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こんにちは。ANGEL VIBESです。
フォントを作るには下絵やアイデアスケッチは必要です。中には、頭の中に明確なイメージを描くことができて、下絵ナシでデザイン作業を始めてしまうベテランの方、下絵ナシの方が作業がしやすいという方もおられます。
とはいえ、慣れないうちは無理をしない方が良いでしょう。とりあえず、下絵を作成しスキャニング→Adobe Illustratorでトレースをしていく手法で、デザインするのがベターだと思います。
このサイトでは、Adobe IllustratorでトレースしたベクターデータをAI形式で保存し、フォント作成ソフトに取り込んで(それはGlyphsでもFontographerでも)、フォントデータを作る方法を説明してきました。デザインを決めて下絵を作成する方法も説明しましたが、下絵の様式は一つではありません。今回は、ちょっと悩みどころかもしれない、フォントの下絵についてのお話です。

 

フォントのデザインイメージと下絵

フォントの下絵の作り方は、「フォントの作り方(3)」「フォントの作り方(15)」で説明しました。
しかし、もしかすると、下絵を作成する段階で戸惑いが生じてしまってる方もおられるかもしれませんね。どのような手法で下絵を作るのかというのは悩みどころではあります。私の場合ですが、下描きした下絵とデザインしたいイメージとに乖離がある感じがして、どうにもしっくり来ない時があり、ちょっと悩んだことがあります。

 

フォントのイメージの様式に合わせた下描きの手法

いろいろ考え試行錯誤しましたが、フォントのイメージの方向性に合わせて下描きの手法を変えた方が良いようです。私の場合ではありますが、その方がイメージとに乖離が少なくなりました。
フォントの元になる文字を作成し、一式の様式となるタイプフェイス(書体)にするためには、文字の共通パーツとなるエレメントを組み合わせていくことになります。スタンダードなフォントの多くは、そのようなタイプフェイスによるデザインです。
一方で、エレメントの組み合わせに頼らない、手書き感を活かした「書き文字」というフォントのジャンルもあります。現在では「書き文字」ばかりを集めたフォントの書籍があったりするぐらいで、こちらも現在流通するフォントとしてはかなり種類があると言えそうです。上のエレメントを組み合わせてデザインするタイプフェイスが緻密であれば、こちらはストロークによる「味」を生かしていて直感的であると言えるでしょう。なお、「書き文字」についての歴史は古く古代に遡ることができますが、そのお話は、またの機会にしますね。

現在流通しているフォントのイメージの方向性を大別すると、
1. エレメントの組み合わせでデザインされた「緻密タイプ」
2. 手書き感を活かした書き文字等の「直感的タイプ」
この2つのタイプがあります。これら2つの様式に合わせ、下描きの手法を変えた方がイメージ通りになる場合もあるようです。

 

「緻密タイプ」は下描き用紙を使う

以前に紹介してますが、「緻密タイプ」は、碁盤の目がある下描き用紙に鉛筆等で描いて下絵を作成→それをスキャンしてトレースする、この手法でだいたいはカバーできるかと思います。
ちなみに、その際に用いる下描き用紙はこちら。DLして自由にお使いいただけます(なお、この下描き用紙をそのまま販売することは禁止します。念のため。)。

下描き用紙はこんな方眼紙です。

こんな感じで下描きをしていました。

 

「直感的タイプ」は下描き用紙を使わない

手書き感を生かした「直感的タイプ」のフォントですが、碁盤の目がある下描き用紙に鉛筆等で下描きをしてしまうと、どうにも整いすぎるというか、手書きの勢いや「味」が失われる場合があります。そんな場合は、下描き用紙を使う必要ありません。もっとラフに描くなど、落描き的に好きな紙に描いた文字を、そのままスキャンしてAdobe IllustratorのAIドキュメントにレイアウトしてトレースしていただいた方が、描いた線が生き生きしたタイプフェイスに仕上がります。

こちらは、ネタ帳に描いたラフ画をそのまま下絵にしています(私がデザインしたフォント「マカロ」の下絵です)。



こちらは、画用紙に描いたペン画を下絵にしています(私がデザインしたフォント「ほおずき」の下絵です)。

 

私の場合ですが…

私の場合、という前提はありますが、下描きの手法を変えることでイメージしたフォントにより近づけることができる、ということは言えそうです。
もし、下描きのことで悩んでる方がおられましたら、一度試してみても損はないと思いますよ!

