こんにちは。ANGEL VIBESです。前回の解説で、特色を用いることで表現の幅が広がることは解っていただけたと思います。
では、そもそも「特色」とは何か? どんな役割を担っているのか? デザインの実務の視点から、もうちょっと説明をしておこうかと思います。

 

「特色」とは?

「特色」とは、単色1つ1つに色番号が割り当てられている印刷用の単色インキ(インキ=インク。古い人間なのでインキと言ってしまいます。)で、体系化されたカラーシステムとなっています。色見本が作られていて、見本帳やカラーチップにまとめられています。
オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせでは再現できないけれど、特色でなら再現できるよ、なんていう色もあります。前回説明したように、彩度が保持されたエメラルドグリーンもそうです。
私は年賀状を毎年デザインしていますが、特色のお世話になっています。下の画像の「2018」「Happy New Year」には金色の特色を使いました。DIC - 620です。
画像では茶色っぽく見えていますが、実際にはキラキラしたインキです。このキラキラがあるとなしとでは、ずいぶん印象が変わります。
 

2018年の年賀状です

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特色の用途

特色の用途ですが、まずはインキとしての用途があります。印刷に用いられます。
オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせで再現できない部分を特色にしてみたりする他、特色とスミ(ブラック)の2版で印刷をするなどという例もあります。
他には、インキとして用いるというより、その体系化されたカラーシステムを利用して指標として役立てることもあります。実際のデザインワークにおいては、こちらの用途もかなり占めていると思います。
グッズを作る時の工場への指示書などにおいては、色指定があります。この部分の生地色は「Pantoneの○○番」などと指定します。「この指定色に近い色の生地にしてください」、あるいは、「この指定色に生地を染めてください」などというふうに。このように、印刷インキとして役立てる他、色の指標として参照してもらうために使う場合もあるのです。
特色は、デザインの現場で色についての情報伝達をする際の、共通コードとして成り立っているということです。今や、デザインワークに無くてはならない必要不可欠なツールです。

 

特色でよく知られているのは「DIC」と「Pantone」

じゃあ、特色は誰が編纂して管理しているのかなあ? という疑問を持つ方もおられるかもしれませんね。
特色の編纂・管理、それに続く製造・販売は、色システムやインキ製造に関わる企業などが行ってます。彼らが、色を体系化し番号を割り当て特色を編纂しています。
「特色」といっても種類がありますが、日本では「DIC」と「Pantone」がよく知られています。Adobeのデザインソフトでも、スウォッチにDICやPantoneを入れることができるようになっていますね。実際、デザインの実務上でもよく使うので大助かりです。
DICとPantoneはこのようにデザインソフトのシステムに組み込まれている一方、実際に手に取り参照することができる現物として、見本帳やカラーチップが市販されています。大き目の画材屋さんのデザイン用品コーナーでなら、DICやPantoneのカラーチップを見かけたことがある方もおられるかもしれませんね。

下のようなデザインツール、見かけませんか?

DICのカラーチップ。第15版。少々古いです。
Pantoneのカラーチップ

このように、見本帳やカラーチップの現物があるのには、理由があります。前回も触れしましたが、モニタと印刷物の色は基本的に異なるからです。モニタは現物の仮の姿に過ぎないということです。なので、デザインの実務においては、入稿の際は入稿データの他にカラーチップも一緒に印刷会社に渡す機会もあります。ただ、入稿といってもいわゆるネットプリントなどであれば、カラーチップを渡すという作業は省略されています。

 

DICは「DIC株式会社」のカラーシステム

日本国内でのデザインワークにおいては、DICは最も使われる特色の1つではないでしょうか? デザインのジャンルにもよりますが、国内生産ならば、特色にDICを使うことは多いです。
DICは「DIC株式会社」が管理するカラーシステムで、色見本にまとめられ、デザインの実務で活用されています。色見本は、ビビッドな色から淡い色まで揃っていて、グレイッシュトーン、また、日本の伝統色、フランスの伝統色、中国の伝統色、といったシリーズもあります。合わせて、2,000色以上からなります。
「DIC株式会社」は、元は「大日本インキ化学工業株式会社」という企業でした。活動歴が長いデザイナーなら、「大日本インキ」の方が馴染みがあるかもしれませんね。今は樹脂製品や化学マテリアルの製造も行うなど、幅広く事業を展開していますが、旧社名が示すように、印刷インキを製造・販売する企業としてスタートしています。かねてから、日本のクリエイティブ業界を支えてきた企業の1つです。
DICの色見本が販売開始となったのは、1968年ですが、田中一光さん、勝井三雄さんらが監修をされています。グラフィックデザインの業界では、言わずと知れた方々です。DICは、デザイナーの声をしっかり取り入れて開発されたということが解ります。

