こんにちは。ANGEL VIBES です。イメージを伝えるための色彩計画は、デザインにとって最も重要な要素の1つです。これによって、イメージがより明確に伝わったりキャラクターがより引き立ったり、ということがあります。
企業やブランド等でも「コーポレートカラー」と言われる、企業を象徴するカラーがありますね。
アニメなどのキャラクターでも、キャラクターのテーマカラーが設定されている場合があります。また、ミュージシャンやアイドルなどの実在する人物が、人物像を表すテーマカラーを設定している場合もあります。
このように、あらゆるデザインにおいて色彩計画は基本です。今日は、そういった色彩計画のお話をしようと思います。

 

色彩計画によってイメージをわかりやすく伝える

何でもいいですが、ブランドやキャラクターを思い出してみましょう。
ブランドやキャラクターを頭に浮かべてみた時、色彩も一緒に浮かんでくることがありませんか? イメージは、それだけ色を伴っているということです。そうした理由で、実際のデザイン展開でも、個性を表す色を積極的にデザインに取り入れている例があります。

 

「エヴァンゲリオン」、レイの「静」・アスカの「動」

アニメなどのキャラクターには、個々のキャラクターのテーマカラーが設定されている場合があります。キャラの個性がイメージしやすいので、象徴する色を設定してしまうというわけです。「新世紀エヴァンゲリオン」もそういった例だったと言えるのではないでしょうか?
「新世紀エヴァンゲリオン」の中では、2人の少女の対比が作品を生き生きさせていたと思います。レイの「静」・アスカの「動」、2人のキャラクターの個性の対比です(シンジ君ごめんね、今日は話題にしないから)。
レイは水色の髪、アスカはオレンジの髪、2人の性格が表れていると思いませんか? レイはクールで、アスカは勝ち気でアグレッシブ。エヴァに乗る少年少女の内でも、特にこの2人の個性は互いを引き立てあってましたね。
レイの水色、アスカのオレンジ。まさに「静」と「動」の対比ですが、これがキャラクターのテーマカラーになっていた、というか、2人の個性がこの色に重なっていましたね。これが逆の色の設定だったら、それはそれで、腑に落ちない感じになっていたことでしょう。
こうしたテーマカラーの設定は、キャラクターグッズのデザインをする時にも役立ちます。なぜなら、キャラクターのテーマカラーを利用すれば、キャラの個性に添ったデザインが展開できるからです。
キャラクターグッズでは、レイは水色から青色の寒色系、アスカはオレンジから赤の暖色系を用いてデザインされました。こうした色を取り込むことにより、キャラクターの個性が表れたデザインの展開となっていましたね。ショップなど売り場では、色の対比がキャラそれぞれのグッズを引き立て合って「売り場映え」もしました。キャラのテーマカラーにより、アニメ作品そのものとしてももちろんですが、グッズでもキャラの個性が生き生きとして、秀逸なものとなっていったと思います。

 

hideさんのパッションピンク

色彩計画を効果的に使う例は、架空のキャラクターばかりではありません。その人物の個性を象徴するものとして、実在する人物にもテーマカラーが用いられる例があります。
ミュージシャン、アイドル、ひいては政治家、といった実在する人物が、自分のキャラクターカラーを設定し用いる手法は、現代のデザインにおいてはもはやポピュラーと言えそうです。そんな中、そういった色彩計画が圧巻なのは、元「X JAPAN」のhideさんのピンクをテーマカラーとしたカラーコーディネートでしょう。
ピンクをテーマカラーにして、これ以上スタイリッシュで印象に残る見せ方をした人はまだいないのではないでしょうか。

「Ja, Zoo」hideさんのアルバムCD。1998年発売。

hideさんのパッションピンクは、hideさんのアーティストとしてのパンキッシュで鮮烈なイメージを象徴していたように思います。「ピンク」というと甘くふんわりしたイメージにまとめがちですが、hideさんのカラーコーディネートは違っていました。あのパッションピンクにネオンカラーなどの彩度が高い色を合わせてきたり、そればかりかあえてダークトーンにあのピンクを刺してきたり(それでいて、「ピンク」に目が誘導されて、この人物を象徴するカラーは「ピンク」だ! となる。ピンクを使うタイミングや面積も絶妙だったということです)。
hideさんは「ピンク」という色のイメージすら変えてくれたのかもしれません。それは「スイート」なのではなく「辛さ」だと言わんばかりに。
それが、hideさんっぽいよね、というところだったと思います。他の人じゃなかなかこなせないのでしょう、あのカラーコーディネートは、hideさんが亡くなった以降もなかなか見かけませんね。そういった部分では、ブランディングで重要な要素である他との「差異化」がうまくできていた例なのだと思うし、hideさんらしい鮮烈さを伝えることに成功していたと思います。hideさんのピンクは、ファッションにもミュージックビデオにも的確に用いられていました。それで、あのピンクがあった上での名曲「ピンク スパイダー」ですよ。名曲がさらに心臓に刺さってこないわけがありません。
 

YouTube「hide with Spread Beaver - ピンク スパイダー」(hideofficialVEVO)

リアルタイムで知らない若い世代もそろそろ増えて来たかと思いますが、hideさんを一度は見てみてほしい!
つい、熱苦しくなってしまいました。。。今日はこのへんで。

 

まとめ

・色彩計画により、ある対象のイメージがより明確に伝わる
・企業だけでなく架空のキャラクターや実在するミュージシャンなどがテーマカラーを設定していることがある
・hideさんのミュージックビデオは一度見てみることをおススメする

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。タイポグラフィの基本は、「大・中・小」の塊・文字の大きさ・そのレイアウト、にあります。だいたいそんな感じです。それは、前回までの説明で明かしたとおりです。こうした「大・中・小」を意識すれば、タイポグラフィは自ずといい感じになっていくと思います。
他に、タイポグラフィの基本について言っておこうと思うのは、文字のレイアウトには基本のパターンがあるということです。レイアウトのパターンは、基本を覚えれば応用が効くので、とりあえず覚えてしまうのもアリですね。それに、レイアウトを考えすぎて頭の中がカオスになってくることもあるので、そんな時は基本を見直すことがイメージの整理に役立ちます。
といった事情もあるので、今日は、基本のレイアウトはどうやって覚えるの? というお話をしておきます。

 

タイポグラフィには基本のレイアウトがある

基本のレイアウトを覚えるにあたり、ちょっと解説しておきますね。
タイポグラフィには、ジャンルによって定番のレイアウトがあります。カタログならこんな感じとか、書籍の表紙なら、雑誌の表紙なら、・・・と、定番のレイアウトがあります。なぜ、そんな基本形があるかといえば、そのジャンルの媒体が持つ機能に則ってタイポグラフィがなされているからです。
コンビニの雑誌の棚を見てみてください。雑誌の多くは雑誌のタイトルが上部に位置していませんか? これが基本形だったりするわけですが、こういったレイアウトにしているのは何故だと思います? これは雑誌の棚の形状に合わせていて、タイトルが上部にあれば、後ろの段にあってもタイトルだけは見えるからです。雑誌の表紙は「コンビニの雑誌棚でもタイトルが見える」という命題に応えた機能を付与するレイアウトとなっています。このように、「機能」がタイポグラフィの基本形を形作っている面もあるのです。
カタログなども、定番の基本形がありますね。上部にタイトルがあって、その下にマスがずらりと並んで、そこに商品とその説明がついているような。商品を探す時に、見やすいということです。
もし、デザインするジャンルが決まっているなら、そのジャンルの定番のレイアウトを調べてみてから、デザインを進めるという手段もあります。デザインを考えているうちに、なんだか頭の中が混乱してきてしまった・・・などという方も、いったん定番のデザインを調べてみる・思い出してみる、という作業でイメージが整理されてくるでしょう。

 

レイアウトの基本形を調べてみる

自分がデザインするジャンルの基本形のレイアウトを調べるにあたり、まず、デザインするジャンルの資料を集めましょう。「タイポグラフィの基本(1)」で、資料集めに出かけましたね。同じように、持ち帰っても良いリーフレットやカタログで、参考になるデザインがあれば持ち帰ってしまいましょう。持ち帰れない書籍等は、インターネットで画像検索してみましょう。ピンタレストの活用も良いでしょう。
その他、図書館でデザイン年刊や「P・I・E BOOKS」あたりの作品集を見るという手段もあります。資金に余裕があれば何冊かの作品集を購入するのもおススメします。良い作品集は一生もので、私も数十年前に購入した資料集は、必要に迫られて定期的に見返しています。「P・I・E BOOKS」はセンスが良くておススメです。

「P・I・E BOOKS」の作品集「corporate profile graphics」の中ページ。
私が所持する内の一冊。

資料を眺めているうちに、デザインのジャンルによって、だいたいのデザインフォーマットがあることに気づきはじめると思います。デザインのフォーマット=テンプレートと考えても差し支えないでしょう。これがジャンルによるタイポグラフィの基本形です。この基本形を覚えておけば、何かと役に立つ機会があろうかと思います。

 

レイアウトをサムネイルに書き出してみましょう

そういったタイポグラフィの基本形が見つけられたら、デザインのフォーマットとして覚えてしまいましょう。
覚え方はこんな感じで。手書きで構いませんので、サムネイルとして書き出してメモします。ネタ帳に書いておけばOKです。デザインする時にそのメモを見返せば、フォーマットを思い出せますね?
インターネットの検索結果に並ぶ小さな画像も「サムネイル」と言いますが、「サム」は「親指」、「ネイル」は「爪」で、デザインを簡潔に表した小さなラフ・スケッチのことです。デザインのフォーマットを覚えるなら、いっそ細部を切り落として単純化したサムネイルをメモしていけば、頭に入って行きやすいです。自分で解れば良い程度のラフでいいので、メモの習慣をつけましょう。
「手書き」とは言いましたが、別にイラレで書いても構わないですからね。要するに、情報を単純化し、フォーマットとして覚えておくことが重要なんです。

サムネイルの例。だいたい解ればOK

ちなみに上のサムネイルは「ベルギー奇想の系譜展」のチケットです

「ベルギー奇想の系譜」使用済みチケット

タイポグラフィにはジャンル別に基本のフォーマットがあるという話をしてきたわけですが、ただ、その基本形を厳密に守らなければならない、ということでもないですので。あまりそこは考えすぎなくて大丈夫です。時と場合を見計らうことができるようになれば、アレンジして、基本形を崩していったって良いんですよ。

 

まとめ

・タイポグラフィにはジャンル別に定番のフォーマットがある
・基本のタイポグラフィを覚えるためには、まずデザインするジャンルの資料を集める
・そして、レイアウトをサムネイルとして書き出しておく

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。タイポグラフィにはチェックポイントがありましたね。復習しますよ。
 ・「塊」とその配置
 ・構成要素の「大・中・小」
 ・文字の大きさ
これらがうまくできていればタイポグラフィは成立するという、基本中の基本の要点でしたね。
さて今日は、この要点をふまえ、例の「ベルギー奇想の系譜」のチケットについて分析してみます。

 

ちょっとチケット全体を眺めてみましょう

例の「ベルギー奇想の系譜」のチケット全体を、眺めてみましょう。

「ベルギー奇想の系譜」使用済みチケット

おおまかに、左右の塊によって成り立っているレイアウトだと解ると思います。
左側にこの展覧会を象徴する奇妙な味わいの絵画、右側に展覧会の題名を始めとした文字情報。オーソドックスですが、スッキリと解りやすい配置ですね。
「奇想」のイメージは、左側の絵画によって伝わってきますね。ぎっしりと細かく奇妙な何者かが描かれていて、まずこの絵画で「奇想」のイメージが解ります。
そして、塊の大きさの観点から分析してみますが、レイアウト全体から見て、左側の絵画は「大」、右側の文字情報は「中・小」の塊と言えるでしょう。
チケットを見てください。ぱっと見、まず左側の絵画が目に入り、そして展覧会の題名に目が行きますね。それから、開催期間やその他の記載というふうに、自然に視線が誘導されませんか? 伝えたい情報の重要度に従って、グラフィックの塊を「大・中・小」にしてあることによる効果です。

 

文字情報部分のタイポグラフィを分析してみる

ここで、右側の文字情報部分に注目してみたいと思います。
まず文字の組み方についてですが、見事な箱組みですね(文字の両端を揃えて、シルエットを正方形・長方形に見せるこのような文字の配置の仕方を「箱組み」と言います)。文字情報がまとまって見えます。
文字情報部分がこうしたまとまった塊になっていることによって、左側の絵画に対し右側は文字情報なんだなと、ビジュアルで、まずそう認識ができると思います。見ている人に、そう認識させ、スッキリと情報を理解させるための効果的なレイアウトとも言えますね。

 

文字情報部分の「大・中・小」の塊

今度は、右側の文字情報部分での、「大・中・小」の塊の大きさの観点から分析して
みたいと思います。
先ほど、レイアウト全体から見て、左側の絵画は「大」、右側の文字情報は「中・小」の塊と言える、と述べました。確かに、右側の文字情報部分は全体のレイアウトから見て「中・小」の塊ですが、この右側の文字情報部分のみ分析すれば、この部分も「大・中・小」の塊から成り立っていることが解ると思います。

文字情報も「大・中・小」になっていますね

文字情報の中でも最も重要な部分は、この展覧会の題名です。このチケットでいうと、「ベルギー奇想の系譜」がそうです。展覧会の題名を大きく太くして目立たせてありますね。左側の文字部分の中では「大」の塊です。
次に目立たせたいのは、展覧会のテーマや開催期間・場所です。このチケットでいうと「ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」や「7.15→9.24」や「Bunkamura ザ・ミュージアム」、英文の「Fantastic Art in Belgium」のあたりです。展覧会の題名の次に目立たせてありますね。このあたりが「中」の塊です。
他は詳細情報で、重要情報の後に見る部分です。このあたりは「小」の塊となっています。
文字情報部分のみを分析してみると、このように、伝えたい情報の重要度に従って「大・中・小」の塊になっています。これにより、情報の重要度に従って、視線が自然に誘導されますね。

さらに文字部分の塊をそれぞれ分析してみます。
「大」の塊「ベルギー奇想の系譜」は、「ベルギー」をゴシック体の太字にして「奇想の系譜」よりも少し目立たせています。この展覧会は、ベルギーからアートがやって来たよという部分が重要で、「ベルギー」を目立たせたのでしょう。こうしたメリハリによって、情報がさらに伝わりやすくなりますね。
他にもよくよく観察していくと、細々としたメリハリがあります。「中」の塊「7.15」の隣の「(土)」や、「9.24」の隣の「(日)」といった曜日の要素が小さくなっていたりもします。

 

そして、「遊び」がある

このチケットのタイポグラフィは、上に述べたように、分析すればする程に利に適っていることが解ると思います。情報の重要度に従い目線が誘導される、良く出来たタイポグラフィですね。
こうした利に適った部分ばかり見てきましたが、そうでもない部分もあります。そしてその、利に適わないとも言える部分によって、このタイポグラフィはさらに秀逸になっています。「利に適わないとも言える部分」、それは「遊び」です。
このタイポグラフィにおいての「遊び」は、英文の「Fantastic Art in Belgium」に象徴されます。いわば無くても良い部分で、それなのに、文字部分の中では展覧会の名前の次に目立たせています。
そういった意味では、全く利に適っているとはいえません。しかし、この部分があるとないとでは、見た目に差がついてしまいます。この「Fantastic Art in Belgium」があることで、おしゃれ感が増しますね。このおしゃれな部分がないと、情報が伝わりやすい一方で、おそらく退屈なタイポグラフィとなってしまったことでしょう。せっかくの、渋谷のBunkamuraで開催される展覧会チケットです。おしゃれ感があって退屈させないタイポグラフィがふさわしいですね。

 

まとめ

・情報の重要度に従い塊を「大・中・小」にして配置する
・文字は重要部分を大きくしたり太くしたりすると解りやすい
・遊びがあるタイポグラフィだとなお良し!

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。私の推しのタイポグラフィも含めお話してきましたが、皆さんは気に入ったタイポグラフィのコレクションはできましたか?
こんなタイポグラフィをやってみたい! というデザインが、そろそろ見つかってきたかと思います。そこまでできたら、そのタイポグラフィがどういった成り立ちになっているか分析してみましょう。そうすれば、タイポグラフィの腕は段々身について来ますよ。

 

分析してみましょう

いい感じだと思ったタイポグラフィを見つけたら、そのレイアウトを分析してみましょう。
ちょうど、いい感じのタイポグラフィがあるので、例にしてみますね。写真は、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催された「ベルギー奇想の系譜〜ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで〜」という展覧会のチケットです。使用済みなので右側が切り取られてますが、いい感じだと思います。

「ベルギー奇想の系譜」使用済みチケット

どんなレイアウトでも、まずこの部分をチェックしてみてください。
・「塊」とその配置
・構成要素の「大・中・小」
・文字の大きさ
タイポグラフィは上記の点がうまくできているかどうかが基本中の基本、これらがうまいことできれば、基本のデザインは成立します。

写真の「ベルギー奇想の系譜」チケットのタイポグラフィについて分析してみたいと思いますが、その前に、これらのチェックポイントが何なのかついて、説明しておきますね。

 

「塊」とその配置

タイポグラフィは文字の「レイアウト」によって成り立っています。「レイアウト」は文字も含むグラフィックの要素(写真やイラスト等)の配置・構成です。ポスターなどをよくよく見てみると、画面においてグラフィックの要素がいくつかの「塊」になっており、「塊」が配置されていることに気づくでしょう。
配置された文字要素の「塊」をよくよく観察してみてください。タイトル周り、コラム、キャッチーコピーなど、それぞれの伝達内容によって「塊」になっていませんか? このように、文字要素を伝達内容によってそれぞれの「塊」にして画面を構成するのは、視覚的に伝わりやすくするためです。例えば、重要事項〜ちょっと重要な事項〜知りたい人だけ読む詳細説明、というのがぱっと見で解るビジュアルであれば、情報が理解しやすくなるということです。

 

構成要素の「大・中・小」

上に述べたように、レイアウトされているグラフィック要素の「塊」は、それぞれの伝達内容によってまとまっています。
では、この「塊」の大きさに着目してみてください。「大・中・小」に分けられていますね。
さらに「大・中・小」について「塊」の中を観察してみましょう。まず、グラフィック要素の「塊」の大きさは「大・中・小」になっていますが、その「塊」の中で、文字の太さや大きさに強弱があり、さらに「大・中・小」があることに気づくと思います。

 

文字の大きさ

画面の文字全体を観察してみてください。文字の大きさにも「大・中・小」の強弱がありますね。強調したい文字部分は大きさを大きくしたり太くしたりします。強調しない部分は、逆に小さくしたりします。このように、文字に視覚的な強弱をつけることで、ぱっと見で伝わりやすくなります。
そして、文字部分の用途によっては、それに合った適切な大きさになっていることも必要です。雑誌などの例えば何かのコラムといった文章中心のページでは、本文として読みやすい級数(=Q数)にしたりもします。平均値はだいたい13級(およそ9ポイント=9pt)ぐらいです。本文を13級とすると、写真につけるキャプションは10級以下ぐらいが無難です。

 

文字の大きさを測る

本当かな? と思う方は、そういった雑誌、気になったリーフレットやポスターなどの文字の大きさをいろいろと測ってみてください。
ただ、AdobeIllustratorなどDTPのデータなら調べられるとして、紙に印刷された文字はどうすればいいのだろう・・・という方、ご安心を。写植級数表で測れますよ。写植級数表は、透明なフィルムにマスが印刷されている道具で、DTPが始まる以前から文字の大きさを測る道具としてデザイン業界などで使われて来ました。今となっては、この写植級数表が用いられる場面は、少なくなってしまったでしょうけれども、まだまだ役に立つ道具です。
私が持っているのは、IZUMIYA製(株式会社いづみや=現在の株式会社Too)。社名が変わり、Too自体ももう製造していないようですが、レター社など他のメーカーの写植級数表は現在も売られています。
 

IZUMIYA製の写植級数表。ずいぶん黄ばんでしまいましたが、まだ持っています

 

文字の上に重ねて大きさを測ります。1行目は16級程度ということが解ります。

 
さて次は、「ベルギー奇想の系譜〜ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで〜」のタイポグラフィについて具体的に分析したいと思いますが、それは次回!

 

まとめ

タイポグラフィでチェックする部分は
・「塊」とその配置
・構成要素の「大・中・小」
・文字の大きさ

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回はタイポグラフィのコレクションをしに外出してみようよ、というお話で終わりましたね。タイポグラフィを収集する方法はそれだけではありません。さりげに買ったお菓子のパッケージ、あるいは深夜に観たアニメや映画の中にも優れたタイポグラフィが埋もれています。
本当は、タイポグラフィで注意する基本項目について解説しなければならないのですが、それは後でも大丈夫なので、今日は別のお話をしておきます。
筆者が思った、「これイイ!」というタイポグラフィを紹介します。

 

気に入ったタイポグラフィは普段からチェック

デザインの勉強をしていると、「普段からアンテナを張っておけ」というアドバイスをされたことはありませんか? あるいはデザイン系の書物にそう書いてあったり。そのとおりではありますが、そんなに肩に力を入れなくて良いですよ。ラクに行きましょう。ただ、ご自分で、「あっ、これイイ」と少しでも思ったら、チェックしておきましょう。できるなら、収集しコレクションにしておきましょう。
スーパーで買ったお菓子のパッケージでも良いです、深夜に観たアニメや映画の文字の使い方でも良いです。ご自分が正直に「これイイ!」と思った何かは要チェックです。
ちなみに、筆者が最近「イイ!」と思ったのは、明治のチョコレートのパッケージ。スタイリッシュで、これならパッケ買いしてしまいますね。チョコは大人味で、もちろん美味しいです!
 

明治のチョコレートのパッケージ。
画面構成・色のバランス、フォントの選択、紙の選択も見事ですね。

 

「新世紀エヴァンゲリオン」のタイポグラフィ

1990年代後半に、「新世紀エヴァンゲリオン」の深夜再放送がありました。あの直後、エヴァっぽいタイポグラフィがグラフィックデザインの業界の中でちょっとしたブームでした。極太の明朝体を使い、極端なまでに文字の大小のメリハリをつけ、時には長体をかけ、文字の配置の仕方は「第○話」のテロップのような。
エヴァ的な影響が見られるタイポグラフィは、あの直後、巷のリーフレットやカタログで散見できました。当時筆者が在籍していた事務所のデザイナーも用いてました。いくら黙っていようと、デザイナーならあの文字の組み方を見ればわかりますよ。「あなたもエヴァンゲリオンを観たのね」と。
あの手の文字の配置の仕方や効果的な明朝体の使い方は、それ以前から「ぽい」ものならありました。しかし、エヴァでは随分キャッチーなデザインに昇華し、センセーショナルでした。
「新世紀エヴァンゲリオン」をとりまくこうした一件は、タイポグラフィが優れていた一方、それに感動し食いついてしまったデザイナーも多かったのだということを示していると思います。筆者もデザイナーとして心躍らされた一人です。それだけ、あのタイポグラフィがオーラを放っていたといことでもあります。
こういった優れたタイポグラフィは日常に潜んでいるのですよね。日常の中でも「これイイ!」ってなってしまうデザインは、見過ごさないようにしたいものです。
ちなみにエヴァで使用しているあの極太明朝のフォントですが、フォントメーカー「フォントワークス」の「マティスEB」です。

画像出典:「フォントワークス」サイト(https://fontworks.co.jp/products/font/evamatisse

 

映画のタイトルも要チェックです

映画のタイトルにも秀逸なタイポグラフィがかなり潜んでいます。映画好きの方なら、ちょっと気にして見て見ると良いですよ。
タイポグラフィの中で重要な要素に「字詰め」があります。これは文字と文字の間のアキを調整することを指します。もっと丁寧に「文字詰め」と言ったりもしますし、Adobeのソフトに倣って「カーニング」と呼んだ方が今時しっくり来るかもしれませんね。
この「字詰め」ですが、これが絶妙なタイポグラフィの例があります。1970〜80年代の角川映画のタイトルロゴのデザインが、まさにその例です。
太いゴシック体に字詰めキツキツのタイトルロゴです。文字と文字がくっつかんばかりで1970〜80年代の流行だったのでしょうが、「字詰め」の重要さが良くわかる例です。
「野生の証明」(高倉健主演)とか「復活の日」(草刈正雄主演)とか、ナイス字詰めです。書体自体は太いゴシック体のシンプルなデザインだったりしますが、映像に合った緊張感があります。タイトルロゴのデザインは、装飾を施して「盛る」手法もあります。しかし、禁欲的に字詰め一つの器量でここまでやれてしまうこともあるんですね。それはまるで、シンプルな坊主頭で通しながらいい男で居続けた、高倉健さんにも通じるところがありますね。

 

まとめ

・日常の中にも優れたタイポグラフィは埋もれている
・1970年〜80年代の角川映画のタイトルロゴの字詰めはナイス
・「新世紀エヴァンゲリオン」のタイポグラフィに魅了されたデザイナーは多かった(と思う)

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。フォントデザインにご興味をお持ちの皆さんは、タイポグラフィについてもご興味をお持ちになるのではないでしょうか?
「タイポグラフィ」は簡単に言ってしまえば、文字や文字周りのデザインですが、そもそも、グラフィックデザイン全般において重要な要素となっています。今日はタイポグラフィのお話をしておこうかと思います。

 

タイポグラフィとは?

「タイポグラフィ」(typography)とは、「日本大百科全書」によれば、「印刷物の体裁に影響を及ぼす、文字の書体、大きさ、配列のしかたなど、視覚効果の総称。」です。最初に言ったように、文字や文字周りのデザインと考えて差し支えないでしょう。書体そのもののみならず、文字のレイアウトも含み、「字詰め」や「行間」の調整もその要素です。
文字を含むグラフィックデザインのジャンルであれば、タイポグラフィは避けて通れません。フォントデザインやロゴデザインの、文字そのもののデザイン、また、パッケージデザインの商品名、エディトリアルデザインの文字部分・・・、文字はグラフィックデザインの様々なジャンルのデザイン要素となっています。グラフィックデザインはタイポグラフィ抜きに語れないのです。
それを考えれば、タイポグラフィを制すればグラフィックデザインをも制することができる、と言えるわけです。

 

タイポグラフィの基本

タイポグラフィ、つまり文字周りのデザインについてですが、基本中の基本だけのお話にしておきます。なぜかというと、デザインに正解はない、というのが私のデザインについての考え方なので。時代とともに正解を新しく考案していくのがデザインとも言えるでしょうし。デザインツールの使い方と異なり、私が考えている「こうあるべき」というデザインの理想を誰かに押し付けることには、ほとんど意味がないでしょう。
そんなこともあるので、基本中の基本だけのお話にしておきます。

・文字の大・中・小のメリハリをつける
・本文の文字の平均的な大きさの目安は9ポイント(約13級)
・本文の1行に入る文字数のMAXは32文字
・本文の行間の平均的な大きさは文字の大きさの1.5倍程度
・適切な書体を選ぶ
・適切な字詰め行間の調整をする
・若い層向けなら本文小さめ・字詰めキツキツでOK
・中高年層向けなら本文は平均の大きさ以上・字詰めはキツくしすぎない
・まずタイトル周りのデザインをしっかり決めてしまう
・なるべく読みやすい字切りにする

タイポグラフィで注意する基本項目はこんなところです。

上記項目について、詳細を解説したいと思いますが、いきなり理論に行くのはやめておきましょう。理論通り作業したからといって、デザインがうまくいくわけでもないですから。
それよりも、資料集め兼がね遊びに行きましょう!

 

資料集めに出かけましょう

デザインで何が大事かというと「カッコイイ!」とか「カワイイ!」とか、そういったワクワク感だと思います。そういった感覚的な何かが伝わるデザインは、生き生きして見えます。まずは、自分の感覚というものを確かめる作業をしてみましょう。
では、自分の感覚を確かめるには? となりますが、まず、気になったタイポグラフィのコレクションをしてみましょう。もう、遊びのつもりでOKです! 遊びの感覚で資料集めに出かけてみましょう。
資料集めなら、インターネットでも良いしピンタレスト巡りをしてピンをして回っても良いですが、お散歩がてらあるいはウィンドウ・ショッピングがてらでも構いません、外出をおススメします。
デパート等の好きなショップに行ったりすると、偶然素敵なカタログやリーフレットに出会えたりするものです。気に入ったものはいただきましょう。もちろん万引きはいけませんが、「自由にお持ちください」という無料のカタログ等も置いてありますので。
野外の看板等の写真を撮って回るのも面白いですよ! 世の中、変テコリンなデザインの何かが結構あるもので、普段見過ごしていたりもします。歩いていると、そういったデザインに気づいたりして、驚きがあります。
そんな感じで自分のコレクションが出来て行くわけですが、そういったことをしているうちに、自分の感覚が解って来ます。自分のデザインの理想はこんなかんじだなあ、と。そして「こんなデザインがしたい」と思い理想を形にする時、「本文って通常どれくらいの大きさなのだろう」などと気になる部分が出てくるかと思います。その時、先ほどあげた、タイポグラフィで注意する基本項目をチェックしてみても遅くはありません。
肩の力を抜いて、ラクに楽しく行きましょう。タイポグラフィは本来面白いものなのですから。

先日筆者が観に行った「ベルギー奇想の系譜展」のショーウィンドウ
メリハリが効いたタイポグラフィですね!

 

ショーウィンドウの隅っこにはこんな子が! シャレてますね!

 
続きは次回。

 

まとめ

・タイポグラフィとは文字や文字周りのデザインのこと
・タイポグラフィはグラフィックデザインの重要な要素
・まず、気になったタイポグラフィのコレクションをしてみましょう

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回は、Glyphs Miniのメトリクス関連情報の設定の途中まで解説しましたね。今日はその続きです。「キャップハイト」「xハイト」の設定をしてみましょう。
 

「キャップハイト」「xハイト」の設定の前に

混乱している方がいるかもしれないので、「キャップハイト」「xハイト(=「エックスハイト」、Glyphs Miniでの表記は「xハイト」)」の設定の前に、ちょっとメトリクスのお話を復習しておきますね。

フォントの作り方(13)〜メトリクスの話〜」で触れてますが、従来の「欧文書体設計のためのライン」において言う「アセンダー」と、フォント作成ソフトで言う「アセンダー」は、意味が異なります。これはGlyphs Miniにおいても例外ではありません。
厳密には「ディセンダー」についても同じことが言えます。従来の「欧文書体設計のためのライン」において言う「ディセンダー」と、Glyphs Miniにおいて言う「ディセンダー」は、それぞれ指している意味が厳密には異なります。
復習しますね。フォント作成ソフトを利用した現在のフォントデザインの潮流では、一つ一つのグリフが、emスクエアよりも一回り小さくデザインされている例を多く見かけます。そういった事情もあり、Glyphs Miniにおいて「ディセンダー」と言う時に、従来の意味とは厳密にはズレが生じてきているようです。
従来の「欧文書体設計のためのライン」においては、「ベースライン」から「ディセンダーライン」までの部分を「ディセンダー」と呼んでいました。ところが、Glyphs Miniでは「ベースライン」から「ディセンダーライン」までを指して「ディセンダー」とするのではなく、「ベースライン」からemスクエアの下端までを指して「ディセンダー」としてしています。Glyphs Miniを使用してデザインする際、emスクエアよりも一回り小さくグリフをデザインする現在の潮流に従うならば、「ディセンダーライン」の一周り外側までを含んで「ディセンダー」と呼ぶことになってしまっています。従来の「欧文書体設計のためのライン」における場合と、Glyphs Miniにおける場合とでは、このように、細かな部分では意味が異なります。
モヤモヤするかもしれませんが、従来使われて来た文言の意味の細々した部分は、時代とともに変化してしまうことは自然なことでもあります。とりあえず、従来の「欧文書体設計のためのライン」においての文言は、Glyphs Miniにおいて言う全く同一の意味とは限らないので、ちょっとだけ注意しておきましょう。

 

従来の「欧文書体設計のためのライン」
Glyphs Miniで言う「ディセンダー」はemスクエアの高さ下端まで

 

「キャップハイト」「xハイト」の設定

それでは、Glyphs Miniのメトリクス関連情報の設定に戻ります。確認しておきますね。「キャップハイト」は「ベースライン」から「キャップライン」までの高さを指します。そして、「xハイト」は「ベースライン」から「エックスライン」までの高さを指します。
「元AI」では「キャップライン」と「エックスライン」をガイドラインとして描いておきましたね。なのであとはスムースだと思います。ガイドラインを頼りに「キャップハイト」「xハイト」の高さを測ったそのままの数値を、Glyphs Miniのメトリクス関連情報の「キャップハイト」「xハイト」の欄に入力してください。
「Alfalfa」では、「キャップハイト」が「667」、「xハイト」が「493」。なお、小数点以下の端数は整理しました。
そして、「イタリック角度」ですが、デフォルトのままにしておきます。
それから、「アラインメントゾーン」は一番右の黒いボタンを押しておきましょう。自動計算されます。
これで設定はOKです!

「Alfalfa」はこんな感じで設定しました

Glyphs Miniのメトリクス関連情報の設定

 

グリフの画面はこんな感じです

グリフの画面を開いてみてください。小文字だと解りやすいですが、ガイドラインがグリフの「キャップライン」「エックスライン」の位置にぴったり重なっているのが解りますか?

Glyphs Miniのグリフの画面

 

こうしたガイドがあれば、正しい位置を踏襲したフォントがデザインできているかどうか、確認しながら作業ができますね。

 

あとは小文字なしのデザインの時と同じ作業

小文字もデザインする場合、「フォント情報」設定は以上のように、「キャップハイト」「xハイト」も測定した数値を入力しなければなりません。ですが、ここまで出来れば、小文字なしのデザインの時と同じ作業です。グリフをトレースした「元AI」データを、Glyphs Miniに読み込ませていきます。忘れてしまっていたら過去記事(「フォントの作り方(11)〜Glyphs Miniの使い方(後編)〜」あたりからが良いでしょう)を読んでみてください。
スペーシングやカーニングをして、メニューバーから「ファイル」→「出力」を選び、ファイルを書き出せば完成です!

 

まとめ

・Glyphs Miniで言う「ディセンダー」は「ベースライン」からemスクエアの高さ下端まで
・「元AI」のガイドラインを頼りに計測し端数を整理した数値を、「フォント情報」の「キャップハイト」「xハイト」に入力する
・「フォント情報」の設定までできれば、あとは大文字だけのデザインの時と同じ作業

こんにちは。Angel Vibesです。前回の続きで解像度の話です。入稿データを作る際に写真などの画像は「360dpi原寸で配置されている状態にする」と説明しましたが、では実際どんな流れで作業するんだろう? という疑問も出てきますよね。今日はそのお話を中心に解説したいと思います。

 

画像解像度の算出方法

雑誌などの主な紙媒体に使用する写真などの画像は、原寸で配置した時に360dpiになるようにするべし、というお話はしてきましたね。ところで、その「360」という数値はどうやって算出されたのか、気になる方もいらっしゃいますよね?

画像解像度は
スクリーン線数×2
が目安となっています。

雑誌などの主な紙媒体のスクリーン線数は、だいたい175線ぐらいです。なので、360dpiあれば画像解像度としては丁度良いということです。

 

「スクリーン線数」とは?

ところで、「スクリーン線数」とは何でしょう? これも解像度の一種で、印刷物の網点の密度を表す尺度です。網点の密度が高ければ精密な印刷物となります。単位は「線」や「lpi」で、印刷物の1インチの1辺に収められる網点の数によって表されます。
「スクリーン線数」は、印刷物の「網点」の密度ということはありますが、ピクセルやドットと同様、「点」の密度を示す尺度であるということについては、他の「解像度」の考え方と共通していますね。

 

配置画像360dpi原寸で入稿データを仕上げる方法

入稿データを作成する際は、配置画像は原寸で配置した時に360dpiになるように作業するべし、というお話はしてきましたね。では、実際の作業手順はどうなっているのか? というお話です。

1枚のフライヤーをデザインするとします。配置画像として使用する写真などの画像を選別し、AdobeIllustratorのドキュメント上に画像を配置します。とりあえず、レイアウトまでしてしまいましょう。
メニューバー「ファイル」→「配置」で画像が配置できます。この過程で「配置」ダイアログボックスが表示されますが、「リンク」をチェックしておきましょう。そうしないと、画像が埋め込まれてしまいます。これでは、ドキュメント上に読み込まれた元の画像が修正されても、ドキュメント上の配置画像に修正が反映されません。

レイアウトまで出来上がり配置画像の大きさが決まりましたら、元の画像をAdobePhotoshopで開き、必要な設定をしていきます。
メニューバー「イメージ」→「画像解像度」を開きます。「画像解像度」ダイアログボックスが表示されるので、「画像の再サンプル」のチェックを外し、「解像度」は「360」に設定します。こうすると、データの総容量を変えずに、解像度を設定することができます。なお、データの総容量は、ダイアログボックス上部に「ファイルサイズ」で示されます。
デジカメで撮った写真は、デフォルトでは72dpiで保存されている場合もあるので、解像度の数値は必ず確認しましょう。
それから、「画像の再サンプル」のチェックを外すのも忘れずにしましょう。これをしないで解像度を上げると、データの総容量も大きくなり、無駄に重いデータになります。まず、データの総容量が変わらない状態で、解像度を変えるようにしましょう。

「解像度」を「360」に。「画像の再サンプル」も忘れずにチェックを外す。

 
「解像度」を「360」に設定したら、「ドキュメントのサイズ」を、Illustratorドキュメント上の配置画像の「幅」と「高さ」に(Illustratorのドキュメント上では、画像を選択した状態にすれば、上部コントロールパネルに「W」=幅「H」=高さが表示されます。)合わせます。「解像度」の設定の時と同様に、メニューバー「イメージ」→「画像解像度」で、「画像解像度」ダイアログボックスを表示します。ここで「ドキュメントのサイズ」の設定を変更します。「縦横比を固定」をチェックしておけば、「幅」か「高さ」どちらか一方に入力すれば、自動的にもう一方の数値も変わります。今度は、ダイアログボックスの「画像の再サンプル」をチェックして、この作業を行ってください。
「画像の再サンプル」をチェックした状態で画像の幅と高さを小さくすれば、画像の総容量も小さくなります。無駄のない総容量の画像データとなるわけですね。
後々、クライアントから修正が入る場合も想定し、画像のドキュメントサイズの数値を少し大きめに設定しても良いと思います。

「ドキュメントのサイズ」を変更。今度は「画像の再サンプル」のチェックをする。
総容量=ファイルサイズが小さくなる。

 
配置している元の画像の設定は、これで完了です。この作業が済んだらIllustratorのドキュメント上に戻り、忘れずに画像の「リンクを更新」しましょう。「リンク」パネルで「リンクを更新」してください。これで、配置した元画像の変更がレイアウトに反映されます。

これでOKです。こうすれば、データの総容量を無駄に増やすことなく、かつ適切な解像度の原寸の画像を配置することができます。

 

入稿時はデータの総容量は無駄に増やさない

理論的には、配置する元画像の画像解像度を360dpiに設定すれば、Illustratorドキュメント上に配置した時以上の大きさで、画像の「ドキュメントのサイズ」を設定しても、クオリティが保たれた印刷が可能となります。だからといって、画像の総容量を必要以上に大きくして入稿するのは避けた方が良いです。出来る限り画像の総容量は小さくした方が、印刷の版を出力する時にも機械やシステムの負担が少ないです。それは印刷会社さんの負担を、少しでも減らすことにつながります。入稿は印刷会社さんが作業をしやすいよう、スマートにいきたいものです。

 

配置画像は入稿時には「埋め込み」が奨励されている場合もある

Illustratorドキュメント上に配置する画像は、「リンク」の設定で作業してきました。この方が、元画像の設定を変更した際に、ドキュメント上の配置画像に反映しやすいからです。
けれど印刷会社さんによっては、入稿の際、配置画像は「埋め込み」を行うことを奨励している場合もあります。「埋め込み」をしていれば、配置した元の画像を添付しなくても大丈夫なので、画像の添付のし忘れのような入稿時のトラブルを防ぐこともできます。「埋め込み」奨励の場合は、作業の最後に「埋め込み」を行ってください。
一方で、画像を埋め込むとIllustratorドキュメントのデータの容量が大きくなるというデメリットもあります。
この辺りは印刷会社さんの方針もあるので、「埋め込み」が奨励なのかそうでないのか、確かめてから入稿しましょう。

 

まとめ

・360dpi原寸で画像を配置した状態にするには、
 元画像はPhotoshopで開き、メニューバー「イメージ」→「画像解像度」で、
  ★「解像度」を「360」にする
  ★Illustratorドキュメント上の配置画像と同じ「ドキュメントサイズ」にする
・Illustratorドキュメント上でリンク画像の更新も忘れずに

ではまた!

こんにちは。Angel Vibesです。前回は解像度の話をサササっとしてしまいましたが、今日はもう少し具体的に説明しておこうかと思います。「解像度」というと実は複雑な部分もありますので、ちょっと整理しておいた方が良いでしょう。

 

解像度の単位「dpi」と「ppi」の違い

先に細かい話をしておきますね。画像解像度の単位は「dpi」だというお話はしました。印刷を過程に含むデザインの実務上では、画像解像度の単位は「dpi」として扱われがちですが、厳密に言うと「ppi」です。AdobePhotoshopでは、画像解像度の単位は「dpi」ではなく「ppi」を充てています。デザインの実務上では「dpi」と「ppi」は同義に扱っていて差し支えありませんが、厳密には異なります。

違いは次のような点です。

「dpi」
・dots per inchの略
・ドットによって構成される
・「ドット」は印刷で言う網点なども指す物理的な最小単位

「ppi」
・pixels per inchの略
・ピクセルによって構成される
・「ピクセル」はコンピュータで画像を再現する際の仮想の最小単位

デザインの実際の作業ですが、画像データを扱う際には、AdobePhotoshopを用いてパソコンのモニタで見ながら行います。モニタでは、ドットとピクセルが1対1で対応するので、画像解像度の「dpi」と「ppi」を同義として扱って特に問題はありません。また、両者を同義として扱うのが、慣習にもなってしまっている場合もあります。
ただしこれは、デザインの現場単位の話でもあるということもあり、まして、今後どうなるかはわかりません。「dpi」と同義で扱う「ppi」という単位もあるということだけは覚えておいた方が良いでしょう。

 

Photoshopでは「pixels per inch」ですね

 

画像解像度の考え方

 

画像解像度と印刷解像度は分けて考える

「解像度」と言っても、画像解像度と言う時と印刷解像度(プリンタ解像度)と言う時とは、考え方が異なります。両者は混同できないので注意が必要です。
印刷解像度は、それでも「解像度」と言うのだから、「1インチあたりのドット数」を意味することに変わりはありません。ただ、印刷機の性能によって出力の際の解像度は固定されています。例えば解像度2800dpiの印刷機の場合は、印刷した印刷物の1インチの1辺あたりに2800個のドットが収まっている状態となります。なのでこの場合、360ppiの画像解像度でデータを作ったとしても、100ppiの画像解像度でデータを作ったとしても、印刷解像度2800dpiで印刷されるわけです。ただし、印刷物となった時に2800dpiのクオリティを得るためには、データを作る時点で画像解像度が一定数に達していなければならないと言うことです。
紙媒体の印刷に必要な画像解像度の目安は「360dpi」と、耳にすることはあると思います。これは、一般的な印刷物であれば、こうした印刷物の印刷機やイメージセッター(オフセット印刷の版を出力する機械)の印刷解像度に対応した画像解像度が、360dpiと言うことですね。

 

「解像度」は使用シーンによって意味が異なる場合がある

「解像度」といっても、画像解像度と印刷解像度があるということまで分かっておけば、作業過程に印刷を含むデザインの実務は問題なく行えるでしょう。
ともかく、「解像度」は使用シーンによって意味が異なる部分があるので、注意が必要ではあるのです。画像解像度が「密度」を示す尺度であるのに対し、デジタルカメラで言う解像度は、画素の「総量」を示している、なんていうこともあります。この辺りは、実務の使用シーン別に確認しましょう。

 

まとめ

・解像度の単位には「dpi」の他に「ppi」がある
・AdobePhotoshopの解像度の単位は「ppi」
・画像解像度と印刷解像度は分けて考える

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回は、DTPソフトやAdobeIllustratorで、リーフレットやポスターなどの紙媒体の入稿データを作る時、使用する配置画像について注意するポイントを解説しました。今日は、カラーモードや保存形式とそれ以外についても、もう少し詳しいお話をしたいと思います。

 

白黒写真はグレースケールで

前回も少し触れましたが、レイアウトに使用する写真が白黒写真(モノクロ写真)なら、カラーモードはグレースケールにしましょう。カラーモードの変更は、前回解説しましたね。グレースケールに変更する時も方法は同様です。AdobePhotoshopでデータを開き、メニューバー「イメージ」→「モード」から、カラーモードをグレースケールに変更します。
白黒写真のデータが、カラーモードCMYKになっていることもたまたまあったりしますので、レイアウトを始める前にチェックしておきましょう。
もともとが白黒写真であれば、カラーモードをCMYKからグレースケールに変えても、見た目に変わりはないでしょう。ただ、グレースケールの方がデータ量が軽く済みますので、白黒写真ならカラーモードはグレースケールにしておきましょう。

 

画像解像度の設定

入稿データを作成する際は、配置画像の解像度は適切な数値に設定しておきましょう。いくら優れたデザインが出来ても、配置画像の解像度が足りなければ、台無しになってしまいます。
では、「画像解像度」とは何でしょうか?
DTPに用いられる写真画像のデータは、画素の集合体です。Photoshopで写真画像をどんどん拡大していってみてください。四角い点が見えてきますね。これが画素であり、ピクセルとも呼ばれています。画像を構成するこうした画素の密度の尺度を「解像度」と言います。解像度は、1インチの中にどれだけのピクセルが収まっているのかを数値で示され、単位は「dpi」となります。この数値が高ければ鮮明でクオリティが高い画像となり、数字が低くければボケたクオリティが低い画像となります。
こうした画像解像度は適宜設定しておかなければ、デザインのクオリティにも影響します。
 

拡大するとピクセルが見えます

 

画像解像度は360dpiで

紙媒体なら、写真の配置画像は原寸で配置した時に360dpiとなるようにしましょう。360dpiとする理由は、カタログや雑誌の印刷物で使用される写真データの設定が、一般的には360dpi程度だからです。
「配置した時に」と言っているのは、Illustratorに配置した後に画像をそのドキュメント上で拡大すれば、それだけ画像は粗くなり、解像度が低くなります。なので、解像度を維持するなら、「配置した時」と同じ面積のままにしなければならないということです。(なお、デザインの実務上ではほぼ同じくらいの面積であれば良しとします。もちろん、ピッタリ同一の面積でもかまいません。)
写真のデータはこのように、通常360dpi にしますが、漫画の白黒データやイラストなど、細い線を再現しなければならないグレースケールやモノクロ2諧調の画像なら、1200dpi程度が奨励されている場合もあります。入稿の際は、印刷会社さんが奨励する設定と、入稿しようとしているデザインのタイプを念のため調べておきましょう。

 

レイアウトに使う写真の配置画像は見た目もチェックしましょう

レイアウトに使う写真の配置画像は、最初にカラーモードや解像度をチェックしなければならないというお話をしてきました。
写真画像はそれ以外にもチェックする箇所があるので、1枚ずつPhotoshopで開いて確認しなければなりません。おかしい箇所があれば、修正を行います。こうした修正作業を「レタッチ」と呼んでいたりもします。

・ゴミはついていないか
・色が寄っていないか(赤カブリ、青カブリ)
・メリハリ

こうした点をチェックします。
画面にゴミがついていれば、スタンプツールで消しましょう。レタッチの中でも、これが一番分かりやすい作業かも知れません。
それから、画面全体を眺めてみて意図せず赤っぽくなっていれば、それは、「赤カブリ」という現象です。色が赤いトーンに寄ってしまっているのです。色が変だなあ・・・という場合は、カラー調整しましょう。
また、メリハリがなければ少しコントラストを強くしましょう。
レタッチは奥が深く、判断が難しいかもしれません。こうした判断ができるようになるには、とにかく美しい写真を観るようにしてセンスを磨くしかありません。画廊や美術館で良い作品に触れるようにしてみてください。
それから、iPhoneなどの手軽なカメラ機能で遊んでみるのも良いと思います。今どき、インスタグラムなどを見ていても、撮影が皆さんお上手だなぁと思うこともあります。とにかく、写真の善し悪しの判断力は、観たり触ったりして身につくことなので、まずは楽しみながらやってみましょう。
 

画面全体が赤っぽいですね。赤カブリです。

 

色調整すると雰囲気が変わります。

 

まとめ

・白黒写真のカラーモードはグレースケールにする
・紙媒体の印刷なら、解像度は360dpi程度が一般的
・レタッチの判断力は、質の良い写真を観て身につけましょう

ではまた!