのライン」における場合と、Glyphs Miniにおける場合とでは、このように、細かな部分では意味が異なります。
モヤモヤするかもしれませんが、従来使われて来た文言の意味の細々した部分は、時代とともに変化してしまうことは自然なことでもあります。とりあえず、従来の「欧文書体設計のためのライン」においての文言は、Glyphs Miniにおいて言う全く同一の意味とは限らないので、ちょっとだけ注意しておきましょう。

 

従来の「欧文書体設計のためのライン」

Glyphs Miniで言う「ディセンダー」はemスクエアの高さ下端まで

 

「キャップハイト」「xハイト」の設定

それでは、Glyphs Miniのメトリクス関連情報の設定に戻ります。確認しておきますね。「キャップハイト」は「ベースライン」から「キャップライン」までの高さを指します。そして、「xハイト」は「ベースライン」から「エックスライン」までの高さを指します。
「元AI」では「キャップライン」と「エックスライン」をガイドラインとして描いておきましたね。なのであとはスムースだと思います。ガイドラインを頼りに「キャップハイト」「xハイト」の高さを測ったそのままの数値を、Glyphs Miniのメトリクス関連情報の「キャップハイト」「xハイト」の欄に入力してください。
「Alfalfa」では、「キャップハイト」が「667」、「xハイト」が「493」。なお、小数点以下の端数は整理しました。
そして、「イタリック角度」ですが、デフォルトのままにしておきます。
それから、「アラインメントゾーン」は一番右の黒いボタンを押しておきましょう。自動計算されます。
これで設定はOKです!

「Alfalfa」はこんな感じで設定しました

Glyphs Miniのメトリクス関連情報の設定

 

グリフの画面はこんな感じです

グリフの画面を開いてみてください。小文字だと解りやすいですが、ガイドラインがグリフの「キャップライン」「エックスライン」の位置にぴったり重なっているのが解りますか?

Glyphs Miniのグリフの画面

 

こうしたガイドがあれば、正しい位置を踏襲したフォントがデザインできているかどうか、確認しながら作業ができますね。

 

あとは小文字なしのデザインの時と同じ作業

小文字もデザインする場合、「フォント情報」設定は以上のように、「キャップハイト」「xハイト」も測定した数値を入力しなければなりません。ですが、ここまで出来れば、小文字なしのデザインの時と同じ作業です。グリフをトレースした「元AI」データを、Glyphs Miniに読み込ませていきます。忘れてしまっていたら過去記事(「フォントの作り方(11)〜Glyphs Miniの使い方(後編)〜」あたりからが良いでしょう)を読んでみてください。
スペーシングやカーニングをして、メニューバーから「ファイル」→「出力」を選び、ファイルを書き出せば完成です!

 

まとめ

・Glyphs Miniで言う「ディセンダー」は「ベースライン」からemスクエアの高さ下端まで
・「元AI」のガイドラインを頼りに計測し端数を整理した数値を、「フォント情報」の「キャップハイト」「xハイト」に入力する
・「フォント情報」の設定までできれば、あとは大文字だけのデザインの時と同じ作業

こんにちは。ANGEL VIBESです。今回は、アルファベット・フォントの大文字に加え小文字もデザインする際のお話の続きです。前回までのお話で、Glyphs Miniに読み込ませるためのAIデータ=「元AI」作成まで進みました。ここまで準備が整ったら、いよいよGlyphs MiniにAIデータを読み込ませる作業です。

 

Glyphs Miniを使った作業の流れ(おさらい)

Glyphs Miniを使った作業の流れについておさらいしますね。まず、フォントのデザインを決め、AdobeIllustratorでトレースし、グリフ一つずつの「元AI」を作成、これらをGlyphs Miniに読み込ませてフォントデータ化して完成です。忘れてしまっていたら、「フォントの作り方」の過去記事((3)あたりからがいいでしょうか)を読み返していてください。
で、前回までの解説では、「元AI」の作成まで進みました。小文字のデザインもするならばということで、「元AI用紙.ai」ドキュメント上に、キャップライン、エックスライン、ベースラインをガイドラインとして描きましたね。これを行っておけば、次の作業、Glyphs MiniにAIデータを読み込ませる時にスムースということでした。なぜスムースなのかは、次の作業のお話の中で。

