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こんにちは。ANGEL VIBES です。
ところで、皆さんはプリンタを持ってますか? 手差しトレイがあるプリンタがあれば紙を使っていろいろ遊べるので、楽しみが増えますよ。A4サイズまで印刷ができるインクジェットプリンタなら5,000円以内のお手頃価格のものもありますし、もしお持ちじゃないならご検討されてはいかがでしょうか。
今日は、そんなプリンタを使った紙の遊び、「紙道楽」のお話です。

 

手差しトレイがあれば画用紙にも印刷できる

プリンタには「給紙トレイ」という部分があり、ここに印刷用紙を入れて印刷するしくみとなっています。家庭用のインクジェットプリンタなら、給紙トレイに入れることができる印刷用紙は、通常なら専用の用紙となります。今どきコンビニエンスストアでも売っている、数百枚単位の束になってるアレです。

「コピーペーパー」などとして売られてますね

 

プリンタによってはこの「給紙トレイ」しかなく、専用の用紙しか使えません。でも「手差しトレイ」があれば、それ以外の用紙も使えます。年賀状用紙や画用紙、特殊紙も使用できます。「手差しトレイ」によって印刷ができる紙の種類が増えれば、それだけ楽しみも広がります。ペーパークラフトなども楽しめるようになります。

 

厚めの紙に印刷してペーパークラフト

デザイン好きの皆さんの中には、小学生の時に工作が好きだったという方が多いのではないでしょうか? あるいは今も、プラモデルが好きだという方がおられるかもしれませんね。そういった方におススメなのは、ペーパークラフトです。
ペーパークラフトは紙を工作して作る模型で、少し厚めの紙に印刷された図案を切り取って、折ったり貼ったりして作ります。
インターネット上では、無料の図案を公開しているWebサイト(サイト内規約があるので、それぞれのサイトのルールに従ってください)があります。図案は様々で、比較的単純な形状の子ども向けのものから、複雑な形状の大人向けのものまで揃っています。
こうしたWebサイトでは、PDFなどの形式の図案が無料ダウンロードできるようになっています。このダウンロードした図案を紙に印刷し素材にして、ペーパークラフトを楽しもうというわけです。
紙はいつもの印刷用紙じゃ作りにくいので、少し厚めで頑丈な紙を使用します。官製はがきぐらいのコシがあった方がいいでしょう。厚みは、およそ0.15〜2.3mmぐらい。「ペーパークラフト専用紙」も販売されていますので、迷うようでしたらこうした紙もおススメです。
とはいえ、子どもの時に落書きして遊んだような白い画用紙でも充分間に合います。画用紙は天糊になって一冊ずつ売っているタイプのものがあります。ペーパークラフトもできるので、一冊買っておくと何かと使えて便利ですよ。
ちなみに、私はマルマンの画用紙を常備しています。落書きしたり、印刷したり、何かと使う機会があります。

マルマンの画用紙

 

ペーパークラフトのおススメサイト

お話したように、インターネット上には、ペーパークラフトの図案が無料ダウンロードできるWebサイトがあります。本当に無料でいいのかしら? と思うくらい、素敵な図案が公開されています。おススメのサイトをちょっとピックアップしておきましょうか。

★Canon Creative Park
動物、おもちゃ、乗り物など、カテゴリが多く、とにかく数が豊富です。難易度が低いものから高いものまであるので、初心者から上級者まで楽しめます。
「Canon Creative Park」にはペーパークラフト以外にも、紙に印刷して楽しめるコンテンツが盛りだくさんです。

★エプソン Webプリワールド
動物、恐竜、昆虫など、お子さんが喜びそうです。難易度が高いものもあるので、こちらも初心者から上級者まで楽しめそうですね。
こちらも、ペーパークラフト以外にも、紙に印刷して楽しめるコンテンツが盛りだくさんです。

★エプソン・ナカジマレーシング
ツーリングカーレース「SUPER GT」で、エプソンがメインスポンサーとなっているチーム「NAKAJIMA RACING」のレースカーなど。難易度高めですが、リアルでカッコイイです。

★ヤマハ発動機
ヤマハのバイクや動物、それから日本の情景など、テーマが多岐に渡ります。ペーパークラフトの作り方のムービーもあり、充実の内容です。

 

