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タイポグラフィの基本(4)〜タイポグラフィを分析してみる(2)〜

こんにちは。ANGEL VIBESです。タイポグラフィにはチェックポイントがありましたね。復習しますよ。
 ・「塊」とその配置
 ・構成要素の「大・中・小」
 ・文字の大きさ
これらがうまくできていればタイポグラフィは成立するという、基本中の基本の要点でしたね。
さて今日は、この要点をふまえ、例の「ベルギー奇想の系譜」のチケットについて分析してみます。

 

ちょっとチケット全体を眺めてみましょう

例の「ベルギー奇想の系譜」のチケット全体を、眺めてみましょう。

「ベルギー奇想の系譜」使用済みチケット

おおまかに、左右の塊によって成り立っているレイアウトだと解ると思います。
左側にこの展覧会を象徴する奇妙な味わいの絵画、右側に展覧会の題名を始めとした文字情報。オーソドックスですが、スッキリと解りやすい配置ですね。
「奇想」のイメージは、左側の絵画によって伝わってきますね。ぎっしりと細かく奇妙な何者かが描かれていて、まずこの絵画で「奇想」のイメージが解ります。
そして、塊の大きさの観点から分析してみますが、レイアウト全体から見て、左側の絵画は「大」、右側の文字情報は「中・小」の塊と言えるでしょう。
チケットを見てください。ぱっと見、まず左側の絵画が目に入り、そして展覧会の題名に目が行きますね。それから、開催期間やその他の記載というふうに、自然に視線が誘導されませんか? 伝えたい情報の重要度に従って、グラフィックの塊を「大・中・小」にしてあることによる効果です。

 

文字情報部分のタイポグラフィを分析してみる

ここで、右側の文字情報部分に注目してみたいと思います。
まず文字の組み方についてですが、見事な箱組みですね(文字の両端を揃えて、シルエットを正方形・長方形に見せるこのような文字の配置の仕方を「箱組み」と言います)。文字情報がまとまって見えます。
文字情報部分がこうしたまとまった塊になっていることによって、左側の絵画に対し右側は文字情報なんだなと、ビジュアルで、まずそう認識ができると思います。見ている人に、そう認識させ、スッキリと情報を理解させるための効果的なレイアウトとも言えますね。

 

文字情報部分の「大・中・小」の塊

今度は、右側の文字情報部分での、「大・中・小」の塊の大きさの観点から分析して
みたいと思います。
先ほど、レイアウト全体から見て、左側の絵画は「大」、右側の文字情報は「中・小」の塊と言える、と述べました。確かに、右側の文字情報部分は全体のレイアウトから見て「中・小」の塊ですが、この右側の文字情報部分のみ分析すれば、この部分も「大・中・小」の塊から成り立っていることが解ると思います。

文字情報も「大・中・小」になっていますね

文字情報の中でも最も重要な部分は、この展覧会の題名です。このチケットでいうと、「ベルギー奇想の系譜」がそうです。展覧会の題名を大きく太くして目立たせてありますね。左側の文字部分の中では「大」の塊です。
次に目立たせたいのは、展覧会のテーマや開催期間・場所です。このチケットでいうと「ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」や「7.15→9.24」や「Bunkamura ザ・ミュージアム」、英文の「Fantastic Art in Belgium」のあたりです。展覧会の題名の次に目立たせてありますね。このあたりが「中」の塊です。
他は詳細情報で、重要情報の後に見る部分です。このあたりは「小」の塊となっています。
文字情報部分のみを分析してみると、このように、伝えたい情報の重要度に従って「大・中・小」の塊になっています。これにより、情報の重要度に従って、視線が自然に誘導されますね。

さらに文字部分の塊をそれぞれ分析してみます。
「大」の塊「ベルギー奇想の系譜」は、「ベルギー」をゴシック体の太字にして「奇想の系譜」よりも少し目立たせています。この展覧会は、ベルギーからアートがやって来たよという部分が重要で、「ベルギー」を目立たせたのでしょう。こうしたメリハリによって、情報がさらに伝わりやすくなりますね。
他にもよくよく観察していくと、細々としたメリハリがあります。「中」の塊「7.15」の隣の「(土)」や、「9.24」の隣の「(日)」といった曜日の要素が小さくなっていたりもします。

 

そして、「遊び」がある

このチケットのタイポグラフィは、上に述べたように、分析すればする程に利に適っていることが解ると思います。情報の重要度に従い目線が誘導される、良く出来たタイポグラフィですね。
こうした利に適った部分ばかり見てきましたが、そうでもない部分もあります。そしてその、利に適わないとも言える部分によって、このタイポグラフィはさらに秀逸になっています。「利に適わないとも言える部分」、それは「遊び」です。
このタイポグラフィにおいての「遊び」は、英文の「Fantastic Art in Belgium」に象徴されます。いわば無くても良い部分で、それなのに、文字部分の中では展覧会の名前の次に目立たせています。
そういった意味では、全く利に適っているとはいえません。しかし、この部分があるとないとでは、見た目に差がついてしまいます。この「Fantastic Art in Belgium」があることで、おしゃれ感が増しますね。このおしゃれな部分がないと、情報が伝わりやすい一方で、おそらく退屈なタイポグラフィとなってしまったことでしょう。せっかくの、渋谷のBunkamuraで開催される展覧会チケットです。おしゃれ感があって退屈させないタイポグラフィがふさわしいですね。

 

まとめ

・情報の重要度に従い塊を「大・中・小」にして配置する
・文字は重要部分を大きくしたり太くしたりすると解りやすい
・遊びがあるタイポグラフィだとなお良し!

ではまた!

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