「元AI」にはキャップライン、エックスライン、ベースラインを描く

 

Glyphs Miniを起動したら「フォント情報」の設定

ここからは、Glyphs Miniを起動しての作業となります。Glyphs Miniを立ちあげ新規のドキュメントを開いたら、最初にする作業がありましたね。まず、「ファイル」→「フォント情報」を選び各項目の設定をします。
「ファミリー名」の設定、「クレジット関連情報」の設定、「バージョン」の設定は、大文字だけのデザインの場合と同様に進めてしまってください(忘れてしまってたら、「フォントの作り方(10)」を復習しましょう)。
次に、メトリクス関連情報の設定があります。「アセンダー」「キャップハイト」「xハイト」「ディセンダー」の数値を入力しなければなりませんが、「元AI用紙.ai」ドキュメント上にキャップライン、エックスライン、ベースラインをガイドラインとして描いたことで、スムースに進むはずです。そして、大文字に加え小文字もデザインする場合、Glyphs Miniを使用する手順はここだけ異なります。大文字だけのデザインの場合と異なり厳密に設定しなければならない部分です。

 

メトリクス関連情報の設定は厳密に

メトリクス関連情報には、「ユニット数(UPM)」「アセンダー」「キャップハイト」「xハイト」「ディセンダー」「イタリック角度」がありましたね。
大文字だけのデザインの場合は「キャップハイト」「xハイト」はデフォルトのままで任意の数値が入ってれば良かったのですが、小文字もデザインする場合は、厳密な数値を入れます。

復習を含めつつ順を追って説明しますね。まず、「ユニット数(UPM)」についてです。これはデフォルトのまま「1,000」でOKです。繰り返しの説明になりますが、Glyphs Miniにおけるグリフのマスの高さはemスクエアの高さと同一視でき、「ユニット数(UPM)」という単位で示されます。
Glyphs Miniにおけるグリフのマスのユニット数は、仕様で1,000となっていますが、1,000のままにしておきます。Glyphs Mini上の単位「ユニット」の大きさは、AdobeIllustrator上での単位「ポイント」の大きさに一致します。「元AIデータ」のドキュメントサイズの高さを1,000ポイントに設定したのは、Glyphs Miniにおけるグリフのマスのユニット数である1,000ユニットに合わせるためです。
このように設定しておけば、AdobeIllustrator上のAIデータをGlyphs Miniに取り入れた時に、「元AI」の1,000×1,000ポイントの位置合わせ用のラインが、Glyphs Mini上のグリフのマスの高さである1,000ユニットにピッタリ重ねられます。

次に「アセンダー」と「ディセンダー」です。Glyphs Mini上の「ユニット」の大きさはAdobeIllustrator上の「ポイント」の大きさに一致するので、「元AIデータ」上の数値が、そのままGlyphs Miniにおける数値になります。したがって、AdobeIllustrator上の「アセンダー」と「ディセンダー」の高さを測り、Glyphs Miniのメトリクス関連情報にそのまま入力すればいいわけです。「元AI」のベースラインからドキュメント上端までの高さが「アセンダー」、ベースラインからドキュメント下端までの高さが「ディセンダー」となります。
高さを測った時「元AI」上で端数が出ていたら、切り捨てるなどして調整しましょう。ただし、「アセンダー」と「ディセンダー」の高さの合計は1,000になるようにします。

復習します。

emスクエア(の高さ)=アセンダー+ディセンダー

でしたね。

なので端数が出た時の調整では、「アセンダー」と「ディセンダー」の高さの合計は1,000になるようにしなければならないのです。

 

Glyphs Miniの画面。グリフのマスの高さは1,000ユニット(UPM)です。
元AIデータの高さ1,000ポイントは、これに合わせています。

Glyphs Mini画面

次は「キャップハイト」「xハイト」の設定ですが、続きは次回。

 

まとめ

・小文字のデザインでは「キャップハイト」「xハイト」を厳密に設定
・Glyphs Miniの仕様では、1つのemスクエアの高さ=1,000ユニット(UPM)
・emスクエア(の高さ)=アセンダー+ディセンダー