紙を切る・貼るための道具

ペーパークラフトもそうですが、紙を切ったり貼ったりするためには、そのための道具が必要です。基本は揃えておきましょう。

・はさみ
・カッター
・カッティングマット
・糊
・定規

最低限、これくらいでしょうか。
はさみ、カッターなら、お手元にあるかと思うので、使い慣れたものを使っていただければと思います。実際の紙を切るの作業では、カッターを使う方が多いかもしれませんね。専門的になれば、デザインカッターという特殊なカッターを使ったりもします。ですが、普通のカッターがあれば、だいたい事足ります。カッターは刃が命なので、切れなくなってきたらパキッと折ってどんどん新しくしましょう。
定規はカッターにあてて使います。直線など、曲がらないように切る時に役に立ちます。これも、お手元のプラスチック製のものでOKです(手を切らないようにお気をつけを!)。
カッティングマットは、カッターを使う時のマットです。カッターを使う時って、どうしてますか? 厚紙を下に敷いて使ってますか? やめましょう。机にキズをつける原因にもなりますし、何よりカッティングマットの上で使う方がカッターが使いやすいです。サイズはA4くらいあれば、充分です。私はA1サイズくらいの大型のものも持っていますが、無ければ先にA4くらいのものを揃えてしまいましょう。
それから、糊。糊もいろいろありますが、とりあえず「ピット糊」を揃えておきましょう。あのスティック状のやつです。あとは、コニシ製のボンド「Gクリヤー」。速乾性でよくくっつきます。色が透明なので、仕上がりが綺麗です。ペーパークラフトには「Gクリヤー」がいいですね。用途によって使い分けてください。
マニアックな話、他にも道具を紹介できますが、最低限これくらいの道具があればいろいろ楽しめます。最低限の道具を揃えて、物足りなくなったら買い足す感じで充分です。

 

まとめ

・「手差しトレイ」があるプリンタなら、いろいろな種類の紙に印刷できる
・厚めの紙に図案を印刷すれば、ペーパークラフトが楽しめる
・紙を切る・貼るために、はさみ・カッター・カッティングマット・糊・定規は最低限揃えましょう

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
インターネットが普及した昨今、年賀メールをいただくことも増えて来ました。でも、私は、今年も紙の年賀状をデザインしました。紙が好きなんですよね。
みなさんは、紙は好きですか? 実は奥深い世界、入り口までご案内します。

 

紙はどんな場所で見ることができる?

デザイン系の企業にいれば、「竹尾」等の紙見本のセットは置いてあるので、様々な紙を見ることができます。でも、そういった環境にない方も様々な紙を見る方法はあります。デザイン系の企業ではなくても紙をわんさか置いてある場所があるので、そういった場所に行けば様々な紙を見ることができます。
紙をわんさか置いてある場所といえば、まずは、大き目の画材屋さん。紙売り場まで行ってみましょう。
新宿三丁目の世界堂にも、色々な紙がありますね。デザイン用品や文房具の買い物ついでに見ることもできるので、ちょっと紙が見たいなあなんていう時は、寄り道してみちゃってください。
ちなみに、販売している紙の大きさは様々です。店頭に陳列しているものであれば、だいたいポストカード大からB3か四つ切りサイズぐらいまででしょうか。その他、製紙メーカー出荷時のサイズとなる「全紙」と呼ばれる大きなサイズを販売している場合もあります。全紙サイズの紙は、まずサンプルを見て欲しい種類を店員さんに伝えて購入します。大きいので丸めて包装してもらって持ち帰ることになりますが、断裁をやってくれるお店もあります。使う大きさが解っていれば、断裁して持ち帰るのもアリです。
こんな様子で、大き目の画材屋さんでは様々な紙を見ることができます。店頭に陳列してある紙、そして、サンプルの紙、これらを併せればかなりの種類になります。
その他、紙と触れ合える場所といえば、紙の専門商社さんです。展示スペースで企画展を開催したりもしているので、紙の使い方の参考にもなります。

 

「竹尾」と「平和紙業」はおススメ

紙の専門商社さんは紙の開発や販売を行っていますが、各店舗それぞれが非常に充実しています。紙好きなデザイナーにとってはとってもワクワクする空間てす。
そんな中からおススメの企業を2社紹介します。

まず、「竹尾」。「竹尾ペーパーショウ」の「竹尾」です。既に言ったように、デザイン系の企業には、竹尾の紙見本のセットが置いてあったりします。この紙見本のセット、デザイン系の学生さんなら、学校の何処かで見かけたことがあるかもしれませんね。ともかく、竹尾は紙の専門商社としてはメジャーで、デザイナーにとっては最も馴染み深い企業の1つです。ペーパーショウの開催など、デザインの参考になるイベントを行っています。
竹尾は「見本帖」という施設を設けていています。「見本貼」はいくつかあって、展示スペースとショップを兼ねた店舗もあります。こうした店舗では、紙のイベントや企画展、トークショーなども行っています。その他の店舗も充実しすぎています。紙が見やすく美しい作りになっていて、もはやショールーム兼ショップと言っても間違えではないでしょう。
「見本帖」は、東京、大阪、福岡にあります。東京では、神田神保町本店、青山、そして、銀座伊東屋の店内にあります。竹尾の公式Webサイトにイベントの案内などが出ているので、調べてブラりと出かけてみるのも楽しいですよ。

