こんにちは。ANGEL VIBES です。前回はDTPが主流の今日の、デジタルの入稿データを用いた印刷物作成のプロセスについて解説しました。今日はそうしたプロセスの中でも、入稿データ作成時のチェックポイントについてお話したいと思います。
印刷物をデザインするとして、印刷技術が日進月歩と言われてしまってはうっかりすると取り残されてしまいそうで、ちょっと不安になるかもしれません。ですが、心配無用です。定期的に、ネットプリントの業者さんのWebサイトを見て、データ入稿のチェックポイントをしっかり把握するようにしてさえいれば、大丈夫です。デザインソフトのバージョンや、印刷技術が上がることで、入稿データの作り方の細かい部分が変化することは、もちろんあります。でも、そうした印刷業者さんのWebサイトでは、時代の新しい変化に対応して、データ入稿のチェックポイントの説明ページをアップデートしています。まずは慌てずに読んでみましょう。

 

印刷技術は確かに日進月歩だけれども

デザイン業界の人々向けの展示会では、新しい印刷技術を目にする機会があります。「こんな印刷ができるようになったんだ!」などと驚嘆することもしばしばです。
私が、近年目まぐるしく発展したと思うのはインクジェット式の印刷技術です。10年あまりのうちに、色、とりわけ黒っぽいトーンは発色が良くなりましたし、かなり細かい線の再現ができるようになってきたなあという感想もあります。インクジェット式は新しい印刷技術として発展し、布物などのグッズの生産の際に用いられる印刷技術として定番化してきました。
そして、現代の印刷技術として基盤の一つとなっているオフセット印刷は、デジタル化とその発展にともなって、入稿の方法が変化し続けました。
新しい技術、そして変化。ついて行けるか不安になるかもしれませんが、そこはあまり慌てないことが肝心です。
プロもセミプロも学生さんも利用するようなネットプリント業者さんでは、大概そのWebサイトで、入稿データ作成上の注意を公開していますし、デザインスペースとトンボが記されたテンプレートを用意しています。時折、こういった情報を注意深くチェックして自分の知識をアップロードしていれば、新しい技術に追いつけなくなるなど、そうそう起こらないと思います。

 

ネットプリントのWebサイトをチェックしてみましょう

ネットプリントはインターネット経由でデータを送信し、入稿することができる印刷の手法です。業者さんの多くは、刷り上がった印刷物を、指定する場所に配達するサービスも行っています。
日本のネットプリントの業者さんには、「グラフィック」や、「WAVE」があります。プロも利用している印刷業者さんです。オフセット印刷に対応していて、印刷紙の種類も色々あり、多様な表現が楽しめます。そこまでの表現を求めずオフセット印刷でなくても良いというならば、コンビニエンスストアでもネットプリントを行っているので、こちらのサービスを利用すれば良いと思います。ただ、今回は、オフセット印刷に対応した入稿データの作り方に焦点を絞りたいので、「グラフィック」や「WAVE」のようなタイプの業者さんを例に考えてみたいと思います。
「グラフィック」さんでもそうですが、ネットプリントのWebサイトには、入稿データの作り方の解説ページがあります。印刷機器においてもデザインソフトにおいても、最新の技術は、導入当初はエラーが発生したり、不具合が生じる場合もあり、安定的に使用できるかどうかの研究や試験運用が必要になります。こうした解説ページに記載されている情報は、それをクリアした最新技術を含めた情報となります。
そして、そのような最新技術の反対に、古くともここまでの技術には対応している、といった情報も掲載しています。なので、古くとも新しくとも、この辺りまでの技術を覚えておけば大丈夫だという目安になるというわけです。一方、古い技術の中で対応していないものがあるならば、今や古すぎる技術なのだ、という認識も必要だということです。

「テクニカルガイド」のページが、ちゃんと設けられていますね。

画像出典:「グラフィック」のWebサイト(https://www.graphic.jp)

 

古い技術といっても

ただ、「古い」あるいは「古くからある」技術とはいっても、だから価値がないということでもありませんので、少し補足しておきます。
昔の文庫本等、今でも古本屋さんで手にすることはできますが、昔の本には活版による印刷をしばしば見かけます。本文を触ってみると凸凹しますね。これは活版印刷の特徴です。それでも、活版の印刷物は見かけることが減ったと思いますが、だからといって価値がないということではありません。古くからある技術ですが、オフセット印刷で表現できない味があったり風情があったりするものです。活躍の場は減ったとしても、まだまだ現役の技術です。
あえて古い技術を用いることでデザインの幅が広がることはある、ということは念頭に置きつつ、最新の技術も知っておけば、さらに色々な表現ができるというものです。