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回はアルファベット・フォントの大文字に加え小文字もデザインする際には、作業それぞれの段階で「エックスライン」を設定する必要がある、というところまでお話しました。では今回は、小文字のデザインについて、それぞれの段階での「エックスライン」の設定をふまえた説明をしていきたいと思います。私がデザインしたフリーフォント「Alfalfa」を例にしてみます。

「Alfalfa」というオリジナルフォントです

画像出典:「ANGEL VIBES」サイト

 

デザイン決め〜下描き

前回の説明ではHelveticaの例をお見せしました。例を参考に、エックスラインはだいたいこの位置で、グリフそれぞれの部分によっては高さを揃えれば良いんだな・・・ということをちょっと頭の片隅においていただければと思います。そうしてデザインしていれば、統一感は自然と出て来ますよ。

デザイン決めの段階では、注意するのはそれぐらいです。

デザインが決まったら下描きをしていきますが、これは以前にも説明したとおり、「下描き用紙」に下描きします。この下描きが次の作業で下絵となります(詳細は、「フォントの作り方(3)」で説明しています)。
なお「下描き用紙」は、ANGEL VIBES オリジナルのものもありますので、こちらからダウンロードして使っていただいて構いません。
下描きの仕方は以前説明したとおり、デザインしたラフを「下描き用紙」に書き写していけば良いのですが、小文字をデザインするなら、まずこの段階でエックスラインの設定が必要となります。この段階でエックスラインの位置を決めてしまい、エックスラインに高さを揃える箇所はしっかり揃えましょう。

「Alfalfa 」はこんな感じで下描きしました。

 

下描きでもエックスラインに揃えるべき箇所は揃えます。

 

次は下描きをスキャニングしAdobe Illustratorでトレース

下描きした後は、下描きした下絵をスキャニング→AIドキュメント「トレース用紙.ai」上に下絵を配置→トレースして保存、という手順となります。これは「フォントの作り方(4)」で説明したとおりです。
なお「トレース用紙.ai」は、ANGEL VIBES オリジナルのものもあります。というか、おそらくどこにも売っていないと思います。私的に使うのは無料なのでこちらからダウンロードして使っていただいて構いません。

 

「Alfalfa」はこんな感じでトレースしました。

「Alfalfa」大文字

「Alfalfa」小文字

 

Glyphs Miniを使った作業の流れ

ここからは、トレースしたAIデータを一つ一つコピー&ペーストして拡大→グリフ一つ一つをAIデータとして保存→フォント作成ソフトに読み込ませる、という作業の流れです。「Alfalfa」はGlyphs Miniで作成しましたので、Glyphs Miniを使った作業の流れを説明します。

「フォントの作り方(10)」で説明していますが、次は、「トレース用紙.ai」ドキュメント上でトレースしたグリフ一つ一つに四角い囲みを印としてつけ、そのグリフを印と一緒に1,000×1,000ポイントのドキュメントの「元AI用紙.ai」に、コピー&ペーストして拡大し、グリフ一つ一つをAI形式で保存します。保存の際は別名保存し、「元AI用紙.ai」の名前ではなく、グリフ名をつけて保存してください。
こうして、「元AI」のフォルダに「A.ai」、「B.ai」、「C.ai」、・・・とグリフ一つ一つのAIデータが揃うことになります。なお、このグリフ一つ一つのデータは、「元AI」と呼んでおきましょう。