 

まとめ

  • フォントのデザインの様式に合わせて下描きの手法を変えるとイメージに近くなる(個人差アリとは思います)
  • エレメントの組み合わせでデザインする「緻密タイプ」は下描き用紙を使う
  • 書き文字等の手書き感を活かした「直感的タイプ」は下描き用紙を使わない

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回の解説で、特色を用いることで表現の幅が広がることは解っていただけたと思います。
では、そもそも「特色」とは何か? どんな役割を担っているのか? デザインの実務の視点から、もうちょっと説明をしておこうかと思います。

 

「特色」とは?

「特色」とは、単色1つ1つに色番号が割り当てられている印刷用の単色インキ(インキ=インク。古い人間なのでインキと言ってしまいます。)で、体系化されたカラーシステムとなっています。色見本が作られていて、見本帳やカラーチップにまとめられています。
オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせでは再現できないけれど、特色でなら再現できるよ、なんていう色もあります。前回説明したように、彩度が保持されたエメラルドグリーンもそうです。
私は年賀状を毎年デザインしていますが、特色のお世話になっています。下の画像の「2018」「Happy New Year」には金色の特色を使いました。DIC - 620です。
画像では茶色っぽく見えていますが、実際にはキラキラしたインキです。このキラキラがあるとなしとでは、ずいぶん印象が変わります。
 

2018年の年賀状です

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特色の用途

特色の用途ですが、まずはインキとしての用途があります。印刷に用いられます。
オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせで再現できない部分を特色にしてみたりする他、特色とスミ(ブラック)の2版で印刷をするなどという例もあります。
他には、インキとして用いるというより、その体系化されたカラーシステムを利用して指標として役立てることもあります。実際のデザインワークにおいては、こちらの用途もかなり占めていると思います。
グッズを作る時の工場への指示書などにおいては、色指定があります。この部分の生地色は「Pantoneの○○番」などと指定します。「この指定色に近い色の生地にしてください」、あるいは、「この指定色に生地を染めてください」などというふうに。このように、印刷インキとして役立てる他、色の指標として参照してもらうために使う場合もあるのです。
特色は、デザインの現場で色についての情報伝達をする際の、共通コードとして成り立っているということです。今や、デザインワークに無くてはならない必要不可欠なツールです。

 

特色でよく知られているのは「DIC」と「Pantone」

じゃあ、特色は誰が編纂して管理しているのかなあ? という疑問を持つ方もおられるかもしれませんね。
特色の編纂・管理、それに続く製造・販売は、色システムやインキ製造に関わる企業などが行ってます。彼らが、色を体系化し番号を割り当て特色を編纂しています。
「特色」といっても種類がありますが、日本では「DIC」と「Pantone」がよく知られています。Adobeのデザインソフトでも、スウォッチにDICやPantoneを入れることができるようになっていますね。実際、デザインの実務上でもよく使うので大助かりです。
DICとPantoneはこのようにデザインソフトのシステムに組み込まれている一方、実際に手に取り参照することができる現物として、見本帳やカラーチップが市販されています。大き目の画材屋さんのデザイン用品コーナーでなら、DICやPantoneのカラーチップを見かけたことがある方もおられるかもしれませんね。

下のようなデザインツール、見かけませんか?

DICのカラーチップ。第15版。少々古いです。
Pantoneのカラーチップ

このように、見本帳やカラーチップの現物があるのには、理由があります。前回も触れしましたが、モニタと印刷物の色は基本的に異なるからです。モニタは現物の仮の姿に過ぎないということです。なので、デザインの実務においては、入稿の際は入稿データの他にカラーチップも一緒に印刷会社に渡す機会もあります。ただ、入稿といってもいわゆるネットプリントなどであれば、カラーチップを渡すという作業は省略されています。

 

DICは「DIC株式会社」のカラーシステム

日本国内でのデザインワークにおいては、DICは最も使われる特色の1つではないでしょうか? デザインのジャンルにもよりますが、国内生産ならば、特色にDICを使うことは多いです。
DICは「DIC株式会社」が管理するカラーシステムで、色見本にまとめられ、デザインの実務で活用されています。色見本は、ビビッドな色から淡い色まで揃っていて、グレイッシュトーン、また、日本の伝統色、フランスの伝統色、中国の伝統色、といったシリーズもあります。合わせて、2,000色以上からなります。
「DIC株式会社」は、元は「大日本インキ化学工業株式会社」という企業でした。活動歴が長いデザイナーなら、「大日本インキ」の方が馴染みがあるかもしれませんね。今は樹脂製品や化学マテリアルの製造も行うなど、幅広く事業を展開していますが、旧社名が示すように、印刷インキを製造・販売する企業としてスタートしています。かねてから、日本のクリエイティブ業界を支えてきた企業の1つです。
DICの色見本が販売開始となったのは、1968年ですが、田中一光さん、勝井三雄さんらが監修をされています。グラフィックデザインの業界では、言わずと知れた方々です。DICは、デザイナーの声をしっかり取り入れて開発されたということが解ります。