次回は、入稿データ作成時のチェックポイントについて、さらに具体的に解説したいと思います。

 

まとめ

  • 最新技術に対応した入稿データの作り方はネットプリントでチェックできる
  • ネットプリントのような印刷業者さんが対応できない古い技術は「古すぎる」
  • 活版印刷などは、古い技術でも価値がないということではなく、風情や味を醸し出す現役の技術とも言える

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。お話を、「版下」主流の時代から、デジタル「入稿データ」主流の今日に戻し、今回は、デジタル時代における印刷物やグッズを作成する際の印刷のプロセスについてお話します。
前回は「版下」を用いた印刷のお話をしましたが、デジタル時代の今日においても、印刷物を作成する手順は、「版下」主流だった時代のそれと共通項があります。
印刷物を作る際は、今日もかつての時代も、印刷業者や工場に入稿を行い印刷をするというプロセスを経ます。そうした作業の流れは、今も昔もそう変わりません。
それをふまえつつ、今回はDTPが主流の今日の、デジタルの「入稿データ」を用いた印刷物作成のプロセスについて解説します。
 

私がデスクトップ型の他に使用しているMacBook。パソコンはデジタルの作業には必要不可欠。

 

「DTP」とは?

「DTP」とは、desktop publishingの略です。「デジタル大辞泉」の解説では、「パソコンなどを用いて、原稿の入力から編集・レイアウト・印刷などの出版のための作業を行うこと。」とあります。他の辞典でも似たり寄ったりの解説で、デザインを生業とする私から見ても、だいたいそんなところだと思います。今や慣習的に、パソコンを用いてレイアウト〜データを入稿〜工場で印刷の版を作る〜印刷をする、といった、印刷物を作る際の一連の作業の手法をまとめて「DTP」と呼んでしまっています。「出版のための作業」というと、印象からして、紙媒体の印刷物のことを思い浮かべがちですが、実際には、布に印刷して商品を製造する際であっても、パソコンを用いてレイアウトデータを作成する手法ならば、「DTP」と呼んでしまっていると思います。「DTP」を紙媒体に限定するとなると、今となっては何とも違和感があります。その辺は、「DTP」が始まった1980年代の感覚での「電子出版」的なイメージからは、広がりを見せているかもしれませんね。

 

「DTP」時代の印刷

印刷物を作る際の作業の流れは、今日のようなDTP主流の時代もそれ以前の時代も、おおまかにはそう違いはありません。「入稿データの基本(1)」でもお話したとおりですが、ちょっと復習しますね。

・クライアントと打ち合わせ

・デザインカンプ作成

・デザイン提出

・デザイン修正

・デザインOK

・入稿データ作成

・印刷会社・工場へデータ入稿

・印刷物やグッズが完成、クライアントへの配送

今も昔も、おおまかにはそんな流れです。ただ、「DTP」主流の今日では、昔「版下作成」であった部分が、「入稿データ作成」となっているということです(もちろん今日においても、版下を必要とする媒体もあるので、「版下作成」をプロセスに含む場合もあります)。「DTP」時代の印刷に関連し、かつての時代と他に違う点があるとすれば、工場にデータ入稿した後の作業における「製版」や印刷のために工場で導入している機材でしょう。

 

製版と印刷、その機材

「製版」ですが、これは、工場で印刷のための版を作る過程を指します。「入稿データの基本(2)」でも触れましたが、オフセット印刷でCMYKに色分解した版を作る「分版」も、「製版」に含まれます。
印刷技術のデジタル化が進むに伴って、そういった「製版」のための機材もまた技術に合わせた更新がされていったということです。
また、そういった印刷技術の発展に伴い、印刷のバリエーションも増え広がりを見せました。現在では、版を作ることなく入稿データからダイレクトに印刷を行う、「オンデマンド印刷」も登場しています。そういった新しい印刷技術のために、新しい印刷機材が登場しているという面もあります。
印刷技術は日進月歩の分野です。印刷の風景は、版下が主流だった時代と比べてもそうですが、これからも変わり続けて行くでしょう。

 

「校正刷り」、出す、出さない?