ここまでは「フォントの作り方(10)」で説明したとおりです。ただ、小文字もデザインする時は、「元AI用紙.ai」でエックスラインを設定することになります。

「Alfalfa」の例で説明すると、「トレース用紙.ai」上では、ベースラインからエックスラインまでの高さは37mm(エックスハイト)に設定しました。グリフそれぞれのエックスラインに合わせるべき箇所はその高さに合わせています。
そして、四角い囲みの印は「トレース用紙.ai」上のグリフでは75×75mm(「Alfalfa」では75mmの正方形にしましたが、だいたいそれくらいの大きさということで、厳密に75mmでなければならないということではありません)に設定しています。
次の作業では、この印とトレースしたグリフを一緒に「元AI用紙.ai」にペーストしますが、小文字をデザインする場合は、「元AI用紙.ai」にキャップライン、エックスライン、ベースラインをガイドラインとして描いておきます。
75mmを1,000ポイントに拡大する前提で比率を合わせれば良いわけだから、「トレース用紙.ai」上でのキャップハイトは50mmなので、「元AI用紙.ai」上では666.665ポイント(約666ポイント)となります。そして、エックスハイトは37mmなので、同比率で拡大すると493.355ポイント(約493ポイント)となります。
ペーストしたら、印の四角形(75×75mm)とグリフを一緒に拡大し1,000×1,000ポイントのドキュメントの四隅に合わせます。比率の計算が間違ってなければ、それぞれ、キャップライン、エックスライン、ベースライン、に重なるべき箇所は、ピッタリ重なるはずです。

 

「トレース用紙.ai」上のグリフは「Alfarfa」ではこんな感じで囲みの印をつけました

 

「元AI用紙.ai」上にペーストして拡大するとこんな感じ

 

「元AI用紙.ai」にキャップライン、エックスライン、ベースライン、をガイドラインとして描いておくのは少々面倒かもしれませんが、これを行っておけば、次の作業でGlyphs MiniにAIデータを読み込ませる時にスムースです。
その理由については、また次回。

 

まとめ

・小文字もデザインするなら、図案を決めるときにエックスラインを意識する
・下描き〜トレースの段階ではエックスラインを決めて作業
・「元AI用紙.ai」にはキャップライン、エックスライン、ベースラインをガイドラインとして描いておく

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。フォント作成ソフトを使ったアルファベット・フォントのデザインについて、説明した回もありますが、流れはだいたい解りましたか? 慣れるまでは無理せず、大文字だけデザインしてみても良いと思いますが、今日は、そろそろ小文字も一緒にデザインしてみたいという方に向けたお話をしようと思います。

 

「欧文書体設計のためのライン」をおさらい

「フォントの作り方(13)」でも説明しましたが、フォントの世界には、従来から「欧文書体設計のためのライン」があり、これがフォントのデザインやレタリングを行う上でのガイドラインとなっていました。デジタルによるフォントのデザインが始まる以前から用いられてきたわけで、これは今日のフォント作成ソフトの「メトリクス情報」のルーツとなってもいます。
今回は大文字だけでなく小文字もデザインするということなので、「欧文書体設計のためのライン」について振り返っておきましょう。大文字だけなら、「アセンダーライン」「ベースライン」「ディセンダーライン」ぐらいを覚えておけば良いですが、小文字をデザインするために「エックスライン」をチェックしておきたいのです。

 

従来の「欧文書体設計のためのライン」


再度、掲載しましたよ。図を見ると解るかもしれないですが、アルファベット・フォントの小文字をデザインする際には、「アセンダーライン」「ベースライン」「ディセンダーライン」に加え、「エックスライン」が重要なラインとなります。小文字の「g」の上端に接するラインとなっていたりするこの「エックスライン」ですが、グリフの部分によってはこのラインに高さを揃えた方が、フォント全体として見た時に統一感が出ます。

 

Helveticaの小文字を当てはめてみると・・・

アルファベット・フォントの小文字において「エックスライン」がどう介在しているのか、おそらく見てただいた方が早いかと思います。Helveticaの小文字を例に、「欧文書体設計のためのライン」にあてはめてみました。

Helveticaの小文字

およそこんな構造になっているんだな・・・という認識があれば、デザインもいやすいと思います。こことここの高さを揃えると統一感が出るんだな、という部分は覚えておきましょう。

 

小文字を含めたアルファベット・フォントのデザインの流れ

小文字を含めたアルファベット・フォントの実際のデザインの流れですが、それは今までの「フォントの作り方」で説明してきたとおりです。大文字だけのフォントをデザインする時も小文字も含めてデザインする時も、流れは変わりません。

オリジナルフォントを作成する手順をまとめると、
1. 図案を決め、紙に下書き
2. 下描きした図案をスキャンしトレースし、AIファイルで保存
3. AIファイルをフォント作成ソフトに読み込ませフォントデータ化
というものでした。