「竹尾」公式サイトのスクリーンショット

 

それから「平和紙業」。私の好みで選んでしまって恐縮ですが、個性的な紙を取り揃えています。平和紙業も、竹尾の「見本帖」のような施設を設けています。「ペーパーボイス」といって、「見本貼」同様、展示スペースとショップを兼ねた施設になっています。「ペーパーボイス」は東京、大阪、名古屋にあります。東京では中央区新川にあります。
「ペーパーボイス」でも、イベントや企画展を行っています。こちらも公式Webサイトに案内を掲載しているので、ご興味ある企画展があれば見に行かれると楽しいと思います。もちろん、個性的な紙が見たいという時にも、ブラりとお出かけされてみてください。

「平和紙業」公式サイトのスクリーンショット

 

紙の見本帳は取り寄せることもできる

こういった紙の専門商社の店舗に行って、色々な展示やサンプルを見ることができれば良いですが、無理な場合もありますね。そんな時は、紙の見本帳を取り寄せることもできます。「竹尾」も「平和紙業」も可能です。
「竹尾」では、有料ですが紙の見本帳を用意しています。短冊を豆本にしたような、ミニサンプルです。Webストアから購入が可能です。
「平和紙業」も紙の見本帳を用意しています。こちらは無料。親切すぎです。

 

紙は実物を手にした方が良い

紙は、なるべくなら実物を見ることをおススメします。前回もお話しましたが、ネットの画像と実物とでは、少なからず見た目の差がありますし、質感は実際に触ってみなければ実感出来ません。そういった実感にデザインがインスパイアされることも多々ありますしね。何より、実物の紙に触れるのはとっても楽しいことなので。
前回お話したように、「迷ったらとりあえずコート紙で」という手段もあります。コート紙は価格が抑え目だし優れた紙だと思います。でも、少しでも時間があってじっくりデザインができるなら、好きな紙を見つけて使用してみるのも一興です。
専門商社の店舗でも見本帳でも、何でも良いです。実物を手にする機会を持っていただけたらと思います。

 

まとめ

・紙の専門商社さんなら「竹尾」と「平和紙業」はおススメ
・紙の見本帳は取り寄せることも出来る
・紙は実物を見て実感した方が良い

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
デザインに接していれば、印刷を通して紙に接する機会が多かれ少なかれあると思います。PCで作成したラフ案をプリントアウトするとか、あるいは、データ入稿してフライヤーなどの印刷物を作るのだとか。
そんな、印刷メディアとしての「紙」ですが、種類によって、仕上がりのイメージは全然異なります。そこで今日は、状況に応じた紙の選択を考えてみたいと思います。仕上がりがグッと変わって来ますよ。

 

紙によってインキの発色は異なる

印刷する紙について、まず頭に入れておきたいことがあります。それは、紙によってインクの発色が異なるということです。
家庭用のインクジェットプリンタを使った時でも、紙によって発色が全然違うなあ、なんて経験をした方もおられるかもしれませんね。そうなんです。印刷紙には種類があります。インクジェットプリンタ対応の紙の中にも普通紙と写真専用紙がありますが、発色は全く違います。
同じデータでも、写真専用紙なら彩度が高く鮮やかに印刷されやすいですが、普通紙では、写真専用紙よりも彩度が保たれにくく鮮やかさが損なわれ、くすんでしまったりします。

印刷物の発色は、インキだけでなく紙からも影響を受けるわけです。それは、上に述べたようなインクジェットによる印刷ばかりでなく、オフセット印刷についても言えることです。
オフセット印刷の印刷時の発色を追求した紙は各種開発されており、こういった紙はデザイン業界ではポピュラーであったりもします。カタログなど写真の再現性にこだわるデザインなら、なるべくなら発色が良い紙を選びたいところです。発色がよければメリハリが出て再現性が高くなるからです。
ともあれ、印刷と紙は関係が深いわけですね。

 