布物や立体的なグッズも含めてですが、印刷物を作る際、印刷業者や工場へデータ入稿をした後、「色校正」などの「校正刷り」を出す場合もあります。
「校正刷り」とは、確認用の試し刷りの印刷物ですが(布物については、単に「サンプル」と呼んだりしている場合もあります。)、特に「色校正」とは、商品に使用する本番の素材の紙や布に印刷した試し刷りで、厳密な色の確認ができます。
プロが行うデザインの実務では、印刷会社や工場を利用して印刷を行う場合は、たいがいこの「色校正」を出します。
オンデマンドなどで、印刷の感じを確認することも可能ですが、紙や布の種類が本番のそれと異なると、印刷の発色や色の調子もまた厳密には異なってしまいます。なんだかイメージと違う、などということを防ぐため、本番と同一条件の試し刷りをしてみようという面もあるのです。
ただ、そこまで厳密な色の確認を必要としない場合もあるでしょうし、「色校正」を出せば、それだけ料金が上乗せされます。実は私も自分自身の名刺は、「色校正」なしで納品という形をとっています。「色校正」を出さないという選択も全くないということではありません。
「校正刷り」、出す、出さない? という問題ですが、「場合に応じて」ということで充分だと思います。多くのネットプリントでは、「校正刷り」なしがデフォルトで「校正刷り」ありがオプションとなっていますしね。「出さない」という選択も、間違ってはいないのです。

 

まとめ

  • 「DTP」とは、パソコンなどを用いて、原稿の入力から編集・レイアウト・印刷などの出版のための作業を行うこと。
  • 印刷物を作る際の作業の流れは、今日のようなDTP主流の時代もそれ以前の時代も、さほど違いはない。
  • 「校正刷り」、出す、出さない? は、場合に応じて決めましょう。

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
デザインに接していれば、印刷を通して紙に接する機会が多かれ少なかれあると思います。PCで作成したラフ案をプリントアウトするとか、あるいは、データ入稿してフライヤーなどの印刷物を作るのだとか。
そんな、印刷メディアとしての「紙」ですが、種類によって、仕上がりのイメージは全然異なります。そこで今日は、状況に応じた紙の選択を考えてみたいと思います。仕上がりがグッと変わって来ますよ。

 

紙によってインキの発色は異なる

印刷する紙について、まず頭に入れておきたいことがあります。それは、紙によってインクの発色が異なるということです。
家庭用のインクジェットプリンタを使った時でも、紙によって発色が全然違うなあ、なんて経験をした方もおられるかもしれませんね。そうなんです。印刷紙には種類があります。インクジェットプリンタ対応の紙の中にも普通紙と写真専用紙がありますが、発色は全く違います。
同じデータでも、写真専用紙なら彩度が高く鮮やかに印刷されやすいですが、普通紙では、写真専用紙よりも彩度が保たれにくく鮮やかさが損なわれ、くすんでしまったりします。

印刷物の発色は、インキだけでなく紙からも影響を受けるわけです。それは、上に述べたようなインクジェットによる印刷ばかりでなく、オフセット印刷についても言えることです。
オフセット印刷の印刷時の発色を追求した紙は各種開発されており、こういった紙はデザイン業界ではポピュラーであったりもします。カタログなど写真の再現性にこだわるデザインなら、なるべくなら発色が良い紙を選びたいところです。発色がよければメリハリが出て再現性が高くなるからです。
ともあれ、印刷と紙は関係が深いわけですね。

 

迷ったらとりあえず「コート紙」

紙の中には印刷専用の紙というのがあります。中でも「コート紙」は発色が良くポピュラーで、オフセット印刷の定番の紙と言えるでしょう。写真の再現性に優れる一方で価格が安めなので、デザイナー大助かりの紙です。
フライヤーやポストカードの印刷で、印刷紙の種類がいろいろあって何を選んだら良いか解らない! という方は、とりあえず「コート紙」から始めてみても良いと思います。
コート紙は表面がツルツルしたタイプです。コート紙系のツルツルタイプは、紙の中でも発色が良い系統です。
コート紙にも表面のツルツルが抑え目のマットタイプの「マットコート」という種類もあります。好きずきではありますが、ツルツルした紙に抵抗があれば、マットの方を選んでも良いでしょう。

今年の年賀状の実物。これもコート紙です。触るとツルツルです。

 