 

Pantoneは「Pantone社」が編纂した国際的な特色

日本国内ならDICですが、国外で印刷物やグッズを製造する時は、特色はPantoneが使われることがあります。企業のコーポレートカラーやブランドのカラー、キャラクターのカラーについてはPantoneの色指定がされていることもあります。例え国内での製造でも、デザインのジャンルによっては、DICばかりでなくPantoneの使用頻度も高くなりつつあります。
Pantoneはアメリカに本社がある「Pantone社」が編纂した特色で、DICと同様、体系化されたカラーシステムとなっています。こちらも、見本帳やカラーチップがあります。日本から中国に入稿する際にも使われるなど、国際的な特色としての一面もあります。
なお「Pantone社」は、今は「エックスライト社」の子会社になっています。

 

まとめ

・特色は色1つ1つに色番号が割り当てられている印刷用の単色インキのこと
・特色は体系化されたカラーシステムとなっている
・日本国内では特色の中でもDICとPantoneの使用頻度は多い

ではまた!

こんにちは。Angel Vibesです。前回の続きで解像度の話です。入稿データを作る際に写真などの画像は「360dpi原寸で配置されている状態にする」と説明しましたが、では実際どんな流れで作業するんだろう? という疑問も出てきますよね。今日はそのお話を中心に解説したいと思います。

 

画像解像度の算出方法

雑誌などの主な紙媒体に使用する写真などの画像は、原寸で配置した時に360dpiになるようにするべし、というお話はしてきましたね。ところで、その「360」という数値はどうやって算出されたのか、気になる方もいらっしゃいますよね?

画像解像度は
スクリーン線数×2
が目安となっています。

雑誌などの主な紙媒体のスクリーン線数は、だいたい175線ぐらいです。なので、360dpiあれば画像解像度としては丁度良いということです。

 

「スクリーン線数」とは?

ところで、「スクリーン線数」とは何でしょう? これも解像度の一種で、印刷物の網点の密度を表す尺度です。網点の密度が高ければ精密な印刷物となります。単位は「線」や「lpi」で、印刷物の1インチの1辺に収められる網点の数によって表されます。
「スクリーン線数」は、印刷物の「網点」の密度ということはありますが、ピクセルやドットと同様、「点」の密度を示す尺度であるということについては、他の「解像度」の考え方と共通していますね。

 

配置画像360dpi原寸で入稿データを仕上げる方法

入稿データを作成する際は、配置画像は原寸で配置した時に360dpiになるように作業するべし、というお話はしてきましたね。では、実際の作業手順はどうなっているのか? というお話です。

1枚のフライヤーをデザインするとします。配置画像として使用する写真などの画像を選別し、AdobeIllustratorのドキュメント上に画像を配置します。とりあえず、レイアウトまでしてしまいましょう。
メニューバー「ファイル」→「配置」で画像が配置できます。この過程で「配置」ダイアログボックスが表示されますが、「リンク」をチェックしておきましょう。そうしないと、画像が埋め込まれてしまいます。これでは、ドキュメント上に読み込まれた元の画像が修正されても、ドキュメント上の配置画像に修正が反映されません。

レイアウトまで出来上がり配置画像の大きさが決まりましたら、元の画像をAdobePhotoshopで開き、必要な設定をしていきます。
メニューバー「イメージ」→「画像解像度」を開きます。「画像解像度」ダイアログボックスが表示されるので、「画像の再サンプル」のチェックを外し、「解像度」は「360」に設定します。こうすると、データの総容量を変えずに、解像度を設定することができます。なお、データの総容量は、ダイアログボックス上部に「ファイルサイズ」で示されます。
デジカメで撮った写真は、デフォルトでは72dpiで保存されている場合もあるので、解像度の数値は必ず確認しましょう。
それから、「画像の再サンプル」のチェックを外すのも忘れずにしましょう。これをしないで解像度を上げると、データの総容量も大きくなり、無駄に重いデータになります。まず、データの総容量が変わらない状態で、解像度を変えるようにしましょう。

