こんにちは。ANGEL VIBESです。
フォントを作るには下絵やアイデアスケッチは必要です。中には、頭の中に明確なイメージを描くことができて、下絵ナシでデザイン作業を始めてしまうベテランの方、下絵ナシの方が作業がしやすいという方もおられます。
とはいえ、慣れないうちは無理をしない方が良いでしょう。とりあえず、下絵を作成しスキャニング→Adobe Illustratorでトレースをしていく手法で、デザインするのがベターだと思います。
このサイトでは、Adobe IllustratorでトレースしたベクターデータをAI形式で保存し、フォント作成ソフトに取り込んで(それはGlyphsでもFontographerでも)、フォントデータを作る方法を説明してきました。デザインを決めて下絵を作成する方法も説明しましたが、下絵の様式は一つではありません。今回は、ちょっと悩みどころかもしれない、フォントの下絵についてのお話です。

 

フォントのデザインイメージと下絵

フォントの下絵の作り方は、「フォントの作り方(3)」「フォントの作り方(15)」で説明しました。
しかし、もしかすると、下絵を作成する段階で戸惑いが生じてしまってる方もおられるかもしれませんね。どのような手法で下絵を作るのかというのは悩みどころではあります。私の場合ですが、下描きした下絵とデザインしたいイメージとに乖離がある感じがして、どうにもしっくり来ない時があり、ちょっと悩んだことがあります。

 

フォントのイメージの様式に合わせた下描きの手法

いろいろ考え試行錯誤しましたが、フォントのイメージの方向性に合わせて下描きの手法を変えた方が良いようです。私の場合ではありますが、その方がイメージとに乖離が少なくなりました。
フォントの元になる文字を作成し、一式の様式となるタイプフェイス(書体)にするためには、文字の共通パーツとなるエレメントを組み合わせていくことになります。スタンダードなフォントの多くは、そのようなタイプフェイスによるデザインです。
一方で、エレメントの組み合わせに頼らない、手書き感を活かした「書き文字」というフォントのジャンルもあります。現在では「書き文字」ばかりを集めたフォントの書籍があったりするぐらいで、こちらも現在流通するフォントとしてはかなり種類があると言えそうです。上のエレメントを組み合わせてデザインするタイプフェイスが緻密であれば、こちらはストロークによる「味」を生かしていて直感的であると言えるでしょう。なお、「書き文字」についての歴史は古く古代に遡ることができますが、そのお話は、またの機会にしますね。

現在流通しているフォントのイメージの方向性を大別すると、
1. エレメントの組み合わせでデザインされた「緻密タイプ」
2. 手書き感を活かした書き文字等の「直感的タイプ」
この2つのタイプがあります。これら2つの様式に合わせ、下描きの手法を変えた方がイメージ通りになる場合もあるようです。

 

「緻密タイプ」は下描き用紙を使う

以前に紹介してますが、「緻密タイプ」は、碁盤の目がある下描き用紙に鉛筆等で描いて下絵を作成→それをスキャンしてトレースする、この手法でだいたいはカバーできるかと思います。
ちなみに、その際に用いる下描き用紙はこちら。DLして自由にお使いいただけます(なお、この下描き用紙をそのまま販売することは禁止します。念のため。)。

下描き用紙はこんな方眼紙です。

こんな感じで下描きをしていました。

 

「直感的タイプ」は下描き用紙を使わない

手書き感を生かした「直感的タイプ」のフォントですが、碁盤の目がある下描き用紙に鉛筆等で下描きをしてしまうと、どうにも整いすぎるというか、手書きの勢いや「味」が失われる場合があります。そんな場合は、下描き用紙を使う必要ありません。もっとラフに描くなど、落描き的に好きな紙に描いた文字を、そのままスキャンしてAdobe IllustratorのAIドキュメントにレイアウトしてトレースしていただいた方が、描いた線が生き生きしたタイプフェイスに仕上がります。

こちらは、ネタ帳に描いたラフ画をそのまま下絵にしています(私がデザインしたフォント「マカロ」の下絵です)。



こちらは、画用紙に描いたペン画を下絵にしています(私がデザインしたフォント「ほおずき」の下絵です)。

 

私の場合ですが…

私の場合、という前提はありますが、下描きの手法を変えることでイメージしたフォントにより近づけることができる、ということは言えそうです。
もし、下描きのことで悩んでる方がおられましたら、一度試してみても損はないと思いますよ!

 

まとめ

  • フォントのデザインの様式に合わせて下描きの手法を変えるとイメージに近くなる(個人差アリとは思います)
  • エレメントの組み合わせでデザインする「緻密タイプ」は下描き用紙を使う
  • 書き文字等の手書き感を活かした「直感的タイプ」は下描き用紙を使わない

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回の続きです。
前回までのお話では、Adobe Illustrator CC(もしくはCS6)の「Presets」フォルダ内の「カラーブック」フォルダに、旧バージョン(CS2から5のバージョン)の初期設定書類「PANTONE solid coated.acbl」を配置するところまでたどりつきました。これでもう、準備は整いました。Adobe Illustratorを開けば、「メニューバー」→「ウィンドウ」→「スウォッチライブラリ」→「カラーブック」から、旧・特色「Pantone Solid Coated」が選択できるようになっています。
ところで、「PANTONE+」×「Lab値」と「PANTONE」×「CMYK値」の色味ですが、どれくらい変わったか気になりませんか? 今回は、実際に「PANTONE+」と「PANTONE」の色味やCMYK置き換え色を比べてみたいと思います。

 