流れについては、
フォントの作り方(3)〜Fontographerの使い方(前編)〜
フォントの作り方(4)〜Fontographerの使い方(中編)〜
でも解説しています。

 

ただ、小文字デザインの設定が必要

上に説明したとおり、アルファベット・フォントのデザインは、大文字だけの時も小文字も含めての時も、その流れは変わりません。ただ、作業それぞれの段階で、「エックスライン」を設定する必要がります。
まず、図案を決め、下書きをする段階で、エックスラインを設定します。この設定によりエックスハイトも決まるので、トレースしてAIファイルを作成する際にも、フォント作成ソフトに読み込ませる際にも、エックスハイトを反映することとなります。
詳細は次回。

 

まとめ

・アルファベット小文字デザインには「エックスライン」が不可欠
・大文字だけの時も小文字を含めての時も、アルファベット・フォントのデザインの流れは変わらない
・小文字をデザインするなら、作業それぞれの段階で「エックスライン」を設定すべし

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。このあたりで、フォント作成ソフトを使う際の「メトリクス」のことについて解説しておこうかと思います。実は、従来からあるレタリングなどにおいての尺度についての呼び名と、フォントデザインソフトにおいての尺度についての呼び名は、同じ名前を用いられながら厳密には意味が異なる場合があります。フォントやタイポグラフィの知識が少しでもある方は、ソフトを使ってフォントをデザインした時に混乱してしまったのではないでしょうか。
もしそんなことになってしまっていたら、基礎知識として読み返してみてください。

 

メトリクスとは?

辞書にも載っていますが、「メトリクス」とは要するに尺度や測定情報のことです。フォントをデザインするには、アセンダーライン、ベースライン、ディセンダーラインなど、一定のフォーマットに落とし込むための設計用のラインが必要です。そして、そのラインとラインの間には「アセンダー」や「ディセンダー」のようにそれぞれの箇所に名前がついています。フォントデザインの過程では、そういったそれぞれの箇所の寸法を測定することも必要な作業です。
アセンダーやディセンダーの測定はFontographerやGlyphs Miniの解説の際にも出てきましたね。こうした測定情報について、Fontographerでは「メトリクス情報」としてまとめられ、数値を入力して設定できるようになっていました。

 

尺度の名前は場面によって指す箇所が異なる

フォント作成ソフトのこうした「メトリクス情報」についてですが、フォントやタイポグラフィの知識が少しでもある方なら、既に少しばかり違和感があるのではないでしょうか? そのモヤモヤを、ちょっと解説しておきます。

従来のフォントデザインで用いられてきたそれぞれの名前に対応する測定箇所は、フォント作成ソフトにおいての箇所とは異なる場合があります。例えば「アセンダー」がそうですが、レタリングなどにおいての「アセンダー」とFontographerやGlyphs Miniにおいての「アセンダー」では、指している箇所が異なります。なぜそうなってしまったかは分かりませんが、アナログからデジタルにシフトする時には、何かしらの変容は起こり得ることです。
とりあえず言えることは、それぞれの名前に対応する測定箇所は、フォント作成ソフトでいうもの・従来のフォントデザインやタイポグラフィでいうもの、両者で異なっている場合があるので、別々のものとして考えた方が良いということです。

 

欧文書体設計のためのライン

従来の欧文書体設計のためのラインについて紹介しておきましょう。フォント作成ソフトのメトリクス情報のルーツは、それでもここから始まっていますので。
「欧文書体設計のためのライン」とは言いましたが、レタリングの古い教科書では「モデュールのためのライン」などとして紹介していたりもします。

 

従来の欧文書体設計のためのライン

 

Fontographerはこのような仕様でしたね。

Fontographer画面

お気づきかと思いますが、従来の欧文書体設計のためのラインとはアセンダーの位置が違います。

 

Gliphs Miniではこんな設定をしました。

Glyphs Mini画面

Glyphs Miniでも、emスクエアの高さであるユニット数は、アセンダーとディセンダーの合計となっていますね。

 

emスクエアの設定のズレ

 