「解像度」を「360」に。「画像の再サンプル」も忘れずにチェックを外す。

 
「解像度」を「360」に設定したら、「ドキュメントのサイズ」を、Illustratorドキュメント上の配置画像の「幅」と「高さ」に(Illustratorのドキュメント上では、画像を選択した状態にすれば、上部コントロールパネルに「W」=幅「H」=高さが表示されます。)合わせます。「解像度」の設定の時と同様に、メニューバー「イメージ」→「画像解像度」で、「画像解像度」ダイアログボックスを表示します。ここで「ドキュメントのサイズ」の設定を変更します。「縦横比を固定」をチェックしておけば、「幅」か「高さ」どちらか一方に入力すれば、自動的にもう一方の数値も変わります。今度は、ダイアログボックスの「画像の再サンプル」をチェックして、この作業を行ってください。
「画像の再サンプル」をチェックした状態で画像の幅と高さを小さくすれば、画像の総容量も小さくなります。無駄のない総容量の画像データとなるわけですね。
後々、クライアントから修正が入る場合も想定し、画像のドキュメントサイズの数値を少し大きめに設定しても良いと思います。

「ドキュメントのサイズ」を変更。今度は「画像の再サンプル」のチェックをする。
総容量=ファイルサイズが小さくなる。

 
配置している元の画像の設定は、これで完了です。この作業が済んだらIllustratorのドキュメント上に戻り、忘れずに画像の「リンクを更新」しましょう。「リンク」パネルで「リンクを更新」してください。これで、配置した元画像の変更がレイアウトに反映されます。

これでOKです。こうすれば、データの総容量を無駄に増やすことなく、かつ適切な解像度の原寸の画像を配置することができます。

 

入稿時はデータの総容量は無駄に増やさない

理論的には、配置する元画像の画像解像度を360dpiに設定すれば、Illustratorドキュメント上に配置した時以上の大きさで、画像の「ドキュメントのサイズ」を設定しても、クオリティが保たれた印刷が可能となります。だからといって、画像の総容量を必要以上に大きくして入稿するのは避けた方が良いです。出来る限り画像の総容量は小さくした方が、印刷の版を出力する時にも機械やシステムの負担が少ないです。それは印刷会社さんの負担を、少しでも減らすことにつながります。入稿は印刷会社さんが作業をしやすいよう、スマートにいきたいものです。

 

配置画像は入稿時には「埋め込み」が奨励されている場合もある

Illustratorドキュメント上に配置する画像は、「リンク」の設定で作業してきました。この方が、元画像の設定を変更した際に、ドキュメント上の配置画像に反映しやすいからです。
けれど印刷会社さんによっては、入稿の際、配置画像は「埋め込み」を行うことを奨励している場合もあります。「埋め込み」をしていれば、配置した元の画像を添付しなくても大丈夫なので、画像の添付のし忘れのような入稿時のトラブルを防ぐこともできます。「埋め込み」奨励の場合は、作業の最後に「埋め込み」を行ってください。
一方で、画像を埋め込むとIllustratorドキュメントのデータの容量が大きくなるというデメリットもあります。
この辺りは印刷会社さんの方針もあるので、「埋め込み」が奨励なのかそうでないのか、確かめてから入稿しましょう。

 

まとめ

・360dpi原寸で画像を配置した状態にするには、
 元画像はPhotoshopで開き、メニューバー「イメージ」→「画像解像度」で、
  ★「解像度」を「360」にする
  ★Illustratorドキュメント上の配置画像と同じ「ドキュメントサイズ」にする
・Illustratorドキュメント上でリンク画像の更新も忘れずに

ではまた!