 

Pantoneは「Pantone社」が編纂した国際的な特色

日本国内ならDICですが、国外で印刷物やグッズを製造する時は、特色はPantoneが使われることがあります。企業のコーポレートカラーやブランドのカラー、キャラクターのカラーについてはPantoneの色指定がされていることもあります。例え国内での製造でも、デザインのジャンルによっては、DICばかりでなくPantoneの使用頻度も高くなりつつあります。
Pantoneはアメリカに本社がある「Pantone社」が編纂した特色で、DICと同様、体系化されたカラーシステムとなっています。こちらも、見本帳やカラーチップがあります。日本から中国に入稿する際にも使われるなど、国際的な特色としての一面もあります。
なお「Pantone社」は、今は「エックスライト社」の子会社になっています。

 

まとめ

・特色は色1つ1つに色番号が割り当てられている印刷用の単色インキのこと
・特色は体系化されたカラーシステムとなっている
・日本国内では特色の中でもDICとPantoneの使用頻度は多い

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBES です。10年以上前だと記憶していますが、私はティファニーのネックレスをプレゼントされたことがあります。ネックレスはエメラルドグリーンの箱に入ってやって来ました。「ティファニーブルー」とも呼ばれるこの爽やかな色が気に入って、ネックレスの収納ケースとして、今でも大事に使っています。
初音ミクのキャラクターのテーマカラーもエメラルドグリーンですね。髪や目、コスチュームに、取り入れられています。
私も好きな色ではありますが、この青緑系の色は、実はデザイナー泣かせの色でもあります。

 

CMYKでは再現が難しいエメラルドグリーン

エメラルドグリーンも含まれる、俗に「青緑」と呼ばれる系統の色は、オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせで再現しようとする時は注意が必要です。彩度がずいぶん低くなってしまうため、パソコンのモニタ画面で確認した色と比べてくすんだ印象になってしまい、刷り上がった印刷物のコレジャナイ感がハンパない、などという状況に陥りがちです。
そもそも以前にもお話していますが、エメラルドグリーンは、カラーモードをRGBからCMYKに変換しただけでも彩度が落ちてけっこう置き換わってしまうということでした。とにかく、CMYKで再現するのが難しい扱いづらい色と言えます。
(※RGBやCMYKのカラーモードのお話について忘れてしまっていたら、「色の基本(1)色の基本(2)」あたりを読み返して見てください。)

私物のティファニーのネックレスの箱。大事にしてます。

 

CMYKの再現が難しければ特色を使う

でも、写真に映っているティファニーのネックレスの箱の色は、彩度が保たれていてくすんだ印象はないよね?という感想をお持ちの方もおられるかと思います。確かにそうですね。これにはちょっとした理由が考えられます。
ティファニーの箱の印刷には、どうも特色が使われているようなのです(写真の箱は厳密には特色を印刷した紙が箱に貼つけられている)。CMYKの4版掛け合わせでは、あのような鮮やかなエメラルドグリーンを再現できない一方、特色になら、あのようなエメラルドグリーンはありますし。・・・ということから考えれば、ティファニーの箱はCMYKで印刷していないことは予想がつきます。目を凝らしても網点が見あたりません。これは十中八九、特色と考えられるでしょう。
ティファニーほどの伝統あるブランドなら、通常はブランディングの課程で色指定を行うものなので、コーポレートカラーとして特色の指定色があるはずですし。日本国外に本社があるブランドなので、Pantoneあたりの指定になっていそうですね。
もしくは、専任の印刷会社さんに「ティファニーブルー」を特色として作ってもらっているかもしれません。企業によっては、独自のコーポレートカラーを専任の印刷会社さんに作ってもらっている場合があります。私も、以前に、ある印刷工場の見学に行った際、そういった特色を見せていただいたことがあります。

 