Fontographer画面・ソフト付属のサンプルフォントの例

そして上は、Fontographer4.1Jに付属のサンプルフォントです。

このFontographer4.1J付属のサンプルフォントを見ると、アセンダーラインとディセンダーラインの位置がグリフのアウトラインから少し離れてます。従来の「欧文書体設計のためのライン」においては、グリフのアウトラインの天地は、アセンダーラインとディセンダーラインとに重なっていましたね。こうして見ると、両者でのアセンダーラインとディセンダーラインの位置もやや差があります。これは、emスクエアの設定も同一とはいえないということを示しています。
なお、タイポグラフィの古い教科書では、電算写植の文字は仮想ボディよりも「やや小さめに収まっている」という記述もあります。(「文字のデザイン」/馬場雄二・東京デザイナー学院出版局)
作り方によってはグリフのアウトラインの天地をアセンダーラインやディセンダーラインにぴったり重ねることも理論的には可能ですし、実際にそのように作られたフォントはあります。とはいえ、電算写植が流通しはじめた頃には、文字が仮想ボディよりも小さめにデザインされたものも開発されています。このようにデジタルフォントでは、文字をemスクエアのような仮想ボディの天地よりも内側にデザインするという設計も一つの流れとして存在しています。

 

emスクエアとはそもそも?

emスクエアとは、フォントをデザインする際の正方形の仮想ボディです。「em」は「エム」と読みます。ローマ字の「M」ですね。活版印刷の活字「M」のボディが正方形に近い形の金属の塊だったことに由来します。今では仮想ボディを意味して「emスクエア」と呼ばれることが多いです。
仮想ボディとは、フォントをデザインする時に「この四角い枠の中に収まるように設計しましょう」という約束事のラインと考えておけば良いでしょう。油絵などを描く時に四角いキャンバスがあるように、グリフ一つ一つにも四角形の枠がある、というようなことです。

 

まとめ

・「アセンダー」はレタリングの場合とFontographerなどの場合とでは、指している箇所が異なる
・「emスクエア」はレタリングの場合とFontographerなどの場合とでは、必ずしも同一の意味を示さない

ではまた!

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こんにちは。ANGEL VIBESです。前回までの過程で、全てのグリフをGlyphs Miniに配置することができましたね。そこまでできたら、次はスペーシングとカーニングです。そして、フォントファイルを書き出したら完成となります! さあ、あとひとふんばりです。

 

[9]スペーシング

Glyphs Miniではスペーシングは1文字ずつ行います。グリフを並べて表示し、Adobeのドローソフト等で字詰めを行う感覚でスペーシングができます。
少し復習します。スペーシングとは、一つのグリフが占有する字幅の調整のことです。先ほど、グリフ一つ一つの字幅の設定をしましたね。これにより、グリフの四角いガイドラインの幅を調整できたと思います。実はこれが、一つのグリフが占有する字幅となります。
Glyphs Miniでは、こうした字幅は、文字のアウトラインの端からガイドラインの端までの距離の数値を入力することによっても、調整することができます。これは、字幅の設定を行ったのと同じ画面下のグレーのボックス、「左」「右」の数値部分に数値を入力することで行います。なお、「左」は文字のアウトライン左端からガイドラインの左端までの距離、「右」は文字のアウトライン右端からガイドラインの右端までの距離を示しています。

字幅の設定はグレーのボックス「左」「右」で調整することもできます。

Gliphs Mini画面

 

画面上部のツールボックスから「T」(テキストツール)を選びます。文字を打ってみましょう。すると画面上に文字が表示されます。この文字は並べてスペーシングを行うことができます。順番としては、まず平均的な字形を選び、それから○に近い字形を選び、そして「I」を選び、バランスを見ながらそれぞれのスペーシングを行っていきます。
見本のフォントDaisyの例では、文字の平均的なフォルムは四角形なので、四角いフォルムの「H」、「N」、「Z」から始めました。そして「O」、「I」と続け、バランスを見ながら調整していきました。

Glyphs Mini画面

 