こんにちは。Angel Vibesです。前回は解像度の話をサササっとしてしまいましたが、今日はもう少し具体的に説明しておこうかと思います。「解像度」というと実は複雑な部分もありますので、ちょっと整理しておいた方が良いでしょう。

 

解像度の単位「dpi」と「ppi」の違い

先に細かい話をしておきますね。画像解像度の単位は「dpi」だというお話はしました。印刷を過程に含むデザインの実務上では、画像解像度の単位は「dpi」として扱われがちですが、厳密に言うと「ppi」です。AdobePhotoshopでは、画像解像度の単位は「dpi」ではなく「ppi」を充てています。デザインの実務上では「dpi」と「ppi」は同義に扱っていて差し支えありませんが、厳密には異なります。

違いは次のような点です。

「dpi」
・dots per inchの略
・ドットによって構成される
・「ドット」は印刷で言う網点なども指す物理的な最小単位

「ppi」
・pixels per inchの略
・ピクセルによって構成される
・「ピクセル」はコンピュータで画像を再現する際の仮想の最小単位

デザインの実際の作業ですが、画像データを扱う際には、AdobePhotoshopを用いてパソコンのモニタで見ながら行います。モニタでは、ドットとピクセルが1対1で対応するので、画像解像度の「dpi」と「ppi」を同義として扱って特に問題はありません。また、両者を同義として扱うのが、慣習にもなってしまっている場合もあります。
ただしこれは、デザインの現場単位の話でもあるということもあり、まして、今後どうなるかはわかりません。「dpi」と同義で扱う「ppi」という単位もあるということだけは覚えておいた方が良いでしょう。

 

Photoshopでは「pixels per inch」ですね

 

画像解像度の考え方

 

画像解像度と印刷解像度は分けて考える

「解像度」と言っても、画像解像度と言う時と印刷解像度(プリンタ解像度)と言う時とは、考え方が異なります。両者は混同できないので注意が必要です。
印刷解像度は、それでも「解像度」と言うのだから、「1インチあたりのドット数」を意味することに変わりはありません。ただ、印刷機の性能によって出力の際の解像度は固定されています。例えば解像度2800dpiの印刷機の場合は、印刷した印刷物の1インチの1辺あたりに2800個のドットが収まっている状態となります。なのでこの場合、360ppiの画像解像度でデータを作ったとしても、100ppiの画像解像度でデータを作ったとしても、印刷解像度2800dpiで印刷されるわけです。ただし、印刷物となった時に2800dpiのクオリティを得るためには、データを作る時点で画像解像度が一定数に達していなければならないと言うことです。
紙媒体の印刷に必要な画像解像度の目安は「360dpi」と、耳にすることはあると思います。これは、一般的な印刷物であれば、こうした印刷物の印刷機やイメージセッター(オフセット印刷の版を出力する機械)の印刷解像度に対応した画像解像度が、360dpiと言うことですね。

 

「解像度」は使用シーンによって意味が異なる場合がある

「解像度」といっても、画像解像度と印刷解像度があるということまで分かっておけば、作業過程に印刷を含むデザインの実務は問題なく行えるでしょう。
ともかく、「解像度」は使用シーンによって意味が異なる部分があるので、注意が必要ではあるのです。画像解像度が「密度」を示す尺度であるのに対し、デジタルカメラで言う解像度は、画素の「総量」を示している、なんていうこともあります。この辺りは、実務の使用シーン別に確認しましょう。

 

まとめ

・解像度の単位には「dpi」の他に「ppi」がある
・AdobePhotoshopの解像度の単位は「ppi」
・画像解像度と印刷解像度は分けて考える

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回は、DTPソフトやAdobeIllustratorで、リーフレットやポスターなどの紙媒体の入稿データを作る時、使用する配置画像について注意するポイントを解説しました。今日は、カラーモードや保存形式とそれ以外についても、もう少し詳しいお話をしたいと思います。

 

白黒写真はグレースケールで

前回も少し触れましたが、レイアウトに使用する写真が白黒写真(モノクロ写真)なら、カラーモードはグレースケールにしましょう。カラーモードの変更は、前回解説しましたね。グレースケールに変更する時も方法は同様です。AdobePhotoshopでデータを開き、メニューバー「イメージ」→「モード」から、カラーモードをグレースケールに変更します。
白黒写真のデータが、カラーモードCMYKになっていることもたまたまあったりしますので、レイアウトを始める前にチェックしておきましょう。
もともとが白黒写真であれば、カラーモードをCMYKからグレースケールに変えても、見た目に変わりはないでしょう。ただ、グレースケールの方がデータ量が軽く済みますので、白黒写真ならカラーモードはグレースケールにしておきましょう。

 