デザイナー泣かせだが個性的なカラー

このように、オフセット印刷においては、鮮やかなエメラルドグリーンのようなCMYKの掛け合わせでは再現できない色がありますが、特色で補える時もあります。
そんな時は、いつも特色が使えれば良いのですが、どうしてもCMYKでエメラルドグリーンを再現しなければならない場合もあります。特色を入れればそれだけ版が増え、印刷代も上がることになります。印刷経費を抑えるため、出来る限りCMYKの4版のみを用いた印刷にしようという場合もあるわけです。そんな場合は、発色が良い紙を使用して印刷するという手段もありますので、いかにそれっぽい色に見えているかという部分で、試案を重ねていくしかありません。迷ったらコート紙です。安めで発色が良いです。
ともかく、エメラルドグリーンは扱うには技術も知識も必要な色です。それゆえに、ブランドカラー、キャラクターのテーマカラーとしては採用されにくい色かもしれません。しかし、だからこそ世の中にありふれた色となりにくく、他と差異化ができて個性が出ます。難しい色ですが美しいですし、チャレンジしてみる価値がある色です。

 

モニタで映える初音ミクのエメラルドグリーン

彩度が保たれた状態の、鮮やかなエメラルドグリーンは美しいですね。特にモニタでこそ個性的で印象に残ります。
モニタで見る時の初音ミクのエメラルドグリーンは、印刷で再現できないRGBモードの光の媒体にしかない色です。青緑系でああいった彩度が高い色は、印刷では再現できない、極めて電子的なカラーということも言えます。それをキャラクターのテーマカラーにしたのは、初音ミクを見る媒体についてモニタ等の光の媒体をメインに想定しているからかもしれません。
なんとも、今どきのボカロアイドルっぽい現象ですね。

 

初音ミクのエメラルドグリーン、特色なら?

試しに、RGBモードの初音ミクのエメラルドグリーンに、特色をあててみましたよ。色チップを見て確認しました。

ポンチ絵で失礼します。

初音ミク

この絵なら、「DIC42」もしくは「DIC2162」でしょうか?
ご参考まで。

 

まとめ

・ティファニーや初音ミクのエメラルドグリーンは、厳密にはCMYK4版の印刷では再現できない
・エメラルドグリーンは再現が難しい色だからこそ独特で、チャレンジしてみる価値あり
・初音ミクのエメラルドグリーンは、特色なら「DIC42」もしくは「DIC2162」ぐらいだろうか?

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBES です。イメージを伝えるための色彩計画は、デザインにとって最も重要な要素の1つです。これによって、イメージがより明確に伝わったりキャラクターがより引き立ったり、ということがあります。
企業やブランド等でも「コーポレートカラー」と言われる、企業を象徴するカラーがありますね。
アニメなどのキャラクターでも、キャラクターのテーマカラーが設定されている場合があります。また、ミュージシャンやアイドルなどの実在する人物が、人物像を表すテーマカラーを設定している場合もあります。
このように、あらゆるデザインにおいて色彩計画は基本です。今日は、そういった色彩計画のお話をしようと思います。

 

色彩計画によってイメージをわかりやすく伝える

何でもいいですが、ブランドやキャラクターを思い出してみましょう。
ブランドやキャラクターを頭に浮かべてみた時、色彩も一緒に浮かんでくることがありませんか? イメージは、それだけ色を伴っているということです。そうした理由で、実際のデザイン展開でも、個性を表す色を積極的にデザインに取り入れている例があります。

 

「エヴァンゲリオン」、レイの「静」・アスカの「動」

アニメなどのキャラクターには、個々のキャラクターのテーマカラーが設定されている場合があります。キャラの個性がイメージしやすいので、象徴する色を設定してしまうというわけです。「新世紀エヴァンゲリオン」もそういった例だったと言えるのではないでしょうか?
「新世紀エヴァンゲリオン」の中では、2人の少女の対比が作品を生き生きさせていたと思います。レイの「静」・アスカの「動」、2人のキャラクターの個性の対比です(シンジ君ごめんね、今日は話題にしないから)。
レイは水色の髪、アスカはオレンジの髪、2人の性格が表れていると思いませんか? レイはクールで、アスカは勝ち気でアグレッシブ。エヴァに乗る少年少女の内でも、特にこの2人の個性は互いを引き立てあってましたね。
レイの水色、アスカのオレンジ。まさに「静」と「動」の対比ですが、これがキャラクターのテーマカラーになっていた、というか、2人の個性がこの色に重なっていましたね。これが逆の色の設定だったら、それはそれで、腑に落ちない感じになっていたことでしょう。
こうしたテーマカラーの設定は、キャラクターグッズのデザインをする時にも役立ちます。なぜなら、キャラクターのテーマカラーを利用すれば、キャラの個性に添ったデザインが展開できるからです。
キャラクターグッズでは、レイは水色から青色の寒色系、アスカはオレンジから赤の暖色系を用いてデザインされました。こうした色を取り込むことにより、キャラクターの個性が表れたデザインの展開となっていましたね。ショップなど売り場では、色の対比がキャラそれぞれのグッズを引き立て合って「売り場映え」もしました。キャラのテーマカラーにより、アニメ作品そのものとしてももちろんですが、グッズでもキャラの個性が生き生きとして、秀逸なものとなっていったと思います。