「PANTONE+」×「Lab値」と「PANTONE」×「CMYK値」の色味、CMYK置き換え色を比べてみました

PANTONE 115Cのナンバー色を例に、「PANTONE+」×「Lab値」と「PANTONE」×「CMYK値」の色味、CMYK置き換え色を比べてみます。

まず、「PANTONE+」のPANTONE 115C、「Lab値」 です。

見た目の色味はちょっと黒ずんでますね。レーザープリンタでプリントアウトしても、この黒ずみは残ります。

「PANTONE+」のPANTONE 115C、「Lab値」

そして、CMYKに置き換えると、C5.62+M17.9+Y84.4。

「PANTONE+」のPANTONE 115C、CMYK置き換え色

今度は、「PANTONE」のPANTONE 115C「CMYK値」です。
デフォルトでは、「Lab値」 のままなので、「スウォッチ」→「特色」を開いて、設定を「CMYK値」に変えます。
「PANTONE+」×「Lab値」のPANTONE 115Cよりも、見た目の色味はクリアですね。レーザープリンタでプリントアウトしても、このクリアさは保たれます。

旧「PANTONE」の PANTONE 115C、「CMYK値」

そして、CMYKに置き換えると、M9+Y80。
CMYKで見るとはっきりしますが、シアンが入らないこともあって、「PANTONE+」×「Lab値」にある濁りが解消されています。

旧「PANTONE」のPANTONE 115C、CMYK置き換え色

一目瞭然ですね。「PANTONE+」×「Lab値」よりも「PANTONE」×「CMYK値」の色味の方がくすみがなくなり、クリアです。選ぶナンバー色によっては、それほど色味に差が出ない場合もありますが、PANTONE 115Cなどは色味の違いは大きいですね。

 

「PANTONE solid coated.acbl」を配置するとなぜか…

さて、この作業、やってみると気が付かれる方もおられると思いますが、「PANTONE solid coated.acbl」を配置することで、「PANTONE+」であっても、「スウォッチ」ウィンドウの「特色オプション」で設定を「プロセスブックの CMYK 値を使用」に変えることができるようになります。私の環境で確認できただけなので、それができないMacもあるかもしれませんし、なぜできるようになるかについても不明ですが。この辺りはAdobeさんに伺ってみたいところです。調べきれずに恐縮です。

 

あくまで自己責任となりますが

3回に渡って「カラーブック」に追加する方法をご紹介してきた、この旧・特色「Pantone Solid Coated」ですが、使用するには少々注意が必要です。
Illustratorで、旧・特色「Pantone Solid Coated」を使用して作成したデータを、ご自分だけで使うのは良いとして、他の方と共有したりクライアントに納品したりとなると、考えるべき部分も生じます。
他の方とデータを共有するならば、相手の方と環境を揃えなければ、データを使用する際にエラーが起こるなどトラブルになることがないとは言えません。なので、あくまで自己責任での使用を。ということになります。
とはいえ、くすみがないせっかくの「Pantone Solid Coated」。トラブルを回避して使ってみたいですね。
それなら、「カラーブック」から選んだナンバー色をCMYKに置き換えてスウォッチに登録し直して使うという手段があります。例えば、PANTONE 115Cなら、CMYKに置き換えるとM9+Y80になりますが、これをスウォッチに登録して使うということです。これは、普通のCMYK色を登録して使うのと変わりありません。
私の周りの限りですが、この手段では問題は起こっていません。ただし、念のために「カラーブック」から選択した時にスウォッチに登録されたのスポットカラーは、削除しておくのがベターではあると思います。

 

まとめ

  • 「PANTONE+」×「Lab値」と「PANTONE」×「CMYK値」の色味を比べると、やはり「PANTONE」×「CMYK値」の方がクリア
  • 選択した旧「Pantone Solid Coated」はCMYK色に置き換えてスウォッチに登録し直すのがベター
  • 選択の際に登録された、スポットカラーの旧「Pantone Solid Coated」は削除するのがベター

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回の続きです。
Adobe Illustrator のバージョンCS6以降の、特色PANTONEのくすみが気になりませんか? というお話をしてきました。ですが、特色PANTONEは「Pantone」から「Pantone+」に新しくなり、「Pantone+ Solid Coated」を使おうとするなら、「Lab値」から「CMYK値」に定義を変えられず、そういった「くすみ」問題から逃れられないということでしたね。
今回は、カラーブックに、旧・特色「Pantone Solid Coated」を追加する方法があるので、そのご紹介をしてみたいと思います。

 

「Pantone+ Solid Coated」では本当に「CMYK値」で定義できないのか?

前回にちょっと触れましたが、「Pantone+ Solid Coated」は、本当に「CMYK値」で定義できないのかどうか、実際に試してみます。
「スウォッチ」ウィンドウの「特色オプション」では、確かに「Lab値」から「プロセスブックの CMYK 値を使用」に変更することができます。「スウォッチ」ウィンドウの右上端のメニューから「特色」を選ぶと「特色オプション」画面が表示されます。デフォルトでは「指定されたブックの Lab 値を使用」になっていますので、その下にある「プロセスブックの CMYK 値を使用」を選択します。すると特色オプションの設定は、「プロセスブックの CMYK 値を使用」になります。しかし、これで、「カラー」ウィンドウに「Pantone+ Solid Coated」が表示されている時に、「Lab値」を示すアイコンが「CMYK値」アイコンになるのかどうか。

「特色オプション」画面、「プロセスブックの CMYK 値を使用」を選択

 
しかし「Lab値」を示すアイコンのまま変わりません。

「Lab値」を示すアイコン

やってみましたが、ダメでした。「特色オプション」は「プロセスブックの CMYK 値を使用」を選択できるにはできます。しかしアイコンは「Lab値」のままです。

前回もご紹介しましたが、Adobeのサイトでも説明がされているように、「Pantone Plus スポットカラーをドキュメントスウォッチに追加するには、「Lab値」を使用してスポットカラーを定義します。」ということなので、「CMYK値」のアイコンにはならず、その再現色も「Lab値」によって定義された色になってしまいます。
「CMYK値」を使用するなら、やはり、カラーブックに旧・特色「Pantone Solid Coated」を追加するしかないということです。

 