カサカサしたタイプの紙の風合い

一般に「画用紙」と呼ぶような、表面がカサカサしたタイプの紙は、コート紙のようなツルツルタイプの紙よりも落ち着いた傾向があります。印刷のメリハリ・再現性はコート紙には及ばない部分がありますが、カサカサタイプは「風合」や「温かみ」といった点ではコート紙に勝ると思います。風合いを重視するなら、カサカサタイプの紙をおススメします。
色鉛筆や水彩で描いたイラストをポストカードにするなら、カサカサタイプの紙を利用すれば、いかにも手で描いたような温かい印象があるものになりますよ。そういった印刷も素敵です。
画用紙のような風合いを求めるなら、「アラベール」あたりがおススメです。カサカサ系の紙にも色々な種類がありますが、ゴワゴワせず使いやすいです。もし迷ったら、「アラベール」あたりから始めてみても良いと思います。

 

こだわらないなら無難に「上質紙」

「発色」とか「風合い」とかを活かすデザインも良いですが、とにかくしっかり印刷さえ出来ればということなら、「上質紙」あたりが無難だと思います。化学パルプ100%で作られた紙で、表面にコーティングはありません。ツヤツヤではなくカサカサタイプです。世の中で最も多く見かける紙の1つではないでしょうか? 「よくある紙」という言い方ができるかもしれませんが、ボールペンやサインペンで筆記した時に乾きやすいなど、幅広いシーンで使用できる紙です。

 

印刷紙の現物サンプル

印刷紙は、写真やインターネット上の画像ではその質感まで伝わらない部分があります。表面のきめ細かなコーティングは写真では伝わりづらいですし、触った感じは、現物でなければ正直なところ実感できないです。印刷紙にこだわるなら、現物のサンプルは見た方が良いと思います。
印刷業者さんの窓口に、通常はサンプル紙が置いてあります(無い場所もあるので、各店によります)ので、印刷の前に見て検討することもできます。
大きな画材屋さんなら紙コーナーにサンプル紙や見本帳を置いている場合もあります。そうした紙の中には、印刷紙としても使用されているものもあります。新宿の世界堂や銀座の伊東屋にもサンプルがあるので、こんな紙があるんだなあという感じで、ついでの機会にでも眺めておくと良いですよ。

紙のサンプル。紙のイベントなどで拾って来たものを捨てられずにいます。

 

まとめ

・発色が良い紙ならとりあえず「コート紙」
・画用紙のような風合いを求めるなら「アラベール」
・こだわらないなら無難に「上質紙」

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回の解説で、特色を用いることで表現の幅が広がることは解っていただけたと思います。
では、そもそも「特色」とは何か? どんな役割を担っているのか? デザインの実務の視点から、もうちょっと説明をしておこうかと思います。

 

「特色」とは?

「特色」とは、単色1つ1つに色番号が割り当てられている印刷用の単色インキ(インキ=インク。古い人間なのでインキと言ってしまいます。)で、体系化されたカラーシステムとなっています。色見本が作られていて、見本帳やカラーチップにまとめられています。
オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせでは再現できないけれど、特色でなら再現できるよ、なんていう色もあります。前回説明したように、彩度が保持されたエメラルドグリーンもそうです。
私は年賀状を毎年デザインしていますが、特色のお世話になっています。下の画像の「2018」「Happy New Year」には金色の特色を使いました。DIC - 620です。
画像では茶色っぽく見えていますが、実際にはキラキラしたインキです。このキラキラがあるとなしとでは、ずいぶん印象が変わります。
 

2018年の年賀状です

Copyright (C) ANGEL VIBES All Right Reserved.

 

特色の用途

特色の用途ですが、まずはインキとしての用途があります。印刷に用いられます。
オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせで再現できない部分を特色にしてみたりする他、特色とスミ(ブラック)の2版で印刷をするなどという例もあります。
他には、インキとして用いるというより、その体系化されたカラーシステムを利用して指標として役立てることもあります。実際のデザインワークにおいては、こちらの用途もかなり占めていると思います。
グッズを作る時の工場への指示書などにおいては、色指定があります。この部分の生地色は「Pantoneの○○番」などと指定します。「この指定色に近い色の生地にしてください」、あるいは、「この指定色に生地を染めてください」などというふうに。このように、印刷インキとして役立てる他、色の指標として参照してもらうために使う場合もあるのです。
特色は、デザインの現場で色についての情報伝達をする際の、共通コードとして成り立っているということです。今や、デザインワークに無くてはならない必要不可欠なツールです。

 