Glyphs Miniではグリフ名を利用してスペーシングを行う便利な方法があります。基準にしたグリフ名を利用して他のグリフをスペーシングすることができます。例えば、「H」を基準にした場合、同一のスペーシングをしたいグリフを表示し「左」に「H」、「右」に「H」と入力すれば、「H」で設定した時と同一の数値が入力できます。
なお、その基準となるグリフの数値を変更したときは、ツールバー「グリフ」→「メトリクス情報を更新」を選びます。これを実行しないと、他のグリフにその変更した数値が反映されません。

「N」のスペーシングを「H」と同一にしました。

Glyphs Mini画面

こんな感じでグリフを表示し、調整していきます。

Glyphs Mini画面

全体を調整できたら、スペーシングは完成です。

 

[10]カーニング

カーニングもまた、スペーシングを行ったのと同じ、画面下のグレーのボックスで調整して行います。スペーシングの数値を入力する下の行です。
少し復習します。カーニングとはグリフとグリフの間隔の調整のことです。ある特定のグリフとグリフを並べた時の字詰めが美しくない場合に、グリフとグリフの間隔を詰めるなどの調整をします。それがカーニングです。
カーニングを設定するのは、気になるグリフだけでOKです。Daisyの例では、「OとV」、「OとW」、「OとY」、「Oと7」、「VとO」、「VとY」、「YとO」、「YとV」それぞれのペアについて行いました。
カーニングもスペーシングのように、基準にしたグリフ名を利用して他のグリフをカーニングすることができます。
実際に、「YとV」のペアと「YとW」のペアを同一のカーニングにした例です。
まず、「V」のカーニング「左K」には「-8」と入力し、「左G」の欄に「V」と入力しました。「左K」は字詰めをする数値で、「左G」はカーニンググループ名です。そして、同一のカーニングにしたい「W」の「左G」に「V」と入力することにより、「YとV」と「YとW」のカーニングを同一にすることができました。
右のカーニングも必要な箇所は、この方法で、「右K」に字詰めの数値、「右G」にグループ名を入力し、それぞれのグリフの間隔を調整します。行ったカーニングは、メニューバー「ウィンドウ」→「カーニング」で内容を表示させることも可能です。
なお、カーニングにおいてもスペーシングと同様に、基準となるグリフの数値を変更したときは、ツールバー「グリフ」→「メトリクス情報を更新」を選びます。これを実行しないと、他のグリフにその変更した数値が反映されません。

「YとV」のペアと「YとW」のペアを同一のカーニングにした例

Glyphs画面

Glyphs画面

 

[11]出力をしてフォントファイルを書き出し完成!!

スペーシングとカーニングはこれでOKです。それができたら、メニューバーから「ファイル」→「出力」を選び、ファイルを書き出します。これで、完成です。やりましたね!

 

まとめ

・スペーシングとカーニングは画面下のグレーのボックスで行う
・カーニングは気になるグリフのペアだけ行えば良い
・フォントファイルを書き出して完成

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回はGlyphs Miniを立ち上げ、「フォント情報」を設定するところまでできましたね。今日は、「元AIデータ」を、Glyphs Miniに読み込ませる作業を中心に解説します。

 

[6]続いて「出力」の設定

Glyphs Miniを立ち上げ、「フォント情報」を設定したら、次に「出力」を設定します。メニューバーから「ファイル」→「出力」を選び「重なったパスを合体」がチェックされているかを確認します。デフォルトではチェックになっていますが、念のため確認しておきましょう。
これがチェックされていることにより、フォントファイルを書き出す際に、開いたパス・重なったパスやポイントを合体することができます。Fontographerの使い方でも説明しましたが、パス上の余分なポイントはなくし、開いているパスは繋ぎます。フォントファイルを作る時にはグリフのアウトラインは整理しなければなりませんでしたね。

Glyphs Mini画面

グリフ一つ一つの画面を開いて、「重なったパスを合体」を実行することもできます。重なったパスやポイントは、オレンジ色の●で示されます。メニューバーから「フィルター」→「重なったパスを合体」を選んでいただければ、合体が実行され、オレンジ色の●は消えます。
ただこのように一つ一つのグリフの画面でやらなくても、「出力」で「重なったパスを合体」をチェックしてさえいれば、フォントファイルを書き出す際に、一括して「重なったパスを合体」が実行されます。

