こんにちは。ANGEL VIBESです。
グラフィックデザインにおいて、「字詰め」ができているものとそうでないものの見え方は、ずいぶん異なります。「字詰め」とは何かーーーこれは「文字詰め」とも言いますがーーーグラフィックの文字部分の文字と文字の間のアキを調整することを指します。GlyphsやFontographer等のフォント作成ソフトを使用したフォントデザインでも、カーニングやスペーシングの作業に関わってきます。「字詰め」は、グラフィックデザイン全般における重要な要素なので、基本はおさえておきましょう。

 

「字詰め」はデザインの重要要素

上に述べたとおりですが、文字と文字の間のアキを調整することを「字詰め」と言います。文字と文字の間のアキを調整し、バランス良く見えるようにするということです。どこかの部分だけ、詰まって見えたり、逆に間が空いて見えたりしないように文字を移動して調整します。
「字詰め」はていねいに「文字詰め」と言ったりもします。私の周りの同業の人々では「字詰め」と言っている方が多いような気がします。
「字詰め」は、グラフィックデザイン全般において重要な要素です。なぜなら、多くのグラフィックデザインの要素には文字が含まれるからです。文字に関わるデザインは、フォントやロゴのみならず、パッケージの商品名部分、エディトリアルではタイトルや見出しそして本文部分と、多岐に渡って見出すことができます。
このように、グラフィックデザインのあらゆる部分に文字が関わっているわけですが、「字詰め」をしっかり行うことでデザインがどんどん洗練されたものになります。

 

文字と文字のアキのバランスは、どのように調整する?

「文字と文字の間のアキが均等にバランス良く見えるよう、調整をする」という一言ですが、実はこの作業は奥が深いです。文字と文字の間のアキについて調度良く見えるバランスというのは、各個人によって異なります。また、デザイナーによっても好みが分かれる部分のようにも見受けられます。ヤング層はキツキツの「字詰め」を好む一方で、中高年齢層は詰めが緩いスカスカした「字詰め」を好む、という説もリアリティを持っています。「字詰め」のキツい・緩いには絶対的な解はありません。とはいえ、キツい・緩い、どちらの方向性が好みであっても、バランスの良い「字詰め」には基本的には共通項があります。まずは、そういった部分を知っておきましょう。そうしておけば、デザインの現場ではそれほど迷うことはないと思いますよ。

 

文字を○△□としてとらえる

文字を文字と思うからこそ戸惑ってしまうのかもしれませ。文字も要するに図形です。図形と図形の間のアキが、全体的な配列から見て均等になっていればバランス良く見えます。
文字をぼ〜っと見て見ましょう。ものの形は単純化すると○(丸)、△(三角)、□(四角)のどれかに還元されます。これらを調整して並べてアキに偏りが出ないようにすれば良いわけです。アキをキツくするにしろ緩くするにしろ、偏りがなければ全体として均等なアキに見えます。とにかくアキに偏りが出ないようにしましょう。

文字を単純化してこんな感じで調整します

 

△の周りはアキが出やすい

単純化すると三角になる文字の周りはアキが出やすいのでチェックポイントです。具体的には、「A」や「V」、「T」などが該当します。ロゴでも本文でも、他の文字に比べて「A」や「V」の周りのアキが目につく時があると思います。「気になるなあ」と思う時はアキを詰めてしまいましょう。全体に馴染み、気にならなくなればOKです。

 

長方形の周りもアキが出やすい

単純化すると縦長の四角形=長方形になる文字の周りもアキが出やすいのでチェックポイントです。具体的には、横組みのひらがな「り」などが該当します。こちらもアキが気になる場合は、詰めてバランスをとりましょう。
ただし、横組みの数字の「1」や「I」は、詰めすぎると他の文字に同化して見えるので注意が必要です。同化してしまうことにより、可読性が失われてしまうことにもなりかねません。周りの文字の詰まり具合に比べ、ちょっと空き気味でも大丈夫です。

 

まとめ

  • 文字と文字の間のアキを調整することを「字詰め」と言う
  • 文字を○△□としてとらえると「字詰め」が行いやすい
  • △や長方形の周りはアキが出やすい

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
前回の続きです。フォント関連のWebサイトや書籍で、フォントフォーマットに関してもよく目にする用語ってありませんか? 中でも、「OpenType Font」と「TrueType Font」は、よく目にしませんか?

 

フォントのよく見かける形式

DTPに用いるフォントには、そのフォーマットに種類があります。「OpenType Font」、「TrueType Font」などがそうです。フォントフォーマット(=フォント形式)に種類があるなど、なぜそんな面倒なことに…! とお思いの方もいるかも知れませんね。しかし、以前に比べれば、これでも種類が絞られて来た状態なのですよ…。
歴史を遡れば、フォントフォーマットには現在よりももっと種類があり、フォントデータの成り立ちが複雑でした。1つのフォントファイルに対し、セットでインストールが必要なスクリーン表示用の「スクリーンフォント」が必要だったり…。現在と比べれば、PCのHDには、フォントフォルダやファイルが複雑に乱立しているような状態でした。使いにくいという面もあり、AppleやAdobe等が、よりユーザビリティの高いフォントフォーマットを考案してきました。
現在主流なのは、「OpenType Font」、「TrueType Font」、この2つと言っていいでしょう。フォントフォーマットはだいぶん絞られて来たようです。とはいえまだ、「CID」というフォーマットも流通していて、デザインの実務の現場では見かけることがあります。しかし、「CID Font」は、モリサワ等のフォントベンダーが「OpenType Font」に置き換えて行っている流れがあります。したがって、DTPやDTPを念頭にフォントデザインをするなら、「OpenType Font」、「TrueType Font」を覚えておけば、とりあえずは充分だと思います。

 

「OpenType Font」とは?

「OpenType Font」は、DTPに用いるフォントでは現在主流になっているフォントフォーマットです。モリサワ等は「CID」(「NewCID」を含む)の後継に、「OpenType」を採用しています。「OpenType Font」は、MacでもWindowsでも使用が可能なクロスプラットフォームとなっています。今では当たり前のようになっていますが、「OpenType」ができる以前は、同一のフォントデータをMacにもWindowsにもインストールして使用できるわけではありませんでした。また、「OpenType Font」は、1つのフォントにつき1つのフォントファイルという仕様になっています。これももはや当たり前ですが、古いフォントフォーマットでは、1つのフォントにつき、セットでいくつかのフォントファイル(たとえばスクリーンフォントのような)のインストールを必要とする種類もありました。かつてを思えば、フォントは扱いやすくなったものです。

 

「TrueType Font」とは?

「TrueType Font」は、MacでもWindowsでも使用され、フォントの黎明期からある最も親しまれて来たフォントフォーマットの1つです。MacがOS Xになってからは、一応は、Windows用の「TrueType Font」もMac上で動かすことは可能になりました。とはいえ、ライセンス面の問題などがあるので、現実的には各フォントごと確認が必要ですし、あまり古いWindows用の「TrueType Font」なら、OS XであってもMac上では動かない可能性がゼロとは言えません。
「OpenType Font」には、技術的に「TrueType Font」をベースにしている種類も含まれます。「TrueType Font」は将来的には、「TrueType Font」の発展型である「OpenType Font」に置き換わって行くかも知れません。ただ現実的には、今のところは「TrueType Font」もまだまだ現役といった印象です。「OpenType Font」が流通するより以前に入手した「TrueType Font」が、OS Xでもまだ普通に使える場合もあります。
実際、私もタイプフェイス的に気に入って使用している古い「TrueType Font」があります。気に入ったフォントは簡単に捨てられないですものね。使える限りは使います。いや、使えなくなると、それはそれで困りものです。

 

アウトライン化は?

「OpenType Font」も「TrueType Font」も、多くはアウトライン化は可能です。DTPで実際に印刷会社さんに入稿する時は、フォントについてはアウトライン化を勧められることもしばしばあるので、印刷会社さんごとに要確認です。

 

まとめ

  • 現在のフォントフォーマットの主流は「OpenType Font」と「TrueType Font」
  • 「OpenType Font」はMacでもWindowsでも使用が可能
  • 「TrueType Font」はMacでもWindowsでも黎明期から使用されてきた

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
フォント関連のWebサイトや書籍で、よく目にする用語ってありませんか?
そうした用語についてちょっと知っておくと、フォントを購入する時はもちろんのこと、フォントデザインの作業の時にも戸惑わないと思いますよ。
知ってると便利なフォント関連用語の中から、今日は、「バイト」という用語についてお話します。
 

「バイト」とは?

フォント関連のWebサイトや書籍で、「バイト」というワードはよく使用されていますよね。例えば、「1バイトフォント」「2バイトフォント」といった具合に。
「バイト」とは、元々コンピューター用語で情報量を示す単位の一つです。フォントの成り立ちによる情報量の違いで、「1バイトフォント」「2バイトフォント」と呼ばれていたりします。
 

「1バイトフォント」と「2バイトフォント」

欧文フォントと和文フォントでは、1フォント(=書体)が表すことができるグリフの総数に違いがあります。そのように、1フォントが持つことができる情報量の差異から区別して、一般的には、アルファベットを主体にした欧文フォントが「1バイトフォント」、漢字を含む和文フォントが「2バイトフォント」と呼ばれる場合があります。
コンピュータの情報は2進数を用いて表わされます。情報量1バイトで表すことが可能な2進法の組み合わせは256通りです。フォントの設計に置き換えると、1フォントが表すことができるグリフ数は、256個までということになります。「1バイトフォント」とは、このような、1バイトで256個までのグリフ数を表し得るフォントという意味になります。
欧文フォントは、アルファベット、約物、数字を合わせたグリフ数であっても、256個あれば充分に対応できます。それに対し和文フォントは、漢字、仮名文字を合わせただけでも、256個ではとうてい対応できません。なので、256個以上のグリフ数を表すためには、2バイトフォントとして作成せざるを得ないというわけですね。
 

かな文字の1バイトフォントは?

ひらがなやカタカナだけの和文フォントには、1バイトフォントがあります。漢字を含まない仮名文字フォントならば、たとえ約物や数字をあわせたとしても、1フォントが持つことが可能なグリフ数である256個に至らないので、1バイトフォントとして設計することが可能です。1バイト形式の仮名文字の和文フォントなら、皆さんもよく目にしているのではないでしょうか。
PCのキーボードのキー1つ1つには、ひらがなの表記もあります。これはかな入力の時に役立てられますが、1バイト仮名文字では、このテンキーのひらがなを頼りに設計されているフォントも多いと思います。1バイトの欧文フォントは半角英字で入力・表示しますが、1バイトの仮名文字フォントはこのしくみを利用して設計されている例もあります。
例えば、小文字の「a」はひらがなの「ち」になっているので、小文字の「a」のグリフにひらがなやカタカナの「ち(チ)」を割り当て、続いて小文字「s」には「と(ト)」、小文字「z」には「つ(ツ)」といった具合に割り当てていけば、キーボードに半角英字で入力すると、「a」は「ち(チ)」、「s」は「と(ト)」、「z」には「つ(ツ)」を表示することができるわけです。

 

Macのキーボード。仮名文字も記されていますね

 

このように欧文のグリフに仮名文字を割り当てれば、1バイトでも仮名文字全体をカバーしたフォントを作ることが可能です。
実際このような設計で、1バイトの仮名文字フォントが広く普及したようです。現在入手できるフリーフォントや、「フォントパビリオン」のような初期のフォント集にも見られる設計ですね。おかげで、現在はいろいろな仮名文字を楽しめるようになっていますが、先人の知恵の賜物でもありますね。

 

フォント集「フォントパビリオン」

 

まとめ

  • 「バイト」とは、コンピューター用語で情報量を示す単位の一つ
  • 「1バイトフォント」とは1バイトで256個までのグリフ数を表し得るフォント
  • 通常、欧文フォントが「1バイトフォント」で、漢字を含む和文フォントが「2バイトフォント」

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。フォントデザインの基本がギュッとつまったツールとして、私はGlyphs Miniを推します。そんなお話は既にしていますね。Glyphs Miniは、他のソフトに共通する機能を備えているので、これからフォントデザインをはじめようという方にはオススメですよと、お伝えして来ました。何より、フォント作成ソフトとしては安価ですしね。そうした点からもオススメというわけです。
でも、そろそろGlyphsを使ってみたいという方もいらっしゃるでしょう。今日はそういった方に向けたお話です。

 

Glyphs Miniとは?

少しおさらいしておきますね。Glyphs Miniとは、一言で言うと、Glyphsの廉価版のフォント作成ソフトです。Glyphsの機能を簡略化した製品ではありますが、AdobeIllustratorで作成したAIデータを取り入れてフォントデータを作成することができる仕様は共通しています。ちなみにFontographerも、この仕様は共通です。
Glyphs MiniはGlyphsの廉価版ながら、1バイトのローマ字フォントを作成するには充分な機能を備えています。私の経験的には、アイコンやイラストフォントなら、機能が少ないGlyphs Miniの方がかえって使いやすいという印象です。でも、機能が少ない分、GlyphsにできてGlyphs Miniにできないことがあったりします。なので、状況に合わせて、Glyphsを優先して使用することもあります。

 

GlyphsとGlyphs Miniの違い

上に述べたように、Glyphs Miniの方がGlyphsよりも機能が少ないです。なので、仕様が違う点があります。グリフを追加するツール部分と「フォント情報」の部分は、大きな仕様の違いがあるので見てみましょう。

 
[グリフを追加するツール部分]

Glyphsの「左メニュー」→「文字体系」→「和文」の部分

 

Glyphs Miniの「メニューバー」→「ウィンドウ」→「グリフ情報」の部分

 
見比べて解るように、左メニューが見た目にも違いますね。和文のグリフの追加は、Glyphs Miniでは、「メニューバー」→「ウィンドウ」→「グリフ情報」から選択して行う仕様ですが、Glyphsでは「左メニュー」→「文字体系」→「和文」から、追加することも可能です。漢字については、「常用漢字」「JIS第1水準」「JIS第2水準」と区分けがされていて(三角の所をクリックして開くと項目が出て来ます)、そこからまとめてグリフを追加することができます。「かな」についても同じように区分けがされているので、そこからまとめて追加が可能です。その点、Glyphs Miniにはそういった和文の区分けはなく、「グリフ情報」で、unicode順に並んだグリフから選択し追加しなければなりません。
「常用漢字」のグリフを追加したい時に作業をしやすいのは、グループ分けしているGlyphsの方でしょう。和文のグリフの追加は、Glyphsの方がスムースそうですね。

 
[「メニューバー」→「ファイル」→「フォント情報」の部分]

Glyphsの「メニューバー」→「ファイル」→「フォント情報」の部分

 

Glyphs Miniの「メニューバー」→「ファイル」→「フォント情報」の部分

 
見た目でもわかりますが、「フォント情報」は、Glyphsに比べGlyphs Miniの方が記入事項が少ないですね。Glyphs Miniが、「info」に記入事項があるだけなのに対し、
Glyphsは「フォント」、「マスター」、「インスタンス」…、と続き、すべてのメニュー項目に記入事項があります。
それだけ、Glyphsの方が細かい設定が必要ということですが、ここに和文を縦書きにできる設定が含まれています。この設定、Glyphs Miniにはありません。

 

Glyphsの利点

GlyphsとGlyphs Miniですが、見た目も使い方も、両者は確かに似ているし共通項もあります。でもGlyphs Miniは廉価版というだけあって、機能が簡略化されている部分があります。なので、GlyphsにできてGlyphs Miniにできないことが当然出てきます。GlyphsにはGlyphs Miniにはない利点があるということです。

簡潔に言うと、
・Glyphsの方が和文フォントのグリフの追加がしやすい
・Glyphsは縦書きができる和文フォントが作成できる

もちろん、細かい点ではもっとGlyphsの利点があげられると思いますが、まずはそこだけでも覚えておきましょう。

 

まとめ

  • Glyphs MiniはGlyphsの廉価版で、Glyphsの機能を簡略化した製品
  • Glyphsの方が和文フォントのグリフの追加がしやすい
  • Glyphsは縦書きができる和文フォントを作成できる

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。今日は、入稿データ作成時のチェックポイントについてのお話の続きです。
前回は、入稿データを作成する際には、ネットプリントの業者さんの情報をWebサイトでチェックしておけば、新技術から取り残されることもありませんよ、というようなお話をしました。
今日は、その続きで、では、入稿データ作成時に、具体的にどういったポイントをチェックするべきか、というお話をしようと思います。

 

5つのチェックポイント

入稿データ作成時のチェックポイントは、細かく挙げれば、色々と出てきてしまいます。確かにそうなのですが、まずそれより先に、こればかりは外せないというチェックポイントがあります。

そのチェックポイントとは
・使用ソフト
・使用ソフトのバージョン
・仕上がりサイズ
・色指定
・レイアウトデータのリンク画像

これらの5点です。
これらのチェックポイントは、DTP黎明期から現在に至るまで変わりませんね。
ちょっと説明しておきますよ。

 
[使用ソフト] 
これは、これから入稿データするというデータを、どの種類のデザインソフトを使って作成したのか、ということです。
入稿先の印刷業者さんが持っているソフトでなければ、そこでデータが開くのは困難か不可能か、ということになります。なので、印刷業者さんが持っているデザインソフトで入稿データを作成します。ほとんどの場合、印刷業者さんが入稿に対応可能なデザインソフトを指定しています。デザインソフトであれば主に、AdobeIllustrator、AdobePhotoshop、AdobeInDesign、といったところでしょう。他には、Quark Xpressといったところでしょうか。

 
[使用ソフトのバージョン]
古すぎるバージョンだと、印刷業者さんがもう対応していないということがあります。逆に新しすぎてもNGという場合もあります。この辺についても、印刷業者さんは対応可能なバージョンを指定しています。
Adobeのソフトなら、今であればさすがにクラシック環境に対応したバージョン、例えばAdobeIllustratorならバージョン8.0に対応している業者さんは珍しいでしょう。今の主流は、だいたいCSかCCかというところです。
バージョンによってソフトのスペックは異なるので、できることできないことが変わってくるということがあります。対応していないバージョンでの入稿はエラーなどトラブルの元になるので、印刷業者さんが対応できるバージョンを選び、入稿の際はそのバージョンを印刷業者さんにしっかりとお伝えしましょう。

 
[仕上がりサイズ]
「仕上がりサイズ」は、紙ものの印刷物であれば、「裁ち落としサイズ」と考えて良いです。入稿データには、サイズについて、A4ならA4、具体的に「W297×H210(mm)」と記しておくこともあります(ちなみにこの場合は横位置ですね)。
ネットプリントの業者さんのWebサイトにはだいたいテンプレートがあり、サイズの記述までされています。テンプレートを利用せず入稿データを作成する際は、サイズをしっかり記述しておきましょう。

 
[色指定]
印刷に用いるインクの色の指定です。「印刷」といったら、インクです。色指定は必須ですね。DTP黎明期どころか、DTPが始まる以前から今に至るまで、それは変わりません。
オフセット印刷で4版用いてカラーにするなら、入稿データには、カラーについて、「オフセットCMYK」などと記しておきます。ブラックで単色刷りにするなら「Black」、特色が入るなら「Pantone - 000 c」などと、色の番号を表記します。色玉も一緒につけておきましょう。
ネットプリントの業者さんのテンプレートなら、デフォルトで色指定が表記されている場合もあります。

 
[レイアウトデータのリンク画像]
レイアウトをAdobeIllustratorで行うとしましょう。デザインによっては、このレイアウトに写真を配置する例もあります。
この写真は、「配置画像」として扱われ、データの保存形式は(今時なら)「psd」で、カラーは「CMYK」の状態のはずです。なお、配置画像は「張り込みデータ」などと呼ばれることもあります。
こうした「配置画像」を「リンク」の設定にするなら、リンク元となっている画像も一緒に入稿することになります。入稿時には、印刷業者さんが混乱しないよう、リンク画像がどれか、「◯◯◯.psd」と「×××.psd」と(がリンク画像です。)といった具合に、こちらも伝えておきましょう。必ずしも、それを求めない業者さんもありますが、入稿時に「備考欄」か何かに記入しておいた方が無難といえましょう。

 
私の(中の人の)名刺の入稿データ。ネットプリント業者さんのテンプレートを利用しています。デザインはオリジナルで行いましたが、トンボや注意書きがあらかじめ記述されている部分はそのまま「イキ」に。

 

まとめ

データ入稿時のチェックポイントは…

  • 使用ソフト
  • 使用ソフトのバージョン
  • 仕上がりサイズ
  • 色指定
  • レイアウトデータのリンク画像

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。前回はDTPが主流の今日の、デジタルの入稿データを用いた印刷物作成のプロセスについて解説しました。今日はそうしたプロセスの中でも、入稿データ作成時のチェックポイントについてお話したいと思います。
印刷物をデザインするとして、印刷技術が日進月歩と言われてしまってはうっかりすると取り残されてしまいそうで、ちょっと不安になるかもしれません。ですが、心配無用です。定期的に、ネットプリントの業者さんのWebサイトを見て、データ入稿のチェックポイントをしっかり把握するようにしてさえいれば、大丈夫です。デザインソフトのバージョンや、印刷技術が上がることで、入稿データの作り方の細かい部分が変化することは、もちろんあります。でも、そうした印刷業者さんのWebサイトでは、時代の新しい変化に対応して、データ入稿のチェックポイントの説明ページをアップデートしています。まずは慌てずに読んでみましょう。

 

印刷技術は確かに日進月歩だけれども

デザイン業界の人々向けの展示会では、新しい印刷技術を目にする機会があります。「こんな印刷ができるようになったんだ!」などと驚嘆することもしばしばです。
私が、近年目まぐるしく発展したと思うのはインクジェット式の印刷技術です。10年あまりのうちに、色、とりわけ黒っぽいトーンは発色が良くなりましたし、かなり細かい線の再現ができるようになってきたなあという感想もあります。インクジェット式は新しい印刷技術として発展し、布物などのグッズの生産の際に用いられる印刷技術として定番化してきました。
そして、現代の印刷技術として基盤の一つとなっているオフセット印刷は、デジタル化とその発展にともなって、入稿の方法が変化し続けました。
新しい技術、そして変化。ついて行けるか不安になるかもしれませんが、そこはあまり慌てないことが肝心です。
プロもセミプロも学生さんも利用するようなネットプリント業者さんでは、大概そのWebサイトで、入稿データ作成上の注意を公開していますし、デザインスペースとトンボが記されたテンプレートを用意しています。時折、こういった情報を注意深くチェックして自分の知識をアップロードしていれば、新しい技術に追いつけなくなるなど、そうそう起こらないと思います。

 

ネットプリントのWebサイトをチェックしてみましょう

ネットプリントはインターネット経由でデータを送信し、入稿することができる印刷の手法です。業者さんの多くは、刷り上がった印刷物を、指定する場所に配達するサービスも行っています。
日本のネットプリントの業者さんには、「グラフィック」や、「WAVE」があります。プロも利用している印刷業者さんです。オフセット印刷に対応していて、印刷紙の種類も色々あり、多様な表現が楽しめます。そこまでの表現を求めずオフセット印刷でなくても良いというならば、コンビニエンスストアでもネットプリントを行っているので、こちらのサービスを利用すれば良いと思います。ただ、今回は、オフセット印刷に対応した入稿データの作り方に焦点を絞りたいので、「グラフィック」や「WAVE」のようなタイプの業者さんを例に考えてみたいと思います。
「グラフィック」さんでもそうですが、ネットプリントのWebサイトには、入稿データの作り方の解説ページがあります。印刷機器においてもデザインソフトにおいても、最新の技術は、導入当初はエラーが発生したり、不具合が生じる場合もあり、安定的に使用できるかどうかの研究や試験運用が必要になります。こうした解説ページに記載されている情報は、それをクリアした最新技術を含めた情報となります。
そして、そのような最新技術の反対に、古くともここまでの技術には対応している、といった情報も掲載しています。なので、古くとも新しくとも、この辺りまでの技術を覚えておけば大丈夫だという目安になるというわけです。一方、古い技術の中で対応していないものがあるならば、今や古すぎる技術なのだ、という認識も必要だということです。

「テクニカルガイド」のページが、ちゃんと設けられていますね。

画像出典:「グラフィック」のWebサイト(https://www.graphic.jp)

 

古い技術といっても

ただ、「古い」あるいは「古くからある」技術とはいっても、だから価値がないということでもありませんので、少し補足しておきます。
昔の文庫本等、今でも古本屋さんで手にすることはできますが、昔の本には活版による印刷をしばしば見かけます。本文を触ってみると凸凹しますね。これは活版印刷の特徴です。それでも、活版の印刷物は見かけることが減ったと思いますが、だからといって価値がないということではありません。古くからある技術ですが、オフセット印刷で表現できない味があったり風情があったりするものです。活躍の場は減ったとしても、まだまだ現役の技術です。
あえて古い技術を用いることでデザインの幅が広がることはある、ということは念頭に置きつつ、最新の技術も知っておけば、さらに色々な表現ができるというものです。

次回は、入稿データ作成時のチェックポイントについて、さらに具体的に解説したいと思います。

 

まとめ

  • 最新技術に対応した入稿データの作り方はネットプリントでチェックできる
  • ネットプリントのような印刷業者さんが対応できない古い技術は「古すぎる」
  • 活版印刷などは、古い技術でも価値がないということではなく、風情や味を醸し出す現役の技術とも言える

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。お話を、「版下」主流の時代から、デジタル「入稿データ」主流の今日に戻し、今回は、デジタル時代における印刷物やグッズを作成する際の印刷のプロセスについてお話します。
前回は「版下」を用いた印刷のお話をしましたが、デジタル時代の今日においても、印刷物を作成する手順は、「版下」主流だった時代のそれと共通項があります。
印刷物を作る際は、今日もかつての時代も、印刷業者や工場に入稿を行い印刷をするというプロセスを経ます。そうした作業の流れは、今も昔もそう変わりません。
それをふまえつつ、今回はDTPが主流の今日の、デジタルの「入稿データ」を用いた印刷物作成のプロセスについて解説します。
 

私がデスクトップ型の他に使用しているMacBook。パソコンはデジタルの作業には必要不可欠。

 

「DTP」とは?

「DTP」とは、desktop publishingの略です。「デジタル大辞泉」の解説では、「パソコンなどを用いて、原稿の入力から編集・レイアウト・印刷などの出版のための作業を行うこと。」とあります。他の辞典でも似たり寄ったりの解説で、デザインを生業とする私から見ても、だいたいそんなところだと思います。今や慣習的に、パソコンを用いてレイアウト〜データを入稿〜工場で印刷の版を作る〜印刷をする、といった、印刷物を作る際の一連の作業の手法をまとめて「DTP」と呼んでしまっています。「出版のための作業」というと、印象からして、紙媒体の印刷物のことを思い浮かべがちですが、実際には、布に印刷して商品を製造する際であっても、パソコンを用いてレイアウトデータを作成する手法ならば、「DTP」と呼んでしまっていると思います。「DTP」を紙媒体に限定するとなると、今となっては何とも違和感があります。その辺は、「DTP」が始まった1980年代の感覚での「電子出版」的なイメージからは、広がりを見せているかもしれませんね。

 

「DTP」時代の印刷

印刷物を作る際の作業の流れは、今日のようなDTP主流の時代もそれ以前の時代も、おおまかにはそう違いはありません。「入稿データの基本(1)」でもお話したとおりですが、ちょっと復習しますね。

・クライアントと打ち合わせ

・デザインカンプ作成

・デザイン提出

・デザイン修正

・デザインOK

・入稿データ作成

・印刷会社・工場へデータ入稿

・印刷物やグッズが完成、クライアントへの配送

今も昔も、おおまかにはそんな流れです。ただ、「DTP」主流の今日では、昔「版下作成」であった部分が、「入稿データ作成」となっているということです(もちろん今日においても、版下を必要とする媒体もあるので、「版下作成」をプロセスに含む場合もあります)。「DTP」時代の印刷に関連し、かつての時代と他に違う点があるとすれば、工場にデータ入稿した後の作業における「製版」や印刷のために工場で導入している機材でしょう。

 

製版と印刷、その機材

「製版」ですが、これは、工場で印刷のための版を作る過程を指します。「入稿データの基本(2)」でも触れましたが、オフセット印刷でCMYKに色分解した版を作る「分版」も、「製版」に含まれます。
印刷技術のデジタル化が進むに伴って、そういった「製版」のための機材もまた技術に合わせた更新がされていったということです。
また、そういった印刷技術の発展に伴い、印刷のバリエーションも増え広がりを見せました。現在では、版を作ることなく入稿データからダイレクトに印刷を行う、「オンデマンド印刷」も登場しています。そういった新しい印刷技術のために、新しい印刷機材が登場しているという面もあります。
印刷技術は日進月歩の分野です。印刷の風景は、版下が主流だった時代と比べてもそうですが、これからも変わり続けて行くでしょう。

 

「校正刷り」、出す、出さない?

布物や立体的なグッズも含めてですが、印刷物を作る際、印刷業者や工場へデータ入稿をした後、「色校正」などの「校正刷り」を出す場合もあります。
「校正刷り」とは、確認用の試し刷りの印刷物ですが(布物については、単に「サンプル」と呼んだりしている場合もあります。)、特に「色校正」とは、商品に使用する本番の素材の紙や布に印刷した試し刷りで、厳密な色の確認ができます。
プロが行うデザインの実務では、印刷会社や工場を利用して印刷を行う場合は、たいがいこの「色校正」を出します。
オンデマンドなどで、印刷の感じを確認することも可能ですが、紙や布の種類が本番のそれと異なると、印刷の発色や色の調子もまた厳密には異なってしまいます。なんだかイメージと違う、などということを防ぐため、本番と同一条件の試し刷りをしてみようという面もあるのです。
ただ、そこまで厳密な色の確認を必要としない場合もあるでしょうし、「色校正」を出せば、それだけ料金が上乗せされます。実は私も自分自身の名刺は、「色校正」なしで納品という形をとっています。「色校正」を出さないという選択も全くないということではありません。
「校正刷り」、出す、出さない? という問題ですが、「場合に応じて」ということで充分だと思います。多くのネットプリントでは、「校正刷り」なしがデフォルトで「校正刷り」ありがオプションとなっていますしね。「出さない」という選択も、間違ってはいないのです。

 

まとめ

  • 「DTP」とは、パソコンなどを用いて、原稿の入力から編集・レイアウト・印刷などの出版のための作業を行うこと。
  • 印刷物を作る際の作業の流れは、今日のようなDTP主流の時代もそれ以前の時代も、さほど違いはない。
  • 「校正刷り」、出す、出さない? は、場合に応じて決めましょう。

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
前回「入稿データ」は「版下データ」とも呼ばれることもあるとお話しました。最近ではほとんど見かけなくなった元々の意味での「版下」ですが、版下は現在のDTP(デスクトップパブリッシング)における入稿データのルーツです。それに、未だに時々、版下で入稿しなければならない仕事もあったりします。知っておいて損は無いと思うので、今日は「版下」の解説をします。

 

「入稿データ」とは? 「版下」とは?

今やDTP主流の時代ですが、パソコンでデジタルデータを作成して入稿を行う以前には、違う手法によってそれを行っていました。その手法こそ、「版下」を用いるという手法でした。その名残でしょうか、今でも、「入稿データ」を「版下データ」と呼ぶことがあります。
「入稿データ」は図案や文字や写真等のグラフィックがレイアウトされたデジタルデータです。こうしたデジタルデータは、Adobeなどのグラフィックソフトを用いて作成されます。通常、入稿データとなれば、トンボをつけ、必要な部分には塗り足しをすることとなります。このような入稿データが、印刷に用いる版の元となります。入稿を承った印刷会社では、入稿データを元に、例えばカラーのオフセット印刷であれば、CMYK(C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=黒)の4色の4つの版が作られます。なおこの過程は、元のデータを4色分解するので、分版と呼ばれています。単色刷りの印刷であっても、カラーのオフセット印刷の場合と同様に、印刷に用いるための版が作られます。単色刷りの印刷ならば、版は1版となります。
このように、印刷を行う際には、印刷に用いるための版が作成されるわけですが、上に説明してきたように、版は「入稿データ」すなわちデジタルデータを元にするのが今日の主流です。しかし以前は、紙にレイアウトされたグラフィック(そして、そのグラフィックに対し赤字によって記述する指定)を版の元にするのが主流でした。こうした版の元が「版下」です。

 

「版下」は台紙にグラフィックをレイアウトしたもの

「版下」は、専用のレイアウト用紙を台紙にして、図案や文字や写真等のグラフィックを切り貼りし、作成します。文字部分には文字をレイアウトして出力した印画紙を貼り付け、写真部分には、元の写真をコピー機で印刷しアタリ画像を貼り付けます。この写真部分の元の写真は、ポジフィルムや印画紙出力した紙焼きで入稿し、版下とは別に分解してもらいます。そして後に、印刷の版のアタリ部分に合体するような流れです。

 

版下にも変遷があった

版下は、1990年代にはまだまだ現役でした。あっという間にほとんど見かけることがなくなってしまいましたが、私も作成した経験があります。
私が版下をしばしば作成していた頃は、パソコンを用いたデザインが始まっており、完全にDTPになる移行期でもありました。この頃の版下は? というと、パソコンでレイアウトしたトンボ付きのデジタルデータを印画紙出力し、版下のレイアウト用紙に貼り付け、作成していました。文字部分は、写植を貼り付けることもありました。写真部分等、別に分解してもらう箇所は、デジタルデータ上でアタリであることを示す細いケイ線を「アタリケイ」として描いておき、印画紙出力した後、そこに、コピーしたアタリ画像を貼り付けておくという。。。今考えると、面倒でしたね。
ともかく、印画紙出力の過程以降は現在のDTPの手順とずいぶん異なりますが、元々のレイアウトをパソコンでデジタルデータとして作成する点は、現在と変わらない状態でした。
では、こうしたDTPの移行期以前の版下は? といえば、パソコンがない時代になりますが、もちろんパソコンを用いることはありませんでした。文字の部分は写植を貼り付けたり、企業ロゴ等は、紙焼き機で印画紙に焼き付けて、別に分解してもらうようにしたり・・・。ケイ線は、烏口という道具や、ロットリングを使って描いたりしていました。

ダーマト

上の写真は版下作成の際に欠かせなかった、通称「ダーマト」。デスクの引出しにまだ入ってます。ロットリングは、どこかに行ってしまいました。

 

現在の版下仕事

最近でも、版下を作成する仕事があるかといえば、実際に時々あったりもします。
私は去年、選挙公報の仕事があり、昔ながらのアナログ版下を作成しました(選挙公報とは、議員さんの選挙の時に配られる候補者がズラリと載ったアレです)。こうした広報は、未だに版下なのですよね。このように、アナログの版下入稿が脈々と生きているジャンルも未だにあるわけです。
しかし、版下にするデジタルデータの印画紙出力ができる業者さんは、近年ではとても少なくなってしまいました。1990年代には、デザイン関連企業が多いエリアならば、「出力屋さん」などといった専門業者さんがすぐに見つけられる程度にはあったものですが、やはり時代の波でしょうかね。とはいえ、そういった専門業者さんが完全に無くなってしまっても困りものです。
去年、私が選挙公報の仕事をした際には、それまでデジタルデータの印画紙出力に利用していた業者さんがこのサービスを廃止してしまい、実際に困ってしまいました。でも、探してみると業者さんが見つかりました。それは「堀内カラー」さんです。写真の紙焼き等を行っている老舗の業者さんですが、版下にするデータの印画紙出力も問題なく奇麗に仕上げてくださりました。また版下を作成する仕事が来たなら、「堀内カラー」さんに出力をお願いしたいですね(※このサービスができるかどうかは、店舗にもよるかもしれないので、もしこのサービスを利用したい場合はお電話などでお確かめくださいませ)。

「堀内カラー」さんのWebサイト。お問い合わせ先の記載もありますので、必要があればこちら(http://www.horiuchi-color.co.jp)にどうぞ。

堀内カラーWebサイト

 

まとめ

  • 「入稿データ」とは印刷に使用する版の元で、図案や文字や写真等のグラフィックがレイアウトされたデジタルデータ
  • 「版下」とは印刷に使用する版の元で、台紙に各グラフィックを貼付けて作成したもの
  • 現在でもアナログ版下入稿が必須のジャンルがある
  • 「堀内カラー」さんでは、今でもデジタルデータを印画紙出力してくれる

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。「トンボ」のお話をしておきましょうか。あまり説明しないで来てしまったので、モヤモヤしている方もいらっしゃるかと思いました。
「紙の基本」のお話の中でも「トンボ」が出て来ましたね。家庭用のプリンタで印刷する用のデザインのテンプレートだったり、あるいは、インターネットから入稿できるネット印刷のためのテンプレートだったり、そうしたデータ上に「トンボ」が入ってたりします。「トンボ」は、入稿データに必要不可欠な印です。デザインをしているとよく見かけるので、ちょっと知っておきましょう。

 

「トンボ」とは?

「トンボ」とは、「紙の基本」のお話でも出て来ましたが、デザインスペースを囲む状態で上下左右そしてセンターに配置される印です。Adobeのグラフィックソフトでは、「トリムマーク」と呼んでいたりもします。

「トンボ」(「トリムマーク」ともいう)をつけたブックマーカーのレイアウト

パンダ柄ブックマーカー。完成データ。

デザインの実務では、ポスターを作ったりグッズを作ったりといった案件がありますが、この過程でデザインした図案の印刷は、印刷会社やグッズの製造工場に依頼することになります。こうした会社や工場にデザインしたデータを印刷していただくよう発注するわけですが、このようにして専門業者にデータを持ち込むことを「入稿」と言います。そして、その持ち込むデータのことを「入稿データ」と言います。少し古い言い回しかもしれませんが、「版下データ」と呼ぶ例もあります。
この「入稿データ」にとって、「トンボ」は必要不可欠なものです。ネット印刷のデザインテンプレートに、「トンボ」を見かけるのはそのためです。

 

「入稿データ」と「デザインカンプ」

でも、「トンボ」がないデザインデータもありますね。確かにそうですが、これには理由があります。「トンボ」はデザインの行程でも最終段階の「入稿データ」においては必要です。しかし、その前段階の「デザインカンプ」では必要がありません。なので、「入稿データ」か「デザインカンプ」かによって、「トンボ」の有無が出て来ます。
「トンボ」はデザインの行程にしたがって、つける・つけないを決めればOKです。
ただ、自分が今デザイン作業をしているのが、「入稿データ」なのか、「デザインカンプ」なのか、という判断は、それが全体の行程でどの部分に位置している作業なのかが解らなければ、見当がつけられません。なので、実際のデザインの行程について基本の流れだけ少しお話しておきます。

・クライアントと打ち合わせ
   ↓
・デザインカンプ作成
   ↓
・デザイン提出
   ↓
・デザイン修正
   ↓
・デザインOK
   ↓
・入稿データ作成
   ↓
・印刷会社・工場へデータ入稿
   ↓
・印刷物やグッズが完成、クライアントへの配送

実際のデザインの行程は、およそこのような流れです。「クライアント」とはデザインを依頼していただくお客様のことです。企業であったり個人であったりは様々です。そうしたクライアントから、仕事の依頼があって最初に行うのは打ち合わせです。何をデザインするのか、納期はどれくらいか、予算は・・・等。
この打ち合わせの後、まずデザイナーが作成するのが「デザインカンプ」です。この「デザインカンプ」とは、平面に描かれた完成見本のことです。現在のDTPの時代、グラフィックソフトで描かれることが多いです。デザインカンプは、クライアントにどんな完成イメージなのかを伝えるためのものなので、トンボは必要ありません。トンボは最終的な完成品においては裁ち落としてしまうからです。
提出したデザインカンプをクライアントに見ていただき、必要があれば修正を行い、デザインが確定したら入稿の準備に入ります。入稿データには「トンボ」をつけます。印刷の際に必要になるからです。
このように、伝える相手や用途によって、「トンボ」の必要の有無が分かれるというわけです。したがって、「トンボ」をつける・つけないの判断は、作成するデータが「カンプ」なのか「入稿データ」なのかで結論が出せるということです。

 

トンボのつけ方

AdobeIllustratorでのトンボのつけ方は、「紙の基本(5)〜紙道楽! 紙に印刷して遊ぼう(3)〜」に詳細がありますので、忘れてしまってましたらもう一度チェックしてみましょう。
基本的には、どういった形状であっても、裁ち落としサイズに対しトリムマークをつけますが、Illustratorのバージョンによってつける方法の選択肢があります。前に説明しましたが、裁ち落としサイズのオブジェクトを作成して選び、メニューバー「効果」→「トリムマーク」を選ぶとトンボが表示され、そして、メニューバー「オブジェクト」→「アピアランスを分割」を選択すると、線として描かれた状態のトンボが完成します。
CS5以降、CCでは、メニューバー「オブジェクト」→「トリムマークを作成」という方法で、トンボを描くことも可能です。CS5以降であれば、こちらの方がラクでしょうね。

CCの画面。「オブジェクト」から作成した方がラクですね

 

まとめ

  • 「トンボ」はデザインの行程にしたがって、つける・つけないを決めればOK
  • デザインカンプなら、トンボは必要ない
  • 入稿データなら、トンボが必要

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。前回に引き続き、今回も着せ替えタンブラーの台紙の作り方について解説したいと思います。
前回は、PDFになっている台紙のテンプレートをダウンロードし、AIファイルで保存するというところまで進みました。デザインテンプレートの準備はできたので、今日はそのテンプレートを利用してデザインを進めることにします。下の写真の、私がデザインしたクリエイトユアタンブラーの台紙の柄を例に、解説します。

 

クリエイトユアタンブラー

 

着せ替えタンブラー台紙の作り方

 

[1. テンプレートのAIファイルを開く]

ダウンロードしたPDFファイル、ファイル名は「tumbler500.pdf」ですが、前回はこのファイルをAdobeIllustratorで開いてAIファイルとして別名保存しましたね。今、あなたのPCには、「tumbler500.ai」というファイルがあるはずです。まず、このファイルをAdobeIllustratorで開いてみましょう。
 

PT500mlテンプレート「tumbler500.ai」

 

PT500mlテンプレート「tumbler500.ai」のレイヤー

 

テンプレートはレイヤーに分かれていますね。ブックマーカーやブックカバーの時のお話で出て来た「design space」に該当する部分はどれだと思いますか? このレイヤーの中では「本体」が該当します。なので、解りやすいように「本体」を「design space」に書き換えて、作業をしても良いと思います。
他のレイヤーについても説明しておきますね。上のレイヤーから。「ロゴ」は空レイヤーなので削除してもOKです。「指示事項」は左上のテキストによる説明部分です。「刷り範囲」はグレーで示された部分。左上の説明にもありますが、タンブラーにセットすると図案が隠れる部分です。なので、デザインで重要な部分、例えばロゴマークなど、図案が途切れてしまってはいけないパーツは、このグレーの部分に配置しないように気をつけなければなりません。そうした注意の目印としてこのレイヤーがあるわけですが、目印レイヤーなので、作業の最後に削除してしまいます。

 
[2. レイヤー「design」を作り図案を配置する]

「刷り範囲」の下にレイヤー「design」を作ります。ブックマーカーやブックカバーのデザインの時と同じで、このレイヤーに図案を配置します。
図案ができていれば、あとは簡単です。このレイヤー「design」に、図案をバランスよく配置します。
今回のようなタンブラー台紙のデザインは、場合によっては、図案を扇形に湾曲させることもありますが、今回の例のような散らし柄(総柄)は、その必要はありません。見た目に不自然でなければ、図案の湾曲の必要はないということです。

 
[3. 塗り足しをつける]

塗り足しをつけます。塗り足しをつけて、印刷に用いるデータは完成となります。
レイヤー「本体」の点線がありますが、これが裁ち落とし線になります。なので、このラインから3mm外側のラインまでが、塗り足し部分(ドブ)となります。
裁ち落とし線から3mm外側に、塗り足しラインを描きます。レイヤー「本体」の点線を選択したままで、メニューバー「オブジェクト」→「パス」→「パスのオフセット」を選択します。「パスのオフセット」のダイアログボックスで「オフセット」の数値を3mmにします。すると、裁ち落とし線の外側3mmにラインが描けます。この塗り足しラインを、レイヤー「design」の同一の位置にカット&ペーストします。復習しますね。このような、同一の位置へのカット&ペーストは「コマンド+C」の次は「コマンド+B」でしたね。

塗り足しラインが描けたら、このラインまで図案を満たします。後はレイヤー「刷り範囲」を消せば、データは完成です。なお「本体」レイヤーの点線ですが、後の紙を裁断する作業がしやすいように、消さないで残しておいてください。

試しに、私がデザインしたスターバックスのクリエイトユアタンブラーの台紙の柄を、このテンプレートに配置してみますね。下のようになりました。
 

PT500mlテンプレートに配置した状態

 
[4. データを紙に印刷する]

完成した図案を紙に印刷します。ところで、どういった種類の紙に印刷しましょうか? いつもの普通紙でもぜんぜんかまいません。でも、ちょっと発色を気にして、いつもと違う紙に印刷するのも面白いです。くっきりとした鮮やかな彩度を再現するなら、写真用専用紙が良いでしょう。ブックマークのお話の時、パンダ柄の印刷に用いたのがEPSONの写真専用紙でしたね。そうでなく、鮮やかさよりも風合いを求めるなら、画用紙が良いでしょう。なお、私がデザインしたスターバックスのクリタンの台紙には、ケナフという自然な風合いの非木材紙を用いてます。ただし、この紙は廃盤になってしまいました。気に入っていたんですけどね・・・。ともかく、印刷する紙はどんな発色を求めるかで決めれば良いと思います。

 
[5. cutlineを目印に裁ち落とす]

紙に印刷したら、裁ち落としラインに添って裁ち落とします。裁ち落としラインは、今回のテンプレートでは、レイヤー「本体」にある点線部分でしたね。ハサミでも良いですけど、私はカッターでキュキュッとカットしてしまいます。慣れると曲線部分もスイスイ切れますよ。紙をカットしたら、台紙は出来あがりです。

 
[6. タンブラーにセットして出来あがり]

タンブラーに台紙を差し込んでセッティングすれば出来あがりです。それぞれのメーカーの着せ替えタンブラーで、台紙の差し込み方法が異なるので、適宜やってみてください。なお、私のクリタンは、下のフタを開けて差し込むタイプです。

さて、オリジナルデザインのタンブラーができました! たくさん使ってあげてくださいね。

 

まとめ

  • タンブラーもレイヤー「design」を作りここに図案を落とし込む
  • 台紙に用いる紙は発色で決める。画用紙や写真専用紙を使っても良い
  • 曲線部分の裁断は、慣れればカッターでもさほど難しくはない

では、また!