 

hideさんのパッションピンク

色彩計画を効果的に使う例は、架空のキャラクターばかりではありません。その人物の個性を象徴するものとして、実在する人物にもテーマカラーが用いられる例があります。
ミュージシャン、アイドル、ひいては政治家、といった実在する人物が、自分のキャラクターカラーを設定し用いる手法は、現代のデザインにおいてはもはやポピュラーと言えそうです。そんな中、そういった色彩計画が圧巻なのは、元「X JAPAN」のhideさんのピンクをテーマカラーとしたカラーコーディネートでしょう。
ピンクをテーマカラーにして、これ以上スタイリッシュで印象に残る見せ方をした人はまだいないのではないでしょうか。

「Ja, Zoo」hideさんのアルバムCD。1998年発売。

hideさんのパッションピンクは、hideさんのアーティストとしてのパンキッシュで鮮烈なイメージを象徴していたように思います。「ピンク」というと甘くふんわりしたイメージにまとめがちですが、hideさんのカラーコーディネートは違っていました。あのパッションピンクにネオンカラーなどの彩度が高い色を合わせてきたり、そればかりかあえてダークトーンにあのピンクを刺してきたり(それでいて、「ピンク」に目が誘導されて、この人物を象徴するカラーは「ピンク」だ! となる。ピンクを使うタイミングや面積も絶妙だったということです)。
hideさんは「ピンク」という色のイメージすら変えてくれたのかもしれません。それは「スイート」なのではなく「辛さ」だと言わんばかりに。
それが、hideさんっぽいよね、というところだったと思います。他の人じゃなかなかこなせないのでしょう、あのカラーコーディネートは、hideさんが亡くなった以降もなかなか見かけませんね。そういった部分では、ブランディングで重要な要素である他との「差異化」がうまくできていた例なのだと思うし、hideさんらしい鮮烈さを伝えることに成功していたと思います。hideさんのピンクは、ファッションにもミュージックビデオにも的確に用いられていました。それで、あのピンクがあった上での名曲「ピンク スパイダー」ですよ。名曲がさらに心臓に刺さってこないわけがありません。
 

YouTube「hide with Spread Beaver - ピンク スパイダー」(hideofficialVEVO)

リアルタイムで知らない若い世代もそろそろ増えて来たかと思いますが、hideさんを一度は見てみてほしい!
つい、熱苦しくなってしまいました。。。今日はこのへんで。

 

まとめ

・色彩計画により、ある対象のイメージがより明確に伝わる
・企業だけでなく架空のキャラクターや実在するミュージシャンなどがテーマカラーを設定していることがある
・hideさんのミュージックビデオは一度見てみることをおススメする

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBES です。「CMYK」と「RGB」の話に関連して、インクの色と​モニタの色のことについても少しだけ解説しておきますね。
パソコンを使ってデザインすると、モニタで確認した色と実際に刷りあがった印刷物の色とが違っていた、なんていう経験はありませんか? 「CMYK」と「RGB」とでは再現できる色に違いがあるからです。

 

インクの色、光の色、知覚している内容の違い

人が色を知覚する時、目の視細胞が外界の光を受容し刺激を受けそれが電気信号となって脳に伝わっています。とても端的に言えば「見る」とはそのようなことです。人が「見る」その「外界の光」とは、ある範囲の波長の電磁波です。この「見る」ことが可能な電磁波は可視光線と呼ばれ、日常的には単に「光」と呼ばれていたりもします。
この辺りは高校生までの理科で習うことだと思うので、忘れてしまっていたら教科書を読み返してみましょう。

インクの色と​モニタの色の件に話を戻しますが、人が「見る」その「外界の光」は、インクの色とモニタの色とでは内容に違いがあります。
モニタの色はモニタを通し発する光をそのまま見ていることになりますが、印刷物に刷られたインクはそうではありません。インクの色として「見ている」と知覚しているのは、インクに吸収された可視光線の以外の、吸収されずに反射した可視光線です。例えば、インクがマゼンタの場合、可視光線のうちのマゼンタ以外の波長の光線をインクが吸収し、マゼンタの波長の光線のみを反射しています。また、インクが黒ならば、インクが可視光線を全部吸収し反射がないということです。
このように色の知覚いおいて、インクの色とモニタの色との間には、「反射した光」と「発する光そのもの」という差があります。そしてこの差ゆえに、両者で知覚させることができる色にも差があります。見た目に共通点・類似点がある色はありながら、それ以外の異質な色もあるわけです。