特色でよく知られているのは「DIC」と「Pantone」

じゃあ、特色は誰が編纂して管理しているのかなあ? という疑問を持つ方もおられるかもしれませんね。
特色の編纂・管理、それに続く製造・販売は、色システムやインキ製造に関わる企業などが行ってます。彼らが、色を体系化し番号を割り当て特色を編纂しています。
「特色」といっても種類がありますが、日本では「DIC」と「Pantone」がよく知られています。Adobeのデザインソフトでも、スウォッチにDICやPantoneを入れることができるようになっていますね。実際、デザインの実務上でもよく使うので大助かりです。
DICとPantoneはこのようにデザインソフトのシステムに組み込まれている一方、実際に手に取り参照することができる現物として、見本帳やカラーチップが市販されています。大き目の画材屋さんのデザイン用品コーナーでなら、DICやPantoneのカラーチップを見かけたことがある方もおられるかもしれませんね。

下のようなデザインツール、見かけませんか?

DICのカラーチップ。第15版。少々古いです。
Pantoneのカラーチップ

このように、見本帳やカラーチップの現物があるのには、理由があります。前回も触れしましたが、モニタと印刷物の色は基本的に異なるからです。モニタは現物の仮の姿に過ぎないということです。なので、デザインの実務においては、入稿の際は入稿データの他にカラーチップも一緒に印刷会社に渡す機会もあります。ただ、入稿といってもいわゆるネットプリントなどであれば、カラーチップを渡すという作業は省略されています。

 

DICは「DIC株式会社」のカラーシステム

日本国内でのデザインワークにおいては、DICは最も使われる特色の1つではないでしょうか? デザインのジャンルにもよりますが、国内生産ならば、特色にDICを使うことは多いです。
DICは「DIC株式会社」が管理するカラーシステムで、色見本にまとめられ、デザインの実務で活用されています。色見本は、ビビッドな色から淡い色まで揃っていて、グレイッシュトーン、また、日本の伝統色、フランスの伝統色、中国の伝統色、といったシリーズもあります。合わせて、2,000色以上からなります。
「DIC株式会社」は、元は「大日本インキ化学工業株式会社」という企業でした。活動歴が長いデザイナーなら、「大日本インキ」の方が馴染みがあるかもしれませんね。今は樹脂製品や化学マテリアルの製造も行うなど、幅広く事業を展開していますが、旧社名が示すように、印刷インキを製造・販売する企業としてスタートしています。かねてから、日本のクリエイティブ業界を支えてきた企業の1つです。
DICの色見本が販売開始となったのは、1968年ですが、田中一光さん、勝井三雄さんらが監修をされています。グラフィックデザインの業界では、言わずと知れた方々です。DICは、デザイナーの声をしっかり取り入れて開発されたということが解ります。

 

Pantoneは「Pantone社」が編纂した国際的な特色

日本国内ならDICですが、国外で印刷物やグッズを製造する時は、特色はPantoneが使われることがあります。企業のコーポレートカラーやブランドのカラー、キャラクターのカラーについてはPantoneの色指定がされていることもあります。例え国内での製造でも、デザインのジャンルによっては、DICばかりでなくPantoneの使用頻度も高くなりつつあります。
Pantoneはアメリカに本社がある「Pantone社」が編纂した特色で、DICと同様、体系化されたカラーシステムとなっています。こちらも、見本帳やカラーチップがあります。日本から中国に入稿する際にも使われるなど、国際的な特色としての一面もあります。
なお「Pantone社」は、今は「エックスライト社」の子会社になっています。

 

まとめ

・特色は色1つ1つに色番号が割り当てられている印刷用の単色インキのこと
・特色は体系化されたカラーシステムとなっている
・日本国内では特色の中でもDICとPantoneの使用頻度は多い

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBES です。10年以上前だと記憶していますが、私はティファニーのネックレスをプレゼントされたことがあります。ネックレスはエメラルドグリーンの箱に入ってやって来ました。「ティファニーブルー」とも呼ばれるこの爽やかな色が気に入って、ネックレスの収納ケースとして、今でも大事に使っています。
初音ミクのキャラクターのテーマカラーもエメラルドグリーンですね。髪や目、コスチュームに、取り入れられています。
私も好きな色ではありますが、この青緑系の色は、実はデザイナー泣かせの色でもあります。

 