カラーブックに旧・特色「Pantone Solid Coated」を追加してみましょう

カラーブックに旧・特色「Pantone Solid Coated」を追加する方法ですが、実はAdobeのサイトでも紹介があります。この方法を参考に、旧・特色「Pantone Solid Coated」が追加できるのか、実際にやってみます。
その方法です。MacのHDには、「アプリケーション」フォルダがありますね。このフォルダにあるAdobe Illustrator CC(もしくはCS6)の書類フォルダに、旧バージョン(CS2から5のバージョン)の書類を拾って配置します。
Adobe Illustrator が開いているなら、まずは終了します。そして、「Adobe Illustrator CC」フォルダ→「Presets」フォルダ→「ja_JP」フォルダ→「スウォッチ」フォルダ→「カラーブック」フォルダ、まずここまでたどり着きます。ここに、旧バージョンの初期設定書類、「PANTONE solid coated.acbl」を配置します。「PANTONE solid coated.acbl」は、旧バージョンの同じフォルダ、すなわち「カラーブック」から拾います。なお、Adobe Illustrator CCの「カラーブック」フォルダには、「以前のカラーブック」というフォルダがあるので、ここに配置しても良いでしょう。
これでOKです。Adobe Illustratorを開けば、「メニューバー」→「ウィンドウ」→「スウォッチライブラリ」→「カラーブック」に、旧・特色「Pantone Solid Coated」が追加されていますので、選択して使ってみましょう。

「PANTONE solid coated.acbl」を配置しました

次回は、実際に「PANTONE+」と「PANTONE」の色味、CMYK置き換え色を比べてみたいと思います。

 

まとめ

  • 「Pantone+ Solid Coated」でも「プロセスブックの CMYK 値を使用」は選択できる
  • しかし、「カラー」ウィンドウではアイコンは「Lab値」のまま
  • 旧バージョンの「PANTONE solid coated.acbl」をカラーブックに配置すれば旧バージョンの「PANTONE solid coated」が使える

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。
Adobe IllustratorのバージョンCS6以降を使用されている方の中で、カラー指定の時の特色PANTONEのことで、悩んでいる方はいらっしゃいませんか?
特色PANTONE「Solid Coated」の再現色の印象が、変わっちゃったと感じる方もいらっしゃるようです。「くすみが出るようになったね」などという声もチラホラ。
カラーレーザープリンタでプリントアウトすると、同じナンバーの特色でも、CS6以降とそれ以前とでは確かに色味に差が出る色がありますよね。
商品や実際の刷り上がり印刷物では、もちろん指定したナンバーの特色になります。でも、クライアントに見せるラフ画やカンプをレーザープリンタでプリントアウトした状態で見せる時だってあります。そんな時は実際のインキの色は再現色になってしまうので、ちょっと困ってしまいますね。

 

イラレでPANTONE「Solid Coated」のカラー指定をする時って?

Adobe IllustratorでPANTONE「Solid Coated」のカラー指定をする時とは、つまりこういう時です。
オブジェクトのカラーは特色を指定することができるわけですが、「スウォッチライブラリ」の「カラーブック」からPANTONE「Solid Coated」のウィンドウを表示して色指定する時のことです。
「メニューバー」→「ウィンドウ」→「スウォッチライブラリ」→「カラーブック」から、「Pantone+ Solid Coated」を選ぶと「Pantone+ Solid Coated」のウィンドウが出てきます。オブジェクトにPANTONE「Solid Coated」のカラーを指定する時には、このウィンドウに並ぶ色のマスの中から指定したい色を選ぶことになります。

「Pantone+ Solid Coated」のウィンドウから色を選択します

 

PANTONE「Solid Coated」の再現色の色味がくすむようになった

CS5までのバージョンとCS6以降でのPANTONE「Solid Coated」再現色の印象を比べて、「全体的にくすむようになった」「濁りが出るようになった」という声は、私自身、デザイナーの方から聞くことがあります。私も同じ印象を共有しています。
その要因は、CS6以降のスポットカラーについての仕様の変化によるものです。
特色PANTONE色(Illustratorでは、CMYK4色掛け合わせではなく1色のインキ単独で出来ている特色は「スポットカラー」と表されますが)は近似色で再現されますが、「Lab値」の再現色は「CMYK値」の再現色より濁った色味となっているにもかかわらず、
①スポットカラーを使用する際のデフォルトの設定が、「CMYK値を使用」に替わり「Lab値を使用」になった。
②CS6以降に標準となった「Pantone+(Pantone Plus、パントンプラス)」のスポットカラーは、「Lab値」による定義が前提になった。
こうした仕様の変化が、PANTONE「Solid Coated」再現色の色味に変化をもたらし、ひいては彩度の変化をももたらしています。

 

「Pantone+ Solid Coated」をスウォッチに追加すると「Lab値」で定義されることになる

「Pantone+ Solid Coated」は、表示した「カラーブック」のウィンドウから色を選択する時点でスウォッチに登録されます。その際、自動的に「Lab値」で定義されることになります。これは、Adobeのサイトでも詳しい説明がされています。

https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/kb/pantone-plus.html

「Pantone Plus Series® のスポットカラーは、「Lab値」を使用します。Pantone Plus Series® のスポットカラーにCMYK定義はありません。したがって、Pantone Plus スポットカラーをドキュメントスウォッチに追加するには、「Lab値」を使用してスポットカラーを定義します。」

…との説明がありますが、
要するに、「Pantone Plus Series® 」は「Pantone+」の10個のバリエーションのことで、この中のスポットカラーはスウォッチに登録される際には「Lab」値によって定義され、「CMYK値」による定義はされない仕様になったということです。
なので、CS6以降は「カラー」ウィンドウの、「Lab値」を示すアイコンは、設定を変えてみようとも「CMYK値」アイコンにならないというわけです。「Pantone+ Solid Coated」を使おうとするなら、「Lab値」から逃れられない。そんなわけです。

「Lab値」を示すアイコン

「Pantone+ Solid Coated」のくすみ、気になりませんか? カラーブックに特色の旧「Pantone Solid Coated」を追加する方法はあります。ただ、ちょっと注意が必要ですが……。

そのお話は次回に!