 

モニタの色にはインクで表せない彩度の色がある

モニタの色にはインクで表せない高い彩度の色があります。「彩度」とは色の鮮やかさの程度を示す尺度です。ショッキングピンクなど、「ネオンカラー」と呼ばれる色などは彩度の高い色の分類に入ります。一方、グレイッシュなトーンの色は彩度の低い色の分類に入ります。
なので、モニタで確認した色が印刷物にした時に彩度が変わり、「色が変わった」と感じることもあるのです。

とはいえグラフィックデザインのソフトでは、モニタでも印刷物の「CMYK」の色の調子を確認できるように、「CMYK」モードでのプレビューができるようになっています。プレビューのみならず、画像の「RGB」から「CMYK」へのカラーモードの変換も可能です。例えば、AdobePhotoshopを使えば、「RGB」モードの画像を「CMYK」モードに変換できます。こうした変換時に、色が少々くすんだりあるいは落ち着いた印象になった、という経験はありませんか? このような場合は、色彩が「RGB」から「CMYK」で再現できる色に置き換わり、彩度が変化しています。
ただ、光をそのまま発するモニタ画面を通し画像を見ている以上は、「CMYK」モードのプレビューにしたからといって、見た目の色が印刷物と同一になるわけではありません。見た目を近づけることはできても、完全に一致させることはできないのです。
したがって、印刷物のより厳密な色を完成品となる前段階で確認したければ、校正刷り(色校)に頼らざるを得ないということです。

 

エメラルドグリーン系の色はけっこう置き換わる

いわゆる「エメラルドグリーン」と呼ばれる系統の色は、「RGB」から「CMYK」に置き換えた時、けっこう見た目が変わります。
例えばAdobePhotoshopで、「RGB」モードのエメラルドグリーン「R=0、G=255、B=228」を、そのまま「CMYK」モードに置き換えてみてください。かなりくすんでしまいますね。「CMYK」モードに変換すると「C=56、M=0、Y=29、K=0」に置き換わるわけですが、「RGB」モード「R=0、G=255、B=228」の色は「CMYK」モードではその彩度を再現できません。
 

これが「R=0、G=255、B=228」

こうじゃ!! 「C=56、M=0、Y=29、K=0」

 
このような色もあるので、グラフィックデザインソフトを使う際は、デザインする対象の媒体が印刷物なのかモニタなのかを確認しておかなければなりません。そして、印刷物の媒体に仕上げるなら「CMYK」プレビューで、モニタで見る媒体に仕上げるなら「RGB」プレビューで、それぞれ作業を行うことで、配色のミスをより防ぐことが可能となります。

 

インクによっても再現性が異なる

何かのデザインをしたとして、多くは入稿前にプリンタでプリントアウトをして見た目の確認をしていると思います。ただ、プリンタの特性によっても、色によって再現性が低かったりということもあります。家庭用のインクジェットプリンタだと、デジカメの写真はかなりきれいにプリントアウトできる一方で、赤のベタ面がひどくくすんでしまう場合もあります。レーザープリンタでも、色によっては彩度が異なってしまうことがあります。モニタと印刷物の色とでは差がある上に、このようにプリンタによっても再現性の問題があります。
最終的にオフセット印刷で仕上げるなら、オフセット印刷の校正刷りを出すのが最も厳密に色を確認できる手段です。とはいえ、オフセット印刷の校正刷りを出すにもその分金銭的なコストもかかるわけで、出す回数に限りがあると思います。なので、「DICカラーチャート」など、オフセット印刷の色見本と見比べて色を確認する作業も併用しましょう。
「DICカラーチャート」は私も所有しています。「CMYK」のインクの掛け合わせで、各比率のマスが並べられています。いざという時には、やはり役に立ってます。
 

DICカラーチャート

 
(かなり古くなってしまいました。多少なりとも変色していると思うので、買い替えなければなりませんね・・・。)

 

まとめ

・インクの色とモニタの色は見た目が異なる部分もある
・エメラルドグリーンは「RGB」から「CMYK」に置き換えると、彩度がかなり変わる
・「DICカラーチャート」でオフセット印刷の色の確認ができる