CMYKでは再現が難しいエメラルドグリーン

エメラルドグリーンも含まれる、俗に「青緑」と呼ばれる系統の色は、オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせで再現しようとする時は注意が必要です。彩度がずいぶん低くなってしまうため、パソコンのモニタ画面で確認した色と比べてくすんだ印象になってしまい、刷り上がった印刷物のコレジャナイ感がハンパない、などという状況に陥りがちです。
そもそも以前にもお話していますが、エメラルドグリーンは、カラーモードをRGBからCMYKに変換しただけでも彩度が落ちてけっこう置き換わってしまうということでした。とにかく、CMYKで再現するのが難しい扱いづらい色と言えます。
(※RGBやCMYKのカラーモードのお話について忘れてしまっていたら、「色の基本(1)色の基本(2)」あたりを読み返して見てください。)

私物のティファニーのネックレスの箱。大事にしてます。

 

CMYKの再現が難しければ特色を使う

でも、写真に映っているティファニーのネックレスの箱の色は、彩度が保たれていてくすんだ印象はないよね?という感想をお持ちの方もおられるかと思います。確かにそうですね。これにはちょっとした理由が考えられます。
ティファニーの箱の印刷には、どうも特色が使われているようなのです(写真の箱は厳密には特色を印刷した紙が箱に貼つけられている)。CMYKの4版掛け合わせでは、あのような鮮やかなエメラルドグリーンを再現できない一方、特色になら、あのようなエメラルドグリーンはありますし。・・・ということから考えれば、ティファニーの箱はCMYKで印刷していないことは予想がつきます。目を凝らしても網点が見あたりません。これは十中八九、特色と考えられるでしょう。
ティファニーほどの伝統あるブランドなら、通常はブランディングの課程で色指定を行うものなので、コーポレートカラーとして特色の指定色があるはずですし。日本国外に本社があるブランドなので、Pantoneあたりの指定になっていそうですね。
もしくは、専任の印刷会社さんに「ティファニーブルー」を特色として作ってもらっているかもしれません。企業によっては、独自のコーポレートカラーを専任の印刷会社さんに作ってもらっている場合があります。私も、以前に、ある印刷工場の見学に行った際、そういった特色を見せていただいたことがあります。

 

デザイナー泣かせだが個性的なカラー

このように、オフセット印刷においては、鮮やかなエメラルドグリーンのようなCMYKの掛け合わせでは再現できない色がありますが、特色で補える時もあります。
そんな時は、いつも特色が使えれば良いのですが、どうしてもCMYKでエメラルドグリーンを再現しなければならない場合もあります。特色を入れればそれだけ版が増え、印刷代も上がることになります。印刷経費を抑えるため、出来る限りCMYKの4版のみを用いた印刷にしようという場合もあるわけです。そんな場合は、発色が良い紙を使用して印刷するという手段もありますので、いかにそれっぽい色に見えているかという部分で、試案を重ねていくしかありません。迷ったらコート紙です。安めで発色が良いです。
ともかく、エメラルドグリーンは扱うには技術も知識も必要な色です。それゆえに、ブランドカラー、キャラクターのテーマカラーとしては採用されにくい色かもしれません。しかし、だからこそ世の中にありふれた色となりにくく、他と差異化ができて個性が出ます。難しい色ですが美しいですし、チャレンジしてみる価値がある色です。

 

モニタで映える初音ミクのエメラルドグリーン

彩度が保たれた状態の、鮮やかなエメラルドグリーンは美しいですね。特にモニタでこそ個性的で印象に残ります。
モニタで見る時の初音ミクのエメラルドグリーンは、印刷で再現できないRGBモードの光の媒体にしかない色です。青緑系でああいった彩度が高い色は、印刷では再現できない、極めて電子的なカラーということも言えます。それをキャラクターのテーマカラーにしたのは、初音ミクを見る媒体についてモニタ等の光の媒体をメインに想定しているからかもしれません。
なんとも、今どきのボカロアイドルっぽい現象ですね。

 

初音ミクのエメラルドグリーン、特色なら?

試しに、RGBモードの初音ミクのエメラルドグリーンに、特色をあててみましたよ。色チップを見て確認しました。

ポンチ絵で失礼します。

初音ミク

この絵なら、「DIC42」もしくは「DIC2162」でしょうか?
ご参考まで。

 

まとめ

・ティファニーや初音ミクのエメラルドグリーンは、厳密にはCMYK4版の印刷では再現できない
・エメラルドグリーンは再現が難しい色だからこそ独特で、チャレンジしてみる価値あり
・初音ミクのエメラルドグリーンは、特色なら「DIC42」もしくは「DIC2162」ぐらいだろうか?

ではまた!