 

まとめ

  • CS6以降のPANTONE「Solid Coated」の再現色は「Lab値を使用」がデフォルト
  • CS6以降のPANTONEのスポットカラーは、「Lab値」による定義が前提になった
  • PANTONEのスポットカラーの「Lab値」再現色は、「CMYK値」の再現色より全体的にくすんだ色味

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
前回の続きです。フォント関連のWebサイトや書籍で、フォントフォーマットに関してもよく目にする用語ってありませんか? 中でも、「OpenType Font」と「TrueType Font」は、よく目にしませんか?

 

フォントのよく見かける形式

DTPに用いるフォントには、そのフォーマットに種類があります。「OpenType Font」、「TrueType Font」などがそうです。フォントフォーマット(=フォント形式)に種類があるなど、なぜそんな面倒なことに…! とお思いの方もいるかも知れませんね。しかし、以前に比べれば、これでも種類が絞られて来た状態なのですよ…。
歴史を遡れば、フォントフォーマットには現在よりももっと種類があり、フォントデータの成り立ちが複雑でした。1つのフォントファイルに対し、セットでインストールが必要なスクリーン表示用の「スクリーンフォント」が必要だったり…。現在と比べれば、PCのHDには、フォントフォルダやファイルが複雑に乱立しているような状態でした。使いにくいという面もあり、AppleやAdobe等が、よりユーザビリティの高いフォントフォーマットを考案してきました。
現在主流なのは、「OpenType Font」、「TrueType Font」、この2つと言っていいでしょう。フォントフォーマットはだいぶん絞られて来たようです。とはいえまだ、「CID」というフォーマットも流通していて、デザインの実務の現場では見かけることがあります。しかし、「CID Font」は、モリサワ等のフォントベンダーが「OpenType Font」に置き換えて行っている流れがあります。したがって、DTPやDTPを念頭にフォントデザインをするなら、「OpenType Font」、「TrueType Font」を覚えておけば、とりあえずは充分だと思います。

 

「OpenType Font」とは?

「OpenType Font」は、DTPに用いるフォントでは現在主流になっているフォントフォーマットです。モリサワ等は「CID」(「NewCID」を含む)の後継に、「OpenType」を採用しています。「OpenType Font」は、MacでもWindowsでも使用が可能なクロスプラットフォームとなっています。今では当たり前のようになっていますが、「OpenType」ができる以前は、同一のフォントデータをMacにもWindowsにもインストールして使用できるわけではありませんでした。また、「OpenType Font」は、1つのフォントにつき1つのフォントファイルという仕様になっています。これももはや当たり前ですが、古いフォントフォーマットでは、1つのフォントにつき、セットでいくつかのフォントファイル(たとえばスクリーンフォントのような)のインストールを必要とする種類もありました。かつてを思えば、フォントは扱いやすくなったものです。

 

「TrueType Font」とは?

「TrueType Font」は、MacでもWindowsでも使用され、フォントの黎明期からある最も親しまれて来たフォントフォーマットの1つです。MacがOS Xになってからは、一応は、Windows用の「TrueType Font」もMac上で動かすことは可能になりました。とはいえ、ライセンス面の問題などがあるので、現実的には各フォントごと確認が必要ですし、あまり古いWindows用の「TrueType Font」なら、OS XであってもMac上では動かない可能性がゼロとは言えません。
「OpenType Font」には、技術的に「TrueType Font」をベースにしている種類も含まれます。「TrueType Font」は将来的には、「TrueType Font」の発展型である「OpenType Font」に置き換わって行くかも知れません。ただ現実的には、今のところは「TrueType Font」もまだまだ現役といった印象です。「OpenType Font」が流通するより以前に入手した「TrueType Font」が、OS Xでもまだ普通に使える場合もあります。
実際、私もタイプフェイス的に気に入って使用している古い「TrueType Font」があります。気に入ったフォントは簡単に捨てられないですものね。使える限りは使います。いや、使えなくなると、それはそれで困りものです。

 

アウトライン化は?

「OpenType Font」も「TrueType Font」も、多くはアウトライン化は可能です。DTPで実際に印刷会社さんに入稿する時は、フォントについてはアウトライン化を勧められることもしばしばあるので、印刷会社さんごとに要確認です。

 

まとめ

  • 現在のフォントフォーマットの主流は「OpenType Font」と「TrueType Font」
  • 「OpenType Font」はMacでもWindowsでも使用が可能
  • 「TrueType Font」はMacでもWindowsでも黎明期から使用されてきた

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。フォントデザインの基本がギュッとつまったツールとして、私はGlyphs Miniを推します。そんなお話は既にしていますね。Glyphs Miniは、他のソフトに共通する機能を備えているので、これからフォントデザインをはじめようという方にはオススメですよと、お伝えして来ました。何より、フォント作成ソフトとしては安価ですしね。そうした点からもオススメというわけです。
でも、そろそろGlyphsを使ってみたいという方もいらっしゃるでしょう。今日はそういった方に向けたお話です。

 

Glyphs Miniとは?