画像解像度の設定

入稿データを作成する際は、配置画像の解像度は適切な数値に設定しておきましょう。いくら優れたデザインが出来ても、配置画像の解像度が足りなければ、台無しになってしまいます。
では、「画像解像度」とは何でしょうか?
DTPに用いられる写真画像のデータは、画素の集合体です。Photoshopで写真画像をどんどん拡大していってみてください。四角い点が見えてきますね。これが画素であり、ピクセルとも呼ばれています。画像を構成するこうした画素の密度の尺度を「解像度」と言います。解像度は、1インチの中にどれだけのピクセルが収まっているのかを数値で示され、単位は「dpi」となります。この数値が高ければ鮮明でクオリティが高い画像となり、数字が低くければボケたクオリティが低い画像となります。
こうした画像解像度は適宜設定しておかなければ、デザインのクオリティにも影響します。
 

拡大するとピクセルが見えます

 

画像解像度は360dpiで

紙媒体なら、写真の配置画像は原寸で配置した時に360dpiとなるようにしましょう。360dpiとする理由は、カタログや雑誌の印刷物で使用される写真データの設定が、一般的には360dpi程度だからです。
「配置した時に」と言っているのは、Illustratorに配置した後に画像をそのドキュメント上で拡大すれば、それだけ画像は粗くなり、解像度が低くなります。なので、解像度を維持するなら、「配置した時」と同じ面積のままにしなければならないということです。(なお、デザインの実務上ではほぼ同じくらいの面積であれば良しとします。もちろん、ピッタリ同一の面積でもかまいません。)
写真のデータはこのように、通常360dpi にしますが、漫画の白黒データやイラストなど、細い線を再現しなければならないグレースケールやモノクロ2諧調の画像なら、1200dpi程度が奨励されている場合もあります。入稿の際は、印刷会社さんが奨励する設定と、入稿しようとしているデザインのタイプを念のため調べておきましょう。

 

レイアウトに使う写真の配置画像は見た目もチェックしましょう

レイアウトに使う写真の配置画像は、最初にカラーモードや解像度をチェックしなければならないというお話をしてきました。
写真画像はそれ以外にもチェックする箇所があるので、1枚ずつPhotoshopで開いて確認しなければなりません。おかしい箇所があれば、修正を行います。こうした修正作業を「レタッチ」と呼んでいたりもします。

・ゴミはついていないか
・色が寄っていないか(赤カブリ、青カブリ)
・メリハリ

こうした点をチェックします。
画面にゴミがついていれば、スタンプツールで消しましょう。レタッチの中でも、これが一番分かりやすい作業かも知れません。
それから、画面全体を眺めてみて意図せず赤っぽくなっていれば、それは、「赤カブリ」という現象です。色が赤いトーンに寄ってしまっているのです。色が変だなあ・・・という場合は、カラー調整しましょう。
また、メリハリがなければ少しコントラストを強くしましょう。
レタッチは奥が深く、判断が難しいかもしれません。こうした判断ができるようになるには、とにかく美しい写真を観るようにしてセンスを磨くしかありません。画廊や美術館で良い作品に触れるようにしてみてください。
それから、iPhoneなどの手軽なカメラ機能で遊んでみるのも良いと思います。今どき、インスタグラムなどを見ていても、撮影が皆さんお上手だなぁと思うこともあります。とにかく、写真の善し悪しの判断力は、観たり触ったりして身につくことなので、まずは楽しみながらやってみましょう。
 

画面全体が赤っぽいですね。赤カブリです。

 

色調整すると雰囲気が変わります。

 

まとめ

・白黒写真のカラーモードはグレースケールにする
・紙媒体の印刷なら、解像度は360dpi程度が一般的
・レタッチの判断力は、質の良い写真を観て身につけましょう

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。リーフレットやポスターなどの紙媒体の印刷物をDTPソフトで入稿データを作成する際、必ず気をつけなければならないことの一つに、「配置画像」の設定があります。今日は紙媒体のデザインで使われる「配置画像」のお話を中心にしたいと思います。

 

「配置画像」とは?