Glyphs Mini画面

 

[7]グリフ一つ一つの画面に「元AIデータ」をペースト

各設定ができたら、最初の画面に戻ります。「A」、「B」、「C」、「D」・・・と続くマス目がありますね。このマス目を一つずつダブルクリックしグリフ画面を開きます。画面下のグレーのボックスで、「字幅」に「1000」と入力します。そうすると、グリフ画面の四角いガイドラインの幅が1,000ユニットになります。
この四角いガイドラインですが、高さはemスクエアの高さを示しています。すでに述べていますが、emスクエアの高さはGlyphs Miniではユニット数(UPM)で表されます。そして、Glyphs Miniの仕様ではemスクエアの高さ=ユニット数(UPM)は1,000となっています。なので字幅を「1000」と入力すると、1,000×1,000ユニットの正方形のガイドラインができますね。

次に、「元AIデータ」をGlyphs Miniに読み込ませる作業です。
「元AIデータ」をAdobeIllustratorで開き、位置合わせの印とグリフとを一緒にコピーし、
Glyphs Miniのグリフ画面にペーストします。そして、その1,000×1,000ユニットの正方形のガイドラインに位置を合わせます。
「元AIデータ」は1,000×1,000ポイント=1,000×1,000ユニットのドキュメントで作りましたので、位置合わせが正しく行われれば、グリフの画像はアセンダーライン・ディセンダーライン・ベースラインの正しい位置に収まります。
なお、ガイドラインに位置合わせ用の印の四角形がピッタリ重なれば、オレンジの◆が示されます。うまく重ならなければ、グリットが見えるまで拡大して、画像を重ねるようにしましょう。

マス目をダブルクリックしてグリフ画面を開きます

Glyphs Mini画面

下のグレーのボックスで「字幅」を設定します。

Glyphs Mini画面

ペーストした画像をガイドラインにピッタリ重ねるとオレンジの◆が示されます。
難しければ、グリッドが見えるまで拡大して重ねましょう。

Glyphs Mini画面

位置合わせはできましたか? これができたら位置合わせ用の四角形は不要になります。四角形のパスをダブルクリックして選択し、deleteキーで消去します。

 

[8]数字と役物を「グリフ情報」で追加

Gliphs Miniに「A」から「Z」までAIデータをペーストし、位置合わせをし終えましたか? それが終わったら、次に数字や約物の作業です。タブ「フォント」から「数字」「約物」を選び、マス目の画面を表示し、「A」から「Z」で行ったのと同じようにAIデータをコピー・ペーストしていきます。
でも、アレっ? 数字がない、約物がない! ってなりましたね? そうなんです。作成できるグリフは、デフォルトでは「A」から「Z」の大文字・小文字しか設定されていません。「フォント」タブからカテゴリーの「数字」を選び表示してみるとカラになっていて、グレー一色の画面になっています。数字と役物も作りたい場合は、メニューバーから「ウィンドウ」→「グリフ情報」を表示し、作りたいグリフを選択し右下の「フォントに追加」ボタンを押していきます。数字なら、「0」、「1」、「2」・・・と加えていきましょう。すると、加えたグリフのマス目ができあがります。
もう一度カテゴリー「数字」を開いて確認してみましょう。「0」から「9」のマス目ができあがってますね。マス目ができたら、また「A」から「Z」まで作業したのと同じように、AIデータをコピー・ペーストし、位置合わせをします。

「グリフ情報」からフォントを加えていきます。

Glyphs Mini画面

これが

Glyphs Mini画面

こうじゃ!

Glyphs Mini画面

全ての作りたいグリフのデータを、Gliphs Miniに読み込ませましたか? この作業ができたら、次はスペーシングとカーニングです。

 

まとめ

・「ファイル」→「出力」を選び「重なったパスを合体」をチェックすべし
・グリフのAIデータは位置合わせの印と一緒にGliphs Miniにコピー・ペーストする
・作成可能なグリフはデフォルトでは「A」〜「Z」の大文字・小文字のみに設定されている
・「A」〜「Z」以外の作りたいグリフは「グリフ情報」で追加

ではまた!