少しおさらいしておきますね。Glyphs Miniとは、一言で言うと、Glyphsの廉価版のフォント作成ソフトです。Glyphsの機能を簡略化した製品ではありますが、AdobeIllustratorで作成したAIデータを取り入れてフォントデータを作成することができる仕様は共通しています。ちなみにFontographerも、この仕様は共通です。
Glyphs MiniはGlyphsの廉価版ながら、1バイトのローマ字フォントを作成するには充分な機能を備えています。私の経験的には、アイコンやイラストフォントなら、機能が少ないGlyphs Miniの方がかえって使いやすいという印象です。でも、機能が少ない分、GlyphsにできてGlyphs Miniにできないことがあったりします。なので、状況に合わせて、Glyphsを優先して使用することもあります。

 

GlyphsとGlyphs Miniの違い

上に述べたように、Glyphs Miniの方がGlyphsよりも機能が少ないです。なので、仕様が違う点があります。グリフを追加するツール部分と「フォント情報」の部分は、大きな仕様の違いがあるので見てみましょう。

 
[グリフを追加するツール部分]

Glyphsの「左メニュー」→「文字体系」→「和文」の部分

 

Glyphs Miniの「メニューバー」→「ウィンドウ」→「グリフ情報」の部分

 
見比べて解るように、左メニューが見た目にも違いますね。和文のグリフの追加は、Glyphs Miniでは、「メニューバー」→「ウィンドウ」→「グリフ情報」から選択して行う仕様ですが、Glyphsでは「左メニュー」→「文字体系」→「和文」から、追加することも可能です。漢字については、「常用漢字」「JIS第1水準」「JIS第2水準」と区分けがされていて(三角の所をクリックして開くと項目が出て来ます)、そこからまとめてグリフを追加することができます。「かな」についても同じように区分けがされているので、そこからまとめて追加が可能です。その点、Glyphs Miniにはそういった和文の区分けはなく、「グリフ情報」で、unicode順に並んだグリフから選択し追加しなければなりません。
「常用漢字」のグリフを追加したい時に作業をしやすいのは、グループ分けしているGlyphsの方でしょう。和文のグリフの追加は、Glyphsの方がスムースそうですね。

 
[「メニューバー」→「ファイル」→「フォント情報」の部分]

Glyphsの「メニューバー」→「ファイル」→「フォント情報」の部分

 

Glyphs Miniの「メニューバー」→「ファイル」→「フォント情報」の部分

 
見た目でもわかりますが、「フォント情報」は、Glyphsに比べGlyphs Miniの方が記入事項が少ないですね。Glyphs Miniが、「info」に記入事項があるだけなのに対し、
Glyphsは「フォント」、「マスター」、「インスタンス」…、と続き、すべてのメニュー項目に記入事項があります。
それだけ、Glyphsの方が細かい設定が必要ということですが、ここに和文を縦書きにできる設定が含まれています。この設定、Glyphs Miniにはありません。

 

Glyphsの利点

GlyphsとGlyphs Miniですが、見た目も使い方も、両者は確かに似ているし共通項もあります。でもGlyphs Miniは廉価版というだけあって、機能が簡略化されている部分があります。なので、GlyphsにできてGlyphs Miniにできないことが当然出てきます。GlyphsにはGlyphs Miniにはない利点があるということです。

簡潔に言うと、
・Glyphsの方が和文フォントのグリフの追加がしやすい
・Glyphsは縦書きができる和文フォントが作成できる

もちろん、細かい点ではもっとGlyphsの利点があげられると思いますが、まずはそこだけでも覚えておきましょう。

 

まとめ

  • Glyphs MiniはGlyphsの廉価版で、Glyphsの機能を簡略化した製品
  • Glyphsの方が和文フォントのグリフの追加がしやすい
  • Glyphsは縦書きができる和文フォントを作成できる

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。今日は、入稿データ作成時のチェックポイントについてのお話の続きです。
前回は、入稿データを作成する際には、ネットプリントの業者さんの情報をWebサイトでチェックしておけば、新技術から取り残されることもありませんよ、というようなお話をしました。
今日は、その続きで、では、入稿データ作成時に、具体的にどういったポイントをチェックするべきか、というお話をしようと思います。

 

5つのチェックポイント

入稿データ作成時のチェックポイントは、細かく挙げれば、色々と出てきてしまいます。確かにそうなのですが、まずそれより先に、こればかりは外せないというチェックポイントがあります。

そのチェックポイントとは
・使用ソフト
・使用ソフトのバージョン
・仕上がりサイズ
・色指定
・レイアウトデータのリンク画像

これらの5点です。
これらのチェックポイントは、DTP黎明期から現在に至るまで変わりませんね。
ちょっと説明しておきますよ。

 
[使用ソフト] 
これは、これから入稿データするというデータを、どの種類のデザインソフトを使って作成したのか、ということです。
入稿先の印刷業者さんが持っているソフトでなければ、そこでデータが開くのは困難か不可能か、ということになります。なので、印刷業者さんが持っているデザインソフトで入稿データを作成します。ほとんどの場合、印刷業者さんが入稿に対応可能なデザインソフトを指定しています。デザインソフトであれば主に、AdobeIllustrator、AdobePhotoshop、AdobeInDesign、といったところでしょう。他には、Quark Xpressといったところでしょうか。

 
[使用ソフトのバージョン]
古すぎるバージョンだと、印刷業者さんがもう対応していないということがあります。逆に新しすぎてもNGという場合もあります。この辺についても、印刷業者さんは対応可能なバージョンを指定しています。
Adobeのソフトなら、今であればさすがにクラシック環境に対応したバージョン、例えばAdobeIllustratorならバージョン8.0に対応している業者さんは珍しいでしょう。今の主流は、だいたいCSかCCかというところです。
バージョンによってソフトのスペックは異なるので、できることできないことが変わってくるということがあります。対応していないバージョンでの入稿はエラーなどトラブルの元になるので、印刷業者さんが対応できるバージョンを選び、入稿の際はそのバージョンを印刷業者さんにしっかりとお伝えしましょう。

 
[仕上がりサイズ]
「仕上がりサイズ」は、紙ものの印刷物であれば、「裁ち落としサイズ」と考えて良いです。入稿データには、サイズについて、A4ならA4、具体的に「W297×H210(mm)」と記しておくこともあります(ちなみにこの場合は横位置ですね)。
ネットプリントの業者さんのWebサイトにはだいたいテンプレートがあり、サイズの記述までされています。テンプレートを利用せず入稿データを作成する際は、サイズをしっかり記述しておきましょう。