DTPでいう「配置画像」ですが「貼り込み画像」とも呼ばれます。リーフレット、ポスターといった紙媒体で、商品や風景などの写真を目にすることはありませんか? こうした媒体がDTPソフトでデザインされているなら、それらの写真は、DTPソフトのドキュメント上に読み込まれ配置されたデータです。これがDTPソフトで言う「配置画像」です。
AdobeIllustratorなどDTPのデザインに使われるソフトなら、写真等の画像データを外部から取り込み配置できる仕様となっています。配置された画像は、文字、罫線、図形などの要素と組み合わされ、画面が構成されます。DTPソフトでは、このようにしてレイアウトが行われます。

 

紙媒体の印刷物をデザインする際は、最初に「配置画像」をチェック

DTPソフトの中でも、AdobeIllustratorを例に考えてみましょう。まあ、よく使われるソフトなので。
リーフレットやポスターなどの紙媒体の印刷物をAdobeIllustratorを使って入稿データを作成する際、最初にしなければならないことがあります。
それはレイアウトに使用する「配置画像」のカラーモードと保存形式のチェックです。
レイアウトに使用する予定の画像は、「コマンド+I」で「情報を見る」にして最初にチェックしておきます。「情報を見る」にしたら「詳細情報」を開いてみてください。「色空間」の欄を見れば、カラーモードがRGBかCMYKかが分かります。
そして、保存形式はデータの拡張子を見れば解りますね? PSD以外でしたら、PSDにしておいてください。なお保存形式は、他にTIFFなどもあるのでそこは予め調べておきましょう。 とはいえ、CSになってからは、Adobe社がPhotoshopネイティブのPSDを保存形式として奨励しているので、今時の保存形式ならだいたいPSDです。
レイアウトに使用する画像がカラーで、画像を確認してみてカラーモードがRGBでしたら、AdobePhotoshopでデータを開き、メニューバー「イメージ」→「モード」から、カラーモードをCMYKに変更してしまってください。また、保存形式がPSD以外でしたら、普通に「保存」せず、「別名で保存」にします。「コマンド+シフト+S」で「別名で保存」になります。「別名で保存」にするとダイアログが開かれるので、「フォーマット」→「Photoshop」を選んでください。すると保存形式「PSD」で保存されます。
なお、使う画像が白黒(「モノクロ」と呼んでいる画像はだいたいコレ)なら、グレースケールでの保存となります(詳細は次回説明します)。
 

「情報を見る」→「詳細情報」で「色空間」を見てみましょう

 

「別名で保存」ダイアログで「フォーマット」をPSDに変えましょう

 

保存形式PSDとは?

先ほども言いましたが、保存形式PSDはPhotoshopネイティブの保存形式です。Illustratorの配置画像などにも使用でき、Adobe社が奨励する形式でもあります。
現在は、Illustratorの配置画像はPSDが主流であると言えるでしょう。しかしかつてはEPSが主流でした。EPSのデータは、現在でも使えなくはありませんが、PSDは何かと使いやすいですし(これはまた別の日に説明しますね)、とりあえずPSDが主流であると覚えておいていただければ問題ありません。
配置画像の保存形式は、技術の変化など時代を経てPSDに移り変わりました。新技術が生まれて今後も変化していく可能性はあるでしょう。

 

写真のデータはRGB・JPEG形式で保存されていることがある

DTPで使用する写真のデータは、実際のところ、RGB・JPEG形式で保存されていることがあります。そもそもデジタルカメラで撮影した写真は、カラーモードRGBとなってしまうし、保存形式はJPEGやTIFF等となる仕様なので、まあ不思議ではありません。
JPEG形式はデジタルデータの保存形式としては、EPS等の形式よりデータ量が軽く済みますし、カラーモードもCMYKよりはRGBの方が軽く済みます。データを保存しアーカイブとして残すなら、より軽いデータ量にしておく方が管理はしやすいということは言えるでしょう。
なので、レイアウトに使用する写真データがあらかじめCMYK・PSDで保存されているかと言えば必ずしもそうでもないので、レイアウトに使用する写真は、最初に保存形式やカラーモードをチェックしておいた方が良いということも言えるわけです。
そもそも写真データはいろいろなチェックを要します。メリハリはどうだろう? ゴミはついていないだろうか? などなどということがあります。

チェックポイントの話は次回に続きます。

 

レイアウトしたIllustratorのドキュメントはAI形式で保存

AdobeIllustratorに配置する画像は、PSD形式が主流だという話をしてきましたが、一方画像を配置された側のIllustratorのドキュメントは? という話です。AdobeIllustratorのドキュメントはAI形式で保存しましょう。これは、Illustratorネイティブの保存形式でAdobeの奨励となっています。

 

まとめ

・入稿データを作成する際は最初に「配置画像」のカラーモードと保存形式をチェック
・紙媒体なら「配置画像」のカラーモードはCMYKにする
・カラーの「配置画像」なら保存形式PSDにする
・AdobeIllustratorドキュメントは保存形式AIにする

ではまた!