迷ったらとりあえず「コート紙」

紙の中には印刷専用の紙というのがあります。中でも「コート紙」は発色が良くポピュラーで、オフセット印刷の定番の紙と言えるでしょう。写真の再現性に優れる一方で価格が安めなので、デザイナー大助かりの紙です。
フライヤーやポストカードの印刷で、印刷紙の種類がいろいろあって何を選んだら良いか解らない! という方は、とりあえず「コート紙」から始めてみても良いと思います。
コート紙は表面がツルツルしたタイプです。コート紙系のツルツルタイプは、紙の中でも発色が良い系統です。
コート紙にも表面のツルツルが抑え目のマットタイプの「マットコート」という種類もあります。好きずきではありますが、ツルツルした紙に抵抗があれば、マットの方を選んでも良いでしょう。

今年の年賀状の実物。これもコート紙です。触るとツルツルです。

 

カサカサしたタイプの紙の風合い

一般に「画用紙」と呼ぶような、表面がカサカサしたタイプの紙は、コート紙のようなツルツルタイプの紙よりも落ち着いた傾向があります。印刷のメリハリ・再現性はコート紙には及ばない部分がありますが、カサカサタイプは「風合」や「温かみ」といった点ではコート紙に勝ると思います。風合いを重視するなら、カサカサタイプの紙をおススメします。
色鉛筆や水彩で描いたイラストをポストカードにするなら、カサカサタイプの紙を利用すれば、いかにも手で描いたような温かい印象があるものになりますよ。そういった印刷も素敵です。
画用紙のような風合いを求めるなら、「アラベール」あたりがおススメです。カサカサ系の紙にも色々な種類がありますが、ゴワゴワせず使いやすいです。もし迷ったら、「アラベール」あたりから始めてみても良いと思います。

 

こだわらないなら無難に「上質紙」

「発色」とか「風合い」とかを活かすデザインも良いですが、とにかくしっかり印刷さえ出来ればということなら、「上質紙」あたりが無難だと思います。化学パルプ100%で作られた紙で、表面にコーティングはありません。ツヤツヤではなくカサカサタイプです。世の中で最も多く見かける紙の1つではないでしょうか? 「よくある紙」という言い方ができるかもしれませんが、ボールペンやサインペンで筆記した時に乾きやすいなど、幅広いシーンで使用できる紙です。

 

印刷紙の現物サンプル

印刷紙は、写真やインターネット上の画像ではその質感まで伝わらない部分があります。表面のきめ細かなコーティングは写真では伝わりづらいですし、触った感じは、現物でなければ正直なところ実感できないです。印刷紙にこだわるなら、現物のサンプルは見た方が良いと思います。
印刷業者さんの窓口に、通常はサンプル紙が置いてあります(無い場所もあるので、各店によります)ので、印刷の前に見て検討することもできます。
大きな画材屋さんなら紙コーナーにサンプル紙や見本帳を置いている場合もあります。そうした紙の中には、印刷紙としても使用されているものもあります。新宿の世界堂や銀座の伊東屋にもサンプルがあるので、こんな紙があるんだなあという感じで、ついでの機会にでも眺めておくと良いですよ。

紙のサンプル。紙のイベントなどで拾って来たものを捨てられずにいます。

 

まとめ

・発色が良い紙ならとりあえず「コート紙」
・画用紙のような風合いを求めるなら「アラベール」
・こだわらないなら無難に「上質紙」

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回の解説で、特色を用いることで表現の幅が広がることは解っていただけたと思います。
では、そもそも「特色」とは何か? どんな役割を担っているのか? デザインの実務の視点から、もうちょっと説明をしておこうかと思います。

 

「特色」とは?

「特色」とは、単色1つ1つに色番号が割り当てられている印刷用の単色インキ(インキ=インク。古い人間なのでインキと言ってしまいます。)で、体系化されたカラーシステムとなっています。色見本が作られていて、見本帳やカラーチップにまとめられています。
オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせでは再現できないけれど、特色でなら再現できるよ、なんていう色もあります。前回説明したように、彩度が保持されたエメラルドグリーンもそうです。
私は年賀状を毎年デザインしていますが、特色のお世話になっています。下の画像の「2018」「Happy New Year」には金色の特色を使いました。DIC - 620です。
画像では茶色っぽく見えていますが、実際にはキラキラしたインキです。このキラキラがあるとなしとでは、ずいぶん印象が変わります。
 