 
[色指定]
印刷に用いるインクの色の指定です。「印刷」といったら、インクです。色指定は必須ですね。DTP黎明期どころか、DTPが始まる以前から今に至るまで、それは変わりません。
オフセット印刷で4版用いてカラーにするなら、入稿データには、カラーについて、「オフセットCMYK」などと記しておきます。ブラックで単色刷りにするなら「Black」、特色が入るなら「Pantone - 000 c」などと、色の番号を表記します。色玉も一緒につけておきましょう。
ネットプリントの業者さんのテンプレートなら、デフォルトで色指定が表記されている場合もあります。

 
[レイアウトデータのリンク画像]
レイアウトをAdobeIllustratorで行うとしましょう。デザインによっては、このレイアウトに写真を配置する例もあります。
この写真は、「配置画像」として扱われ、データの保存形式は(今時なら)「psd」で、カラーは「CMYK」の状態のはずです。なお、配置画像は「張り込みデータ」などと呼ばれることもあります。
こうした「配置画像」を「リンク」の設定にするなら、リンク元となっている画像も一緒に入稿することになります。入稿時には、印刷業者さんが混乱しないよう、リンク画像がどれか、「◯◯◯.psd」と「×××.psd」と(がリンク画像です。)といった具合に、こちらも伝えておきましょう。必ずしも、それを求めない業者さんもありますが、入稿時に「備考欄」か何かに記入しておいた方が無難といえましょう。

 
私の(中の人の)名刺の入稿データ。ネットプリント業者さんのテンプレートを利用しています。デザインはオリジナルで行いましたが、トンボや注意書きがあらかじめ記述されている部分はそのまま「イキ」に。

 

まとめ

データ入稿時のチェックポイントは…

  • 使用ソフト
  • 使用ソフトのバージョン
  • 仕上がりサイズ
  • 色指定
  • レイアウトデータのリンク画像

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。「トンボ」のお話をしておきましょうか。あまり説明しないで来てしまったので、モヤモヤしている方もいらっしゃるかと思いました。
「紙の基本」のお話の中でも「トンボ」が出て来ましたね。家庭用のプリンタで印刷する用のデザインのテンプレートだったり、あるいは、インターネットから入稿できるネット印刷のためのテンプレートだったり、そうしたデータ上に「トンボ」が入ってたりします。「トンボ」は、入稿データに必要不可欠な印です。デザインをしているとよく見かけるので、ちょっと知っておきましょう。

 

「トンボ」とは?

「トンボ」とは、「紙の基本」のお話でも出て来ましたが、デザインスペースを囲む状態で上下左右そしてセンターに配置される印です。Adobeのグラフィックソフトでは、「トリムマーク」と呼んでいたりもします。

「トンボ」(「トリムマーク」ともいう)をつけたブックマーカーのレイアウト

パンダ柄ブックマーカー。完成データ。

デザインの実務では、ポスターを作ったりグッズを作ったりといった案件がありますが、この過程でデザインした図案の印刷は、印刷会社やグッズの製造工場に依頼することになります。こうした会社や工場にデザインしたデータを印刷していただくよう発注するわけですが、このようにして専門業者にデータを持ち込むことを「入稿」と言います。そして、その持ち込むデータのことを「入稿データ」と言います。少し古い言い回しかもしれませんが、「版下データ」と呼ぶ例もあります。
この「入稿データ」にとって、「トンボ」は必要不可欠なものです。ネット印刷のデザインテンプレートに、「トンボ」を見かけるのはそのためです。

 

「入稿データ」と「デザインカンプ」

でも、「トンボ」がないデザインデータもありますね。確かにそうですが、これには理由があります。「トンボ」はデザインの行程でも最終段階の「入稿データ」においては必要です。しかし、その前段階の「デザインカンプ」では必要がありません。なので、「入稿データ」か「デザインカンプ」かによって、「トンボ」の有無が出て来ます。
「トンボ」はデザインの行程にしたがって、つける・つけないを決めればOKです。
ただ、自分が今デザイン作業をしているのが、「入稿データ」なのか、「デザインカンプ」なのか、という判断は、それが全体の行程でどの部分に位置している作業なのかが解らなければ、見当がつけられません。なので、実際のデザインの行程について基本の流れだけ少しお話しておきます。

・クライアントと打ち合わせ
   ↓
・デザインカンプ作成
   ↓
・デザイン提出
   ↓
・デザイン修正
   ↓
・デザインOK
   ↓
・入稿データ作成
   ↓
・印刷会社・工場へデータ入稿
   ↓
・印刷物やグッズが完成、クライアントへの配送

実際のデザインの行程は、およそこのような流れです。「クライアント」とはデザインを依頼していただくお客様のことです。企業であったり個人であったりは様々です。そうしたクライアントから、仕事の依頼があって最初に行うのは打ち合わせです。何をデザインするのか、納期はどれくらいか、予算は・・・等。
この打ち合わせの後、まずデザイナーが作成するのが「デザインカンプ」です。この「デザインカンプ」とは、平面に描かれた完成見本のことです。現在のDTPの時代、グラフィックソフトで描かれることが多いです。デザインカンプは、クライアントにどんな完成イメージなのかを伝えるためのものなので、トンボは必要ありません。トンボは最終的な完成品においては裁ち落としてしまうからです。
提出したデザインカンプをクライアントに見ていただき、必要があれば修正を行い、デザインが確定したら入稿の準備に入ります。入稿データには「トンボ」をつけます。印刷の際に必要になるからです。
このように、伝える相手や用途によって、「トンボ」の必要の有無が分かれるというわけです。したがって、「トンボ」をつける・つけないの判断は、作成するデータが「カンプ」なのか「入稿データ」なのかで結論が出せるということです。

 

トンボのつけ方

AdobeIllustratorでのトンボのつけ方は、「紙の基本(5)〜紙道楽! 紙に印刷して遊ぼう(3)〜」に詳細がありますので、忘れてしまってましたらもう一度チェックしてみましょう。
基本的には、どういった形状であっても、裁ち落としサイズに対しトリムマークをつけますが、Illustratorのバージョンによってつける方法の選択肢があります。前に説明しましたが、裁ち落としサイズのオブジェクトを作成して選び、メニューバー「効果」→「トリムマーク」を選ぶとトンボが表示され、そして、メニューバー「オブジェクト」→「アピアランスを分割」を選択すると、線として描かれた状態のトンボが完成します。
CS5以降、CCでは、メニューバー「オブジェクト」→「トリムマークを作成」という方法で、トンボを描くことも可能です。CS5以降であれば、こちらの方がラクでしょうね。

CCの画面。「オブジェクト」から作成した方がラクですね

 

まとめ

  • 「トンボ」はデザインの行程にしたがって、つける・つけないを決めればOK
  • デザインカンプなら、トンボは必要ない
  • 入稿データなら、トンボが必要

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。前回に引き続き、今回も着せ替えタンブラーの台紙の作り方について解説したいと思います。
前回は、PDFになっている台紙のテンプレートをダウンロードし、AIファイルで保存するというところまで進みました。デザインテンプレートの準備はできたので、今日はそのテンプレートを利用してデザインを進めることにします。下の写真の、私がデザインしたクリエイトユアタンブラーの台紙の柄を例に、解説します。

 

クリエイトユアタンブラー

 

着せ替えタンブラー台紙の作り方

 

[1. テンプレートのAIファイルを開く]

ダウンロードしたPDFファイル、ファイル名は「tumbler500.pdf」ですが、前回はこのファイルをAdobeIllustratorで開いてAIファイルとして別名保存しましたね。今、あなたのPCには、「tumbler500.ai」というファイルがあるはずです。まず、このファイルをAdobeIllustratorで開いてみましょう。
 

PT500mlテンプレート「tumbler500.ai」

 

PT500mlテンプレート「tumbler500.ai」のレイヤー

 

テンプレートはレイヤーに分かれていますね。ブックマーカーやブックカバーの時のお話で出て来た「design space」に該当する部分はどれだと思いますか? このレイヤーの中では「本体」が該当します。なので、解りやすいように「本体」を「design space」に書き換えて、作業をしても良いと思います。
他のレイヤーについても説明しておきますね。上のレイヤーから。「ロゴ」は空レイヤーなので削除してもOKです。「指示事項」は左上のテキストによる説明部分です。「刷り範囲」はグレーで示された部分。左上の説明にもありますが、タンブラーにセットすると図案が隠れる部分です。なので、デザインで重要な部分、例えばロゴマークなど、図案が途切れてしまってはいけないパーツは、このグレーの部分に配置しないように気をつけなければなりません。そうした注意の目印としてこのレイヤーがあるわけですが、目印レイヤーなので、作業の最後に削除してしまいます。

 
[2. レイヤー「design」を作り図案を配置する]

「刷り範囲」の下にレイヤー「design」を作ります。ブックマーカーやブックカバーのデザインの時と同じで、このレイヤーに図案を配置します。
図案ができていれば、あとは簡単です。このレイヤー「design」に、図案をバランスよく配置します。
今回のようなタンブラー台紙のデザインは、場合によっては、図案を扇形に湾曲させることもありますが、今回の例のような散らし柄(総柄)は、その必要はありません。見た目に不自然でなければ、図案の湾曲の必要はないということです。

 
[3. 塗り足しをつける]

塗り足しをつけます。塗り足しをつけて、印刷に用いるデータは完成となります。
レイヤー「本体」の点線がありますが、これが裁ち落とし線になります。なので、このラインから3mm外側のラインまでが、塗り足し部分(ドブ)となります。
裁ち落とし線から3mm外側に、塗り足しラインを描きます。レイヤー「本体」の点線を選択したままで、メニューバー「オブジェクト」→「パス」→「パスのオフセット」を選択します。「パスのオフセット」のダイアログボックスで「オフセット」の数値を3mmにします。すると、裁ち落とし線の外側3mmにラインが描けます。この塗り足しラインを、レイヤー「design」の同一の位置にカット&ペーストします。復習しますね。このような、同一の位置へのカット&ペーストは「コマンド+C」の次は「コマンド+B」でしたね。

塗り足しラインが描けたら、このラインまで図案を満たします。後はレイヤー「刷り範囲」を消せば、データは完成です。なお「本体」レイヤーの点線ですが、後の紙を裁断する作業がしやすいように、消さないで残しておいてください。

試しに、私がデザインしたスターバックスのクリエイトユアタンブラーの台紙の柄を、このテンプレートに配置してみますね。下のようになりました。
 

PT500mlテンプレートに配置した状態

 
[4. データを紙に印刷する]

完成した図案を紙に印刷します。ところで、どういった種類の紙に印刷しましょうか? いつもの普通紙でもぜんぜんかまいません。でも、ちょっと発色を気にして、いつもと違う紙に印刷するのも面白いです。くっきりとした鮮やかな彩度を再現するなら、写真用専用紙が良いでしょう。ブックマークのお話の時、パンダ柄の印刷に用いたのがEPSONの写真専用紙でしたね。そうでなく、鮮やかさよりも風合いを求めるなら、画用紙が良いでしょう。なお、私がデザインしたスターバックスのクリタンの台紙には、ケナフという自然な風合いの非木材紙を用いてます。ただし、この紙は廃盤になってしまいました。気に入っていたんですけどね・・・。ともかく、印刷する紙はどんな発色を求めるかで決めれば良いと思います。

 
[5. cutlineを目印に裁ち落とす]

紙に印刷したら、裁ち落としラインに添って裁ち落とします。裁ち落としラインは、今回のテンプレートでは、レイヤー「本体」にある点線部分でしたね。ハサミでも良いですけど、私はカッターでキュキュッとカットしてしまいます。慣れると曲線部分もスイスイ切れますよ。紙をカットしたら、台紙は出来あがりです。

 
[6. タンブラーにセットして出来あがり]

タンブラーに台紙を差し込んでセッティングすれば出来あがりです。それぞれのメーカーの着せ替えタンブラーで、台紙の差し込み方法が異なるので、適宜やってみてください。なお、私のクリタンは、下のフタを開けて差し込むタイプです。

さて、オリジナルデザインのタンブラーができました! たくさん使ってあげてくださいね。

 

まとめ

  • タンブラーもレイヤー「design」を作りここに図案を落とし込む
  • 台紙に用いる紙は発色で決める。画用紙や写真専用紙を使っても良い
  • 曲線部分の裁断は、慣れればカッターでもさほど難しくはない

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
紙を使ったオリジナルグッズデザインのお話をしてきましたが、ブックマーカーに続き前回は、ブックカバーの作り方のお話をしました。今回は着せ替えタンブラーの台紙の作り方です。
ブックマーカーやブックカバーを作れるのなら、タンブラーの台紙はそれほど難しくはないことでしょう。AdobeIllustratorでデザインするとして、ブックマーカーもブックカバーも、最終的な形状である裁ち落としライン(Cutline)が解りそこに落とし込む図案があれば、同様の手順でデザインができましたが、タンブラーの台紙もその例に漏れません。

 

着せ替えタンブラーを購入しよう

「紙の基本(4)」でも触れましたが、スターバックスの「マイスターバックスタンブラー」、「クリエイトユアタンブラー」など、台紙が着せ替えできる仕様になっているタンブラーが市販されています。この種のタンブラーは「カスタムタンブラー」などとも呼ばれていますね。
写真は現在販売中止となっている型ですが、私が愛用しているスターバックスの「クリエイトユアタンブラー」です。

クリエイトユアタンブラー

着せ替え式のタンブラーには台紙を差し込める隙間があります。そこに、紙に印刷したオリジナルデザインの台紙を入れて、楽しむこともできるというわけです。
着せ替え式のタンブラーは、スターバックスばかりでなく複数のメーカーが販売していますが、このように台紙を入れる隙間がある仕様になっています。
台紙の厳密な形状はメーカーにより異なりますが、この形状に合わせてデザインを落とし込めばいいということについては、どのメーカーにおいても変わりありません。なので、とりあえず、いずれかのメーカーの着せ替えタンブラーを購入し手に入れてしまいましょう。台紙の形状が把握できれば、あとは、ブックマーカーやブックカバーのような作業になります。

 

メーカー別、着せ替え式タンブラーいろいろ

複数のメーカーが着せ替え式タンブラーを販売していますが、ご参考までにいくつかピックアップしました(※ご使用ご購入は自己責任で)。

●クリエイトユアタンブラー(スターバックス)
現在、販売中止となっている型のクリエイトユアタンブラーは、シンプルでどんなデザインにも合わせやすかったので、おススメしておきます。
スタバのWebサイトにはまだ、この販売中止となっている型のクリエイトユアタンブラーの情報が掲載されていますね。
・スターバックスWebサイト

●カスタムデザインタンブラー(トレードワークス)
こちらもシンプルなので、いろいろなデザインに合わせやすそうです。
楽天の通販サイトでも購入できます。グッドデザイン賞を取っている商品とのことで、使いやすそうです。
・雑貨ネットONLINE

その他、ダイソーにも着せ替えタンブラーが売っているようですので、ご興味があれば店頭でご確認してみても良いと思います。

 

テンプレートをダウンロードする

ここからは、トレードワークスのカスタムデザインタンブラーを題材に、お話したいと思います。(スタバの以前の型のクリエイトユアタンブラーは、販売中止となっているとのことですし。。。)
トレードワークスのカスタムデザインタンブラーには、台紙デザイン用のテンプレートがあります。トレードワークス推奨のサイトなので、安心して使っていただけます。まずは、このテンプレートをダウンロードしましょう。今回はとりあえず、高さ17.8cmのものでデザインしてみますね。

こちらから、ダウンロードできます。
・CUSTOM DESIGN

テンプレートはJPGとPDFがあります。今回はPDFを選択します。

デザインテンプレートのサイト。PDFを選択します。

 

PDFのテンプレートをAIで別名保存する

PDFのテンプレートをダウンロードできましたか? ファイル名は「tumbler500.pdf」です。念のためちょっと説明しておきますね。ダウンロードサイトで「PDFをダウンロード」のボタンを押していただくと、ブラウザにテンプレートの図案が現れると思います。そのまま「別名で保存」をしてしまってください。これでPDFファイルがあなたのPCにダウンロードできているはずです。
そこまでできたら、今度はそのPDFファイルをIllustratorで開き、AIファイルとして保存し直します。PDFファイルは、後から編集できないようにIllustrator等で開けない設定にすることもできますが、今回のPDFファイルはテンプレートとして配布されているので、ちゃんと開くことができます。
メニューバー「ファイル」→「開く」から「tumbler500.pdf」を開きます。ファイルを開いたら、そのまま「別名で保存」し、ファイル形式から「Adobe Illustrator(ai)」を選択してください。次のダイアログでバージョンの選択がありますが、これはあなたがお使いのIllustratorのバージョンに合わせましょう。
このように、ダウンロードしたPDFファイルをAIファイルで保存し直せば、テンプレートの準備は整ったことになります。あとは、図案の落とし込みです。このお話は、次回。

 

まとめ

  • 着せ替え式のタンブラーのおススメは、
    スターバックスの「クリエイトユアタンブラー」(以前の型)
    トレードワークスの「カスタムデザインタンブラー」
  • 「カスタムデザインタンブラー」はデザイン用テンプレートを配布している
  • PDFファイルはAdobeIllusutratorで開くことができる

では、また!