2018年の年賀状です

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特色の用途

特色の用途ですが、まずはインキとしての用途があります。印刷に用いられます。
オフセット印刷のCMYK4版掛け合わせで再現できない部分を特色にしてみたりする他、特色とスミ(ブラック)の2版で印刷をするなどという例もあります。
他には、インキとして用いるというより、その体系化されたカラーシステムを利用して指標として役立てることもあります。実際のデザインワークにおいては、こちらの用途もかなり占めていると思います。
グッズを作る時の工場への指示書などにおいては、色指定があります。この部分の生地色は「Pantoneの○○番」などと指定します。「この指定色に近い色の生地にしてください」、あるいは、「この指定色に生地を染めてください」などというふうに。このように、印刷インキとして役立てる他、色の指標として参照してもらうために使う場合もあるのです。
特色は、デザインの現場で色についての情報伝達をする際の、共通コードとして成り立っているということです。今や、デザインワークに無くてはならない必要不可欠なツールです。

 

特色でよく知られているのは「DIC」と「Pantone」

じゃあ、特色は誰が編纂して管理しているのかなあ? という疑問を持つ方もおられるかもしれませんね。
特色の編纂・管理、それに続く製造・販売は、色システムやインキ製造に関わる企業などが行ってます。彼らが、色を体系化し番号を割り当て特色を編纂しています。
「特色」といっても種類がありますが、日本では「DIC」と「Pantone」がよく知られています。Adobeのデザインソフトでも、スウォッチにDICやPantoneを入れることができるようになっていますね。実際、デザインの実務上でもよく使うので大助かりです。
DICとPantoneはこのようにデザインソフトのシステムに組み込まれている一方、実際に手に取り参照することができる現物として、見本帳やカラーチップが市販されています。大き目の画材屋さんのデザイン用品コーナーでなら、DICやPantoneのカラーチップを見かけたことがある方もおられるかもしれませんね。

下のようなデザインツール、見かけませんか?

DICのカラーチップ。第15版。少々古いです。
Pantoneのカラーチップ

このように、見本帳やカラーチップの現物があるのには、理由があります。前回も触れしましたが、モニタと印刷物の色は基本的に異なるからです。モニタは現物の仮の姿に過ぎないということです。なので、デザインの実務においては、入稿の際は入稿データの他にカラーチップも一緒に印刷会社に渡す機会もあります。ただ、入稿といってもいわゆるネットプリントなどであれば、カラーチップを渡すという作業は省略されています。

 

DICは「DIC株式会社」のカラーシステム

日本国内でのデザインワークにおいては、DICは最も使われる特色の1つではないでしょうか? デザインのジャンルにもよりますが、国内生産ならば、特色にDICを使うことは多いです。
DICは「DIC株式会社」が管理するカラーシステムで、色見本にまとめられ、デザインの実務で活用されています。色見本は、ビビッドな色から淡い色まで揃っていて、グレイッシュトーン、また、日本の伝統色、フランスの伝統色、中国の伝統色、といったシリーズもあります。合わせて、2,000色以上からなります。
「DIC株式会社」は、元は「大日本インキ化学工業株式会社」という企業でした。活動歴が長いデザイナーなら、「大日本インキ」の方が馴染みがあるかもしれませんね。今は樹脂製品や化学マテリアルの製造も行うなど、幅広く事業を展開していますが、旧社名が示すように、印刷インキを製造・販売する企業としてスタートしています。かねてから、日本のクリエイティブ業界を支えてきた企業の1つです。
DICの色見本が販売開始となったのは、1968年ですが、田中一光さん、勝井三雄さんらが監修をされています。グラフィックデザインの業界では、言わずと知れた方々です。DICは、デザイナーの声をしっかり取り入れて開発されたということが解ります。

 

Pantoneは「Pantone社」が編纂した国際的な特色

日本国内ならDICですが、国外で印刷物やグッズを製造する時は、特色はPantoneが使われることがあります。企業のコーポレートカラーやブランドのカラー、キャラクターのカラーについてはPantoneの色指定がされていることもあります。例え国内での製造でも、デザインのジャンルによっては、DICばかりでなくPantoneの使用頻度も高くなりつつあります。
Pantoneはアメリカに本社がある「Pantone社」が編纂した特色で、DICと同様、体系化されたカラーシステムとなっています。こちらも、見本帳やカラーチップがあります。日本から中国に入稿する際にも使われるなど、国際的な特色としての一面もあります。
なお「Pantone社」は、今は「エックスライト社」の子会社になっています。

 

まとめ

・特色は色1つ1つに色番号が割り当てられている印刷用の単色インキのこと
・特色は体系化されたカラーシステムとなっている
・日本国内では特色の中でもDICとPantoneの使用頻度は多